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ハワード3(part5 856-858)
寝る時にだけこの男は敬語を取り止めるのだなと、グラハムは快楽に霞む頭でぼんやりと考えた。
それが気に入らないわけではなく、自分を呼ぶ優しい声色に彼は満足していた。
仕事場で聞く尊敬の念を滲ませたものとは違い、劣情が含まれていて、何よりもグラハムを興奮させたからだ。
元より私生活に仕事を持ち込むつもりはなかった。
ただ部下で恋人である男の新しい部分を見つけた気がして、少しばかり嬉しかったのかもしれない。

「どうした? グラハム」
「いや、なんでもない、ただ…」
「ただ? ただ何だ?」
「少しおかしかった、君がそんな風に私の名前を呼ぶなんて」

ハワードの頬に赤みが差し、唇が止まる。腰の辺りを探っていた指も今は動いてはいない。
ベッドに寝転がりながら始まったセックスは、グラハムが一度目の射精を終えてから
ハワードの気遣いで再開されないままだった。
ハワードはいつだって兎に角恋人を大事にしたから、これも彼なりの優しさなのだろうとグラハムは思う。
そして本当に自分を思うんなら今すぐにでももう一度挿入してくれたらよいのに、とも。

「ふざけてるのか?」
「いや、本当に嬉しかったんだ、君に名前を呼ばれると気持よくて…」
「グラハム!」

その含みを持たせた発言に、ハワードは頬を染めた。
グラハムはそれを見つめながら微笑み、自分にのしかかってくる男の、艶のあるブルネットの髪に指を通す。
普段なら丁寧に撫で付けられている髪は、さっきまでのいささか激しいセックスのせいで乱れてしまっていた。
体を引き寄せて首筋に顔を埋めると、汗に混じってエンジンオイルの匂いがする。

(またフラッグの整備班に混じって手伝いでもしてたのか…)

汗ばんだ男の背中に腕をかけ、グラハムはうっとりと瞳を閉じる。

続き▽

| オーバーフラッグス::6:ハワード3 | 2008,03,04, Tuesday 06:03 AM

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