足コキ
両腕をベッドの柱に拘束されたまま、まずズボンを脱がされた。信じられない光景だ。まさか。あのグラハム・エーカーに。
「駄目だよグラハム、下着も下ろさなければ」
「……ッ、わかっている……」
一瞬だけ、俺の下着に手をかけた上官と目が合った。
目が合ったそれはどうしようもなく頼りない顔で、すぐに目を伏せられた。
「……すまない」
「いいから、早く終わらせてください」
「ああ……」
一時の我慢だ。
こんな事になるなら、命令違反などしなければ良かった。
新たなガンダムの出現という事態が起こったとは言え任務に失敗した罰として。
しかしあの時、ガンダムを捕り損ねたのは俺が起こした命令違反が原因でもある。
そうこう議論された末、俺とグラハムはこんな馬鹿げた事をすることになった。
(——なんで、俺がこんな……屈辱以外の何物でもない……!)
何なんだ、ここの技術顧問は。気でも狂ってるんじゃないのか?
おかしいのはビリー・カタギリ……こいつだけじゃない。
『全く、君達のお陰でカスタムフラッグが台無しだ。
今日はジョシュアと一緒に罰を受けて貰うよ、グラハム
そうだな、まずは……グラハム、足で彼のを扱いてごらん』
その言葉を躊躇いながらも承諾した上級大尉もだ。
まさか毎回こんな事をしているのか?
呆然とやり取りを見ていた時、技術顧問と目が合った。
一瞬の不敵な笑みが気に食わなかった。
確かに、グラハム・エーカーは他の軍人共に比べれば童顔で華奢、
つまりそういう目で彼を見る者も少なくない。
大方俺もそういった人間の一人で、変に好意があるから突っかかったとでも思われたのだろう。
そう思われたことが、まず腹立たしかった。
俺は純粋にこの男と、軍人として、フラッグファイターとして張り合っていたつもりだ。
なのに——
そして、俺が好敵手と思っていた男は、
どうやらヘマをする度にこんな変態じみた事をされていたらしい。
酷く気分が悪い。
だというのに、心の奥底で昂揚している自分が信じられなかった。
その証拠に、熱を持ち始めている自身が、
グラハムが手をかけた下着の下から現れる。
それを確認したグラハムは一瞬手を止めたが、すぐに次の手順に移る。
靴下を脱ぎ、椅子に腰掛けたグラハムが、恐る恐る足を上げ、
俺のそれと、足の指を絡ませた。
「……ジョシュア、痛かったりしたら……その、言ってくれ」
いいからさっさとやってくれ、とうんざりした気分だ。
だが恐らく、俺は目の前のグラハムと同じような表情をしているに違いない。
もう、どこに視線をやっていいのかわからない。
「痛い方が罰らしくていいんじゃないかな」
冗談じゃない。これ以上の罰なんて存在するものか。
銃殺刑の方がまだマシかもしれないくらいだ。
そう考えていた矢先に、グラハムの足がゆっくりと動く。
「……ッ!」
予想していなかった快感に口を噤んで俯いた。
俺の動きに一瞬躊躇ったようだが、ぎこちなく足が動かされる。
視線を上げると、頬と目尻を紅潮させたグラハムがいた。
口元を手で抑えながら、視線を逸らされる。
その間も、ゆっくりと、足が動いていた。
それにしても動きが鈍すぎる。
こんな行為じゃ生殺し同然だ。永遠に終わらないじゃないか。
勘弁してくれ、と考えた時、俺達の行為を監視するかのように腰掛けていたカタギリが口を開いた。
「グラハム、それじゃあいつまで経っても終わらないよ」
「だ、だが、どうしていいか……」
「君は自分で扱く時そんなにモタモタしているのかい?」
グラハムの赤い頬が更に紅くなっていく気がした。
「この様子じゃ、いつまでかかるかわからないな。
僕はここで仕事をしているから」
そう言って、わざと呆れたような溜息をついてデスクに向かう。
俺達に背を向けるような形で。
「ふ……ふざけるな、アンタが……っ!」
止まっていたはずのグラハムの足の動きが再開された。
それも、先程より少し速い。
「あ、あのな……するならするって言ってから……ッ」
「すまない……しかし、君の為にも早く……その」
「……もういいから、早くしてください」
「わかってはいるんだが……こんな事は初めてで、どうしていいものか」
チ、と舌打ちする勢いで目をやると、グラハムのそれも、恐らくだが、熱を持っていた。
「……部下のを足で弄ってるだけで、興奮してるんですか?」
自分でも一瞬何を言っているのかわからなかった。
とにかく、感情が暴走していた。思考より先に言葉が走る。
「全く、とんでもない人だ!貴方も、そこにいる技術顧問も、こんな淫らな行為を——」
「仕方ないだろう……これは任務に失敗した我々への罰なのだから」
「——……は」
大真面目な顔で、上級大尉殿は言ってのけた。
「罰なのだから仕方ない。それより、君がどうやったら感じるのか教えてくれ
こんな事はさっさと終わらせるべきだ……そうだろう」
まさか、こいつ。本気でこれが罰だと思っているのか?
