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アリー2(part5 133)車2
聞こえないくらいの音でアリーは舌打ちした。
今、横に座り緊迫した様子を隠さない男は、どう見てもただの白い子兎だ。
いつものように喰らい尽くし白い肌を蹂躙し泣き叫ぶ姿を楽しめばいい。
…と思っていた。
時々脅えたような目で自分を見る目線は明らかに住む世界の違う住人のものだ。
忌々しい…苛立ちのあまり運転が荒くなる。
グラハムがふと、そのきれいな形の口を開く。

「もう少しゆっくり運転してもらえないだろうか」
「はあ?」

自分の立場をあまりにもわきまえないその言葉にアリーは変な声を出してしまった。

「…すまない。わたしは人の運転にはあまり慣れていないのだ」

なにを言い出すんだこのお坊ちゃんは。
呆れたアリーは乾いた笑いを漏らす。

「はは、かしこまりました。グラハム・エーカー上級大尉さんよ」
「ありがとう」

きちんとお礼を言うところが育ちの良さかねえ、と嫌味を言いつつスピードを落とした。
どの道そろそろこの白兎をじっくりと料理しないといけない。
沈黙が彼にプレッシャーを与えていることは分かっている。
…だが。
アリーは焦っていた。時々こちらを伺い見る緑の瞳に見透かされていないか。
くそっ!小声で呟くとアリーはまた舌打ちした。
ビクリと肩を震わせ振り返るくせに、その目の奥底で冷静に観察している気がする。
なんだこいつ…まさか誘っていやがるのか?そんなはずはない。
明らかに主導はこっちにあるのだ。
こんな気分は初めてだ!
ぞくぞくする高揚を隠せず思わずアリーは舌なめずりした。

こいつは面白くなってきたぜ。

| その他名ありキャラ::6:アリー2 | 2008,02,26, Tuesday 06:28 AM

アリー1(part5 130,131,205-207)車
アリーは停車すると、訝しい視線を向けるグラハムの頬に手を伸ばした。
「さ、触るな!」
ぱしんと手を弾くも、反対にその手首を掴まれ、シートに押し付けられる。
「っ…お前」
「触るな、か。ユニオンのエース殿は潔癖無垢なお嬢様らしい。あぁ気にいらねえなあ、
俺はあんたみたいな人間見てると反吐が出るんだよ。真っ白な雪原を見ると荒らしてみたくなるだろう?
そういう気分になるんだよ」
危険を察知したグラハムよりアリーの方が一瞬行動が早かった。助手席のシートに乗り込むと、
そのままグラハムに圧し掛かりシートベルトで両腕を拘束する。
「貴様!」
彼の瞳は驚きを見せた後直ぐにそれを怒りに変え、鋭い光を放っている。
だがそれも、アリーの歪んだ歯車の回転速度を速めるための油になったに過ぎなかった。
「ああ、いいなそういう眼は。蹂躙して屈服して、屈辱で濡れる様を見てみたくなる」
剥き出しになったアリーの本性を前に、グラハムは逃げ場を既に無くしていた。

続き▽

| その他名ありキャラ::5:アリー1 | 2008,02,26, Tuesday 05:24 AM

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