「おい、あれ気に入ったぜ」
「馬鹿言うな、そんな金などないぞサーシェス」
タキシードに身を包み小奇麗にしたアリーは周囲に溶け込み戦争屋の気配は完全に消していた。
「なんだよボーナスだと思えよ、いいだろラグナ」
「シッ!その名前で呼ぶのはやめろ」
男は慌てて周囲を見回すが、誰もが固唾を呑んでステージのグラハムに集中していたため
聞かれなかったようでほっとする。
「今回のオークションはプレジデントが参加している。予算の問題じゃない」
「チッ」
忌々しげにステージのグラハムに目線を向けると、そこにはステージ近くで調教と称し勝手な指示を出す
「上客」に媚びを売るように微笑む哀れな青年がいた。
笑顔で卑猥な単語を言わされ、だが屈辱に耐えかねるのか悲しげに伏せられた緑の目から
大粒の涙が零れる。その対比の異様さに会場の熱気は異常な空気に包まれている。
「ったく戦争よりタチが悪ぃなここの連中は」
おお、というどよめきと共に青年の細い悲鳴が聞こえた。
変態どもめ、と毒づくとアリーはグラスの酒を飲み干した。
続き▽
「馬鹿言うな、そんな金などないぞサーシェス」
タキシードに身を包み小奇麗にしたアリーは周囲に溶け込み戦争屋の気配は完全に消していた。
「なんだよボーナスだと思えよ、いいだろラグナ」
「シッ!その名前で呼ぶのはやめろ」
男は慌てて周囲を見回すが、誰もが固唾を呑んでステージのグラハムに集中していたため
聞かれなかったようでほっとする。
「今回のオークションはプレジデントが参加している。予算の問題じゃない」
「チッ」
忌々しげにステージのグラハムに目線を向けると、そこにはステージ近くで調教と称し勝手な指示を出す
「上客」に媚びを売るように微笑む哀れな青年がいた。
笑顔で卑猥な単語を言わされ、だが屈辱に耐えかねるのか悲しげに伏せられた緑の目から
大粒の涙が零れる。その対比の異様さに会場の熱気は異常な空気に包まれている。
「ったく戦争よりタチが悪ぃなここの連中は」
おお、というどよめきと共に青年の細い悲鳴が聞こえた。
変態どもめ、と毒づくとアリーはグラスの酒を飲み干した。
続き▽
| 分岐モノ::2:オークション | 2008,03,10, Monday 04:09 PM