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オークション→分岐2-a(part6 751,752)
「彼がこれから調教予定の、我が軍の新商品でございます」

軍の上官に連れられ、プレジデントの元で開かれるパーティに出席したグラハムは、上司が己を紹介する言葉に目を剥いた。
驚愕に思考が停止したのは一瞬の事で、動き出した脳を支配したのは怒りの感情一色だった。
なんという侮辱だ。ジョークにしても程がある!
ここがパーティ会場である事も、隣に立つのがMSWADの偉い将官であることも忘れ、怒りのままに彼を殴ろうとしたが、
首筋にうたれた麻酔のせいでそれもかなわなくなった。全身が弛緩して床に頽れる。

「予定?では躾はまだなのかね?」
「ええ。ですが経験は豊富ですので問題ないかと。たまにはこういう毛色の違った趣向も良いのでは」
「そういう事か」

自分の理解できない所で話がすすめられていく。何だこれは?何がおきているんだ?
不安な目で上官を見上げれば、正装の軍服を着込んだ男は優しく微笑み、パーティスタッフにグラハムを引き渡した。


だんだんと視界がはっきりしてくる。暗闇を感じるのに、やけに光が眩しい。
ここはどこだ?私は意識を飛ばしていたのか…
と、とたん意識が覚醒する。下半身が、あつい。あついだけでなく、有り得ない圧迫感と異物感。
これは、これは覚えがある。これは…

「うっ あ、えっ…何、っああ!」
「おや、どうやら目を覚ましたようですね?」

驚くグラハムの耳に、誰とも知らない声が響く。
眩しいと思ったのは当てられたスポットライトで、どうやらここはパーティ会場に設けられたステージの上らしい。
先ほどまで楽団がクラシックを奏でていた場所で、グラハムは全裸に剥かれ、
筋骨たくましい大柄な白人青年2人に抱え込まれて「慣らされて」いた。

「や、やめろ…っんぁ!何だ、君たちは、っぁひぁぁあっ!」

見せつける様にゆるやかにピストンを行うペニスに下から貫かれれば、
男性との性交に慣れた体(不本意に慣らされた、と本人は言うだろう)は甘い悲鳴をあげる。
目が覚めてから感じるひっきりない快楽に、グラハムの中心はいつの間にか勃起しぴくぴくと震えていた。
「このあいだの商品は」

ふと声が耳に入る。ステージの周りでは、来た時とかわらないまま参加しているセレブ達が談笑しており、
グラハムは異常な光景に混乱した。

「完全に調教済みでしたからな。自分から腰を振ってオナニーをする子もなかなかだが、
 彼のように抵抗する子もいいね。気に入ったよ」
「きちんと躾けられてない子を好みに調教するのも愉しいですわね」
「おや、君はおしおきが楽しみだと言いたそうな顔をしているな」
「ははは、バレてしまったか」

「や、なに…こんな、っあ 見るな 見ないでくださ…い…!」

視線が注がれるのを感じたグラハムは、いやいやと首を振り顔を手で隠そうとした。何が起きているのかわからない。
商品?上官も彼らも私を商品と言ったか?
MSのパイロットは時に部品のように揶揄される事もあるが、こんな屈辱は感じた事がない。
混乱して涙が出てくる。だがグラハムを客に「見せる役目」の男達は、商品が顔を隠す事をよしとしなかった。

両手をつかまれてバンザイさせられ、後ろから顎に手を添えて無理矢理正面を向かせる。
エメラルドの瞳から流れる涙に、何人かの政治家がごくりと喉をならした。
グラハムの後孔を犯す白人青年は、顎を掴んだまま、もう片方の手でグラハムのペニスをゆるやかに撫でた。
優しい手つきはグラハムにとってはもどかしく、より強い刺激を求めて体が自然に腰をくねらせてしまう。

「エーカー君」
あまりに現実離れしていた状況に、半ば呆然と快楽に流されていたグラハムは、
自分をここに連れてきた上官の声に顔を上げた。彼はステージの下でこちらを微笑みながら見上げている。

「頑張ってくれたまえよ。これからここで競りが行われるが、君の今夜の値段がそのまま来期のMSWAD予算に加算される。
 大部分をフラッグの開発費にまわすと約束しよう。君の痴態を金持ちのお偉いさん達に見てもらって、
 せいぜい高額をつけてもらってくれ。君は軍内でもそっち方面での評価はすこぶる高いからね。期待しているよ」


「ふあ……っ」
フラッグ、フラッグ、フラッグ…その単語は卑怯だ。上官の言葉は即効性の毒の様に、脳に浸透し思考を支配していく。
おずおずと自分の性器に手をのばし、後ろを貫かれたまま別の男のペニスに舌を這わせた。
ステージ下から見えやすい様に全身をくねらせているくせに、堪え難い屈辱に頬には涙が伝う。
その矛盾が客の心を捉えたらしい。
霞んでいく思考の端で、グラハムは急激につり上がっていく値段を数える事を止めた。

| 分岐モノ::2:オークション | 2008,03,10, Monday 02:43 PM

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