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オークション(part6 790)Sハム
「わたしは高いですよ」
テーブルに腰を乗せたまま青年はふてぶてしく微笑み足を組んだ。
嫌味なほど綺麗な顔に不適な笑みは、しかしあまりにも性的だ。
見る者の視線をそらすことが出来ない。
ごくりと喉を鳴らす音が聞こえる。
「さ、触っても…いいかね」
中年の男がおずおずと手を差し出すがグラハムの白い手で弾かれた。
「触るな!触るなと言った」
「す、すまない」
翡翠のような目で睨まれ男は瞬間たじろぎ、その後うっとりとした表情になる。
「わたしは我慢弱い」
ふふ、と自嘲するように笑うとグラハムはネクタイを緩め、上着を脱ぐ。
シャツの上からでも分かるきっちりと作りこんだ美しい肢体に周囲から溜息が聞こえた。
テーブルに置いてあるグラスを無造作に取り中の酒を一気に煽る。
飲み干す喉の動きにさえ色気を感じ誰も目を離すことが出来ない。
目尻を紅潮させ赤い舌で舌なめずりさせると好戦的に上目遣いで周囲のセレブを一通り値踏みするように眺めた。
この青年に触れられるならば…金など惜しくはない。
異様な興奮状態の中、金額は高騰し留まることはない。
グラハムは片膝を抱きかかえるようにして微笑んでいた。
その仕草は子供のように邪気がなく清廉な天使のようだ。
だが冷静に周囲を観察する目は魔性に満ちその絶対的な支配力に逆らうことが出来ない。
金糸の髪を無造作にかきあげちらと視線を部屋の隅へ送る。
そこには呼吸も忘れたかのように呆けた顔で彼を見つめるプレジデントがいた。

| 名無しの男(達)::6:オークション(Sハム) | 2008,03,11, Tuesday 02:55 PM

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