こんな行為を命じるなんて正気の沙汰じゃない、という事を、
それ自体を理解していないとでも?
会話を聞いていたらしい技術顧問が声をかけてくる。
「何、グラハム。君は何もされていないのに、それだけで興奮してるのかい」
「こ、これは……」
「本当に君って人は……酷い淫乱だね。もっときつい罰じゃないと罰にもならないようだ。
君への罰は後で考えるとして、まずは彼を解放してあげないと。
そろそろ彼も反省しているだろうしね」
問題の上官はすごすごと足を動かしているが、相変わらずのぎこちなさだ。
やれやれ、と重い腰を上げるように、カタギリ技術顧問がグラハムの背後に回る。
「両足で挟んで擦り上げるんだ、ほら、やってごらん」
「ッ……」
耳に息を吹きかけるように囁く、……実際に吹きかけたのかもしれないが、
その技術顧問の言葉通りに、今度は両足で俺のペニスを弄り始める。
上下に、左右に。
すると今度は、カタギリ技術顧問がグラハムの服を器用に後ろから脱がせ始めた。
「か……カタギリ……」
「駄目だよ、足を動かしていないと。」
「……ッ、あ」
何か文句を言ってやろうと口を開いた瞬間、甲高い声が漏れてしまった。
自分でも情けなくなるような、女のような声が。
「っあ、ああ……」
自分の上げたものとは違うその声に驚いて顔を上げると、
グラハムが後ろから両の乳首を弄られていた。
「や、やめ……て、くれ……ッカタギリ……!」
「足を止めるなと言っているのに」
「あ、あ……」
グラハムは全く抵抗を見せない。それどころか、恍惚とした表情で喘いでいた。
女のように嬌声を上げて、それでも言われた通り、足の動きを止めない。
何もかもが信じられなかった。
グラハムと技術顧問の関係も、目の前のグラハムの痴態も、自分が置かれているこの状況も。
両胸の突起を親指と中指で摘まれ、中央の窪みを人差し指で弄られる。
ただそれだけで、グラハムは狂ったように喘いでいた。
「あ、はあぁ……っあ、ん……」
もう、乱れきっていた。腰を揺らしながら、
俺のペニスを足の指と、足裏を使って擦り続ける。
目の前の扇情的なまでに乱れたグラハムと、与え続けられた刺激のせいか、
ペニスの先から先走った液が垂れ、グラハムの足が動くたびに音を立てる。
グラハムもそれに気付いたのか、今度はペニスの先端まで弄る。
その刺激で、とうとう俺は射精してしまった。
「うん、一応きちんと出来たみたいだね」
乱れた息を整えながらも、ようやくこれで解放されると思ったその時、
技術顧問がとんでもない事を言い出した。
「でも、彼の脚が汚れてしまった。」
「……」
何を命じられるわけでもなく、暗黙の了解というものか。
グラハムは椅子を降り、跪くように俺の脚を舐め始めた。
どうやら、行為で散った精液は毎回グラハムに舐め取らせているらしい。
何て奴なんだ、この技術顧問。
太腿から膝にまでかけて飛び散った俺の精液を、丁寧にグラハムが舐め上げていく。
その間も、グラハムの腰は微妙に揺れていた。
——つい、先程までは、好敵手としての純粋な敵対心だったはずだ。
しかし、こうして性的な行為を交えている中で、ある事に気付いてしまった。
俺は、このグラハム・エーカーという、男のことを。
好きだったのではないだろうか。
現に、俺は今、この変態じみた行為に何の嫌悪感も抱いていなかった。
それどころか、興奮してさえいる。
再び熱を持ち始めた俺のペニスに、グラハムが気付く。
上目遣いに視線を上げたグラハムと目を合わせた時、部屋の扉が開いた。
入ってきたのは、エイフマン教授だった。
カタギリは教授に驚くこともせず、「ああ、すいませんね、こんな状態で」等と会話を交わしている。
そのやり取りを口を半開きにしたまま見ていたが、
「ッ!?」
驚愕した。グラハムが、俺のペニスを咥えている。
それだけじゃない。舌を絡ませて吸い付くように刺激を与えてくる。
「な……っ!」
無我夢中と言わんばかりに、左手を添えてペニスにしゃぶりついていた。
右手で自分のモノを扱きながら。
その痴態に、言葉を失うしかなかった。
「見て下さいよ、話にならないでしょう?彼の淫乱ぶりときたら」
「全くじゃな、まあ、これで少しは懲りるじゃろうて」
教授がカタギリに差し出したものは、間違いない、バイブだった。それも太く、禍々しい形の。
| ジョシュア::6:カタギリ、ジョシュア3 | 2008,02,08, Friday 10:48 AM