その日の月はなぜかいつもより蒼白く輝きが増していた。
なぜかグラハムは胸騒ぎで寝付かれず窓辺でそれを眺めていた。
ふと、誰か懐かしい匂いがした気がして後ろを振り返ると黒いシルエットがいつのまにか
気配も無く部屋の隅に立っている。
「誰だ」
「俺ですよ…上級大尉殿」
「な…ジョシュア?まさか…だっておまえは…」
「あなたを残して死にきれずに帰ってきました」
「嘘だ…」
指摘する声が震える。恐怖のためではない。
「…俺のために泣いてくれたんですか?」
月明かりに白く映る頬にきれいな涙が流れた。
信じられないと大きく見開かれた緑の瞳にはジョシュアの姿は映らない。
ジョシュアはそれを残念に思いつつグラハムの額に口付けを落とす。
「おまえが…勝手して、先に逝くから…!」
「すみませんでした。でもあなたが悪いんですよ」
「なんで…」
「あなたを越えてから抱きたかったから…」
わななく唇にそのまま噛み付くようにキスした。最初は微かに抵抗を試みていたが、
グラハムの手もおずおずとジョシュアの背に回される。
「上級大尉だってそれを望んでいたのでしょう?」
「あ…っ!」
グラハムの手をそっと引くとそのままベッドに押したおす。
上目遣いで見上げる瞳を捕らえるとジョシュアは耳元で言い聞かすように囁いた。
「もう逃がしませんよ。あなたを俺の虜にして…連れ去ります」
「ジョシュア…」
その目は赤く輝き、彼の白い八重歯が光った気がする。
抵抗する気は始めからなかったが、グラハムは力が抜ける感覚に怯えた。
続き▽
なぜかグラハムは胸騒ぎで寝付かれず窓辺でそれを眺めていた。
ふと、誰か懐かしい匂いがした気がして後ろを振り返ると黒いシルエットがいつのまにか
気配も無く部屋の隅に立っている。
「誰だ」
「俺ですよ…上級大尉殿」
「な…ジョシュア?まさか…だっておまえは…」
「あなたを残して死にきれずに帰ってきました」
「嘘だ…」
指摘する声が震える。恐怖のためではない。
「…俺のために泣いてくれたんですか?」
月明かりに白く映る頬にきれいな涙が流れた。
信じられないと大きく見開かれた緑の瞳にはジョシュアの姿は映らない。
ジョシュアはそれを残念に思いつつグラハムの額に口付けを落とす。
「おまえが…勝手して、先に逝くから…!」
「すみませんでした。でもあなたが悪いんですよ」
「なんで…」
「あなたを越えてから抱きたかったから…」
わななく唇にそのまま噛み付くようにキスした。最初は微かに抵抗を試みていたが、
グラハムの手もおずおずとジョシュアの背に回される。
「上級大尉だってそれを望んでいたのでしょう?」
「あ…っ!」
グラハムの手をそっと引くとそのままベッドに押したおす。
上目遣いで見上げる瞳を捕らえるとジョシュアは耳元で言い聞かすように囁いた。
「もう逃がしませんよ。あなたを俺の虜にして…連れ去ります」
「ジョシュア…」
その目は赤く輝き、彼の白い八重歯が光った気がする。
抵抗する気は始めからなかったが、グラハムは力が抜ける感覚に怯えた。
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| ジョシュア::14:吸血鬼 | 2008,02,29, Friday 03:43 AM