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ハワード1(part2 306,354,358,679,680)

女装

部屋を支配する深い、深い闇の中。
ハワード・メイスンは身体を起こし、隣に横たわる人物をちらと見やった。
グラハム・エーカー上級大尉。
うすうす自分の想いに気づいていたのだろうか、入隊以来欲してやまなかったこの憧れの人は、
かつて一度だけだという約束で自分と関係をもった。
だがそれ以来、ハワードが無理に押し切る形で二度三度と関係は続いている。

「大尉、少々の戯れをお許しください——」
眠りに落ちかけていたグラハムは、夢うつつの中でその声を聞いた。
ふと、柔らかい布の感触を素肌に感じる。
夜間着を着せてくれているのか?何を今さら…
再びまどろみに入ったグラハムは、わずかな明かりを感じて目を開けた。

グラハムが纏っていたのは、彼が着たこともないような薄くつややかな生地。
それはどうみても女物の衣服だった。
さすがにグラハムの顔色が変わる。ハワードはそれに気づかないふりをした。
回を重ねるごとに増していくグラハムへの執着心が、明らかに自分を歪んだ欲望へと駆り立てているのをハワードは分かっていた。
だがそんな事を彼に説明してどうなるものか。
ハワードは何も言わずにグラハムの細い肢体を、艶やかに光る布の上から撫でた。

続き▽

| オーバーフラッグス::1:ハワード1 | 2008,01,28, Monday 06:28 PM

ダリル1(part2 344,345 part3 48-51)

パワープレイ

部屋にはただシャワーの水音だけが響いていた。
一度だけでいいと、明日死ぬかもしれない自分にただ一度だけ
抱かせてくださいと頼んだのだ。
いきなりの哀願に戸惑いを見せつつもあの人は確かに言った。
「おまえを死なせはしない、ダリル。生きて帰ったら…」
そして俺は生き残った。
ガラス越しにうっすらと見える隊長のシルエットさえ美しくて股間に血が集まるのが分かる。
緊張に耐えられなくなった俺はドアノブに手をかけた。

続き▽

| オーバーフラッグス::2:ダリル1 | 2008,01,28, Monday 11:46 PM

ダリル2(part2 655,657,658,660)

追悼

予期せぬ死ではなかった。軍に属している限り、誰かが死ぬのは夜が来ることと同じくらい当たり前のことだ。
でも、感情を理屈で割り切れないときがある。
「仕方なかった」
その一言をダリルは言葉にすることが出来ないでいた。
彼はきっと首を振るからだ。自分のせいだ、と。

窓から空を眺める彼は、ハワードは立派だったと一言呟き、そのままだ。
その後ろ姿は、戦場のときと比べると酷く小さく、あまりにも頼りない。
今にも消えてなくなってしまいそうで、気付けば、ダリルは後ろから強く抱き締めていた。

「隊長、今だけでも、忘れましょう。泣いたって、俺は見なかったことにしますから」

続き▽

| オーバーフラッグス::4:ダリル2 | 2008,02,02, Saturday 11:52 PM

ダリル、ハワード1(part2 727-731)

3P、3P、追悼

ブリーフィングルームに、しばしの沈黙が満ちた。

いつも自信たっぷりな態度で、周囲の人間を牽引してきたこの上官が、
素直な弱音を吐いたことにハワードは内心動揺していた。
そんな姿を見たくないという勝手な想いがある一方で、
実力が飛び抜けているがゆえに、孤独であり、上昇志向ばかり強いと誤解されがちである彼が、
実際には情が深い人間でもあるのだと実感させられてもいた。

軍人らしからぬ端正な顔を俯け、グラハムは目を伏せ、じっと何かを噛みしめている。
まだこの部隊がオーバーフラッグスという名前さえ無かった頃から苦楽を共にしてきた自分たちには、
そんな姿を見せてしまうくらいに心を許してくれているのだろう。
ならば、その信頼に応えたいともハワードは思う。彼の苦しみを癒すために、自分たちには何ができるのか。
そう考えたとき、勝手に体が動いていた。
「隊長。——もう、いいでしょう。それよりも少し、休んで下さい」
言って、ハワードはグラハムの隣に立ち、その肩に腕を回す。
上官に対して無礼だとは思ったが、衝動を止められなかった。
「待機中、我々は交代で仮眠をとりましたが、貴方はずっとお休みになっていないでしょう。
もう、いったいどれくらい寝ていないんです」
プライドの高い彼のことで、振り払われるかもしれないと内心ひやひやしていたが、
その気力も無いのか、ただグラハムはされるがままになっている。
「しかし、……対ガンダム特別対策の第一種警戒態勢が解かれていない以上、
 オーバーフラッグスの隊長たる私が現場を離れるわけにはいかない」
毅然と呟く彼の表情にはしかし、さすがに疲労の色が濃い。
それでも、生真面目さと自責の念のあまり、眠れないのだろう。
ふと目が合うと、ダリルもまた反対側からグラハムの腰に手を回した。
「とにかく、部屋に戻りましょう。スクランブルがかかればすぐ呼び出されるのは、何処に居ても同じです」
ダリルがやんわりと説くと、ようやくグラハムは頷く。それでも自分からは歩き出そうとしないグラハムを、
ふたりで促しつつ、部屋へと連れていった。



続き▽

| オーバーフラッグス::5:ダリル、ハワード | 2008,02,04, Monday 09:50 PM

ハワード3(part5 856-858)
寝る時にだけこの男は敬語を取り止めるのだなと、グラハムは快楽に霞む頭でぼんやりと考えた。
それが気に入らないわけではなく、自分を呼ぶ優しい声色に彼は満足していた。
仕事場で聞く尊敬の念を滲ませたものとは違い、劣情が含まれていて、何よりもグラハムを興奮させたからだ。
元より私生活に仕事を持ち込むつもりはなかった。
ただ部下で恋人である男の新しい部分を見つけた気がして、少しばかり嬉しかったのかもしれない。

「どうした? グラハム」
「いや、なんでもない、ただ…」
「ただ? ただ何だ?」
「少しおかしかった、君がそんな風に私の名前を呼ぶなんて」

ハワードの頬に赤みが差し、唇が止まる。腰の辺りを探っていた指も今は動いてはいない。
ベッドに寝転がりながら始まったセックスは、グラハムが一度目の射精を終えてから
ハワードの気遣いで再開されないままだった。
ハワードはいつだって兎に角恋人を大事にしたから、これも彼なりの優しさなのだろうとグラハムは思う。
そして本当に自分を思うんなら今すぐにでももう一度挿入してくれたらよいのに、とも。

「ふざけてるのか?」
「いや、本当に嬉しかったんだ、君に名前を呼ばれると気持よくて…」
「グラハム!」

その含みを持たせた発言に、ハワードは頬を染めた。
グラハムはそれを見つめながら微笑み、自分にのしかかってくる男の、艶のあるブルネットの髪に指を通す。
普段なら丁寧に撫で付けられている髪は、さっきまでのいささか激しいセックスのせいで乱れてしまっていた。
体を引き寄せて首筋に顔を埋めると、汗に混じってエンジンオイルの匂いがする。

(またフラッグの整備班に混じって手伝いでもしてたのか…)

汗ばんだ男の背中に腕をかけ、グラハムはうっとりと瞳を閉じる。

続き▽

| オーバーフラッグス::6:ハワード3 | 2008,03,04, Tuesday 06:03 AM

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