ロックオンは横で酔いつぶれた青年をどうしたらいいか考えあぐねていた。
「おい、大丈夫か?」
「ん…」
肩を揺さぶってみたが反応は鈍い。そろそろ閉店なのだろうかカウンターの中から様子をうかがう視線が痛い。
「ったくしょーがねえな」
肩を貸す形でグラハムを助け起こすと、その華奢な体は存外に軽い。
知らない男だ。作りのいいスーツとどこか気品のある顔立ちはこんな場末の酒場には不釣合いで、
現れた時から異彩を放っていた。一人寂しげに隅で飲んでいた彼に声をかけたのはロックオンだった。
なぜそんなことをしたのか自分でも分からない。まるでナンパじゃないか、と胸の中で自嘲する。
酔わせて、潰れたところを持ち帰りなんてスメラギさんが聞いたらどれだけ呆れ返るだろう。
家を聞いてもうわごとのような答えしか返ってこないグラハムを持て余したロックオンは、とりあえずと近くの安ホテルへ避難することにした。
「起きれるか?」
「…だめだ」
「ほら水」
ベッドに横たわるグラハムの上半身を支えるように起こしてやると素直にグラスに口わつけた。
水を飲む喉の動きがなぜか性的に思えてロックオンは慌てて目をそらした。
「すまない、面倒かけた」
「いいって飲ませたのは俺だしな」
「なんの話をしていたか…覚えてない」
「あんたが芋料理はマッシュポテトに限るなんて邪道なことを言い出すから俺がだなあ…」
弾けるように笑い出した彼にロックオンは驚き目を見張った。
「す、すまない…!そうだった。君があんまりむきになるからわたしは…つい…くく…」
「あのなあ」
殴ってやろうかと振り上げた手は自分の意思とは逆にグラハムの柔らかい金色の巻き毛に触れた。
そのまま梳くように動かすとグラハムは気持ちよさそうに目を閉じた
続き▽
「おい、大丈夫か?」
「ん…」
肩を揺さぶってみたが反応は鈍い。そろそろ閉店なのだろうかカウンターの中から様子をうかがう視線が痛い。
「ったくしょーがねえな」
肩を貸す形でグラハムを助け起こすと、その華奢な体は存外に軽い。
知らない男だ。作りのいいスーツとどこか気品のある顔立ちはこんな場末の酒場には不釣合いで、
現れた時から異彩を放っていた。一人寂しげに隅で飲んでいた彼に声をかけたのはロックオンだった。
なぜそんなことをしたのか自分でも分からない。まるでナンパじゃないか、と胸の中で自嘲する。
酔わせて、潰れたところを持ち帰りなんてスメラギさんが聞いたらどれだけ呆れ返るだろう。
家を聞いてもうわごとのような答えしか返ってこないグラハムを持て余したロックオンは、とりあえずと近くの安ホテルへ避難することにした。
「起きれるか?」
「…だめだ」
「ほら水」
ベッドに横たわるグラハムの上半身を支えるように起こしてやると素直にグラスに口わつけた。
水を飲む喉の動きがなぜか性的に思えてロックオンは慌てて目をそらした。
「すまない、面倒かけた」
「いいって飲ませたのは俺だしな」
「なんの話をしていたか…覚えてない」
「あんたが芋料理はマッシュポテトに限るなんて邪道なことを言い出すから俺がだなあ…」
弾けるように笑い出した彼にロックオンは驚き目を見張った。
「す、すまない…!そうだった。君があんまりむきになるからわたしは…つい…くく…」
「あのなあ」
殴ってやろうかと振り上げた手は自分の意思とは逆にグラハムの柔らかい金色の巻き毛に触れた。
そのまま梳くように動かすとグラハムは気持ちよさそうに目を閉じた
続き▽
| マイスターズ::6:ロックオン2 | 2008,03,03, Monday 02:43 AM