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カタギリ6(part4 651)
「見てよグラハム、これが僕たちの新しいMSだよ」
ビリーがそう言って、ベッドの上に大層誇らしげに広げて見せた設計図には、
他国のどんな機体よりも、勿論ユニオンの主力であるユニオンリアルドよりも、
ずっとずっと華奢で酷く脆弱そうなMSの青写真が、まだ不完全に描かれていた。
ほんの数年前の出来事だ。だがしかしそれは、もう随分昔のような気がする。
「飛べるのか、こんなものが」
グラハムは中々飲みきれずに口の中で弄んでいたビリーの精液を少し咽ながら
慌てて飲み干して、思わず声を上げた。
先刻まで存在した、ビリーの性的な戯れをまだ存分に受け続けていたい欲求は、
「MS」の一言を聞くや否や、驚くほど綺麗に吹き飛んでしまった。
友人だったビリーによって教え込まれている最中の、男のペニスの味に、
どうしようもなく虜にされかけているのはある面においての事実ではあるが、
しかし結局グラハムは他の何よりもMSが好きだ。これだけは生涯変わるまい、と思う。
「こんなものとは心外だね。エイフマン教授と僕たちの班が、心血を注いでる機体なのに」
ビリーは笑いながら言った。グラハムの反応が予想通りで面白いと言った風に。
先刻までグラハムに向けていた淫蕩な目つきも口ぶりも、既に影を潜めていた。
MSの話をする時はビリーもまた、少年のように無邪気な顔をする。
グラハムは彼のそういった所にひどく好意を抱いていた。
「勿論、飛べるよ」ビリーは続けた。

| カタギリ::6 | 2008,02,23, Saturday 05:04 AM

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