おあずけ
そのまま腰を押さえ、ジョシュアは力任せに二度三度と抽送を繰り返す。身勝手に動いたはずなのに、前立腺を刺激したのか、グラハムは抵抗する事なく快感に身を震わせていた。
達したばかりの筈のペニスも、とうに堅さを取り戻し始めている。
「あなたという人は、どれだけ感じれば気が済むんです。
尻に突っ込まれて、それでもまたおっ勃てて。本当は男のペニスが大好きなんですよね。
いい加減、素直に認めたらどうですか。事実、俺にこうされて感じているわけなんですから」
「っ、そんなことあるはずが……!」
「……まだ、ご自分の立場が分かっていないようですね。本当に強情だな。
どうすればあなたが壊れてくれるのか、試したくなる」
そう言ってジョシュアは、尻穴に埋もれていた自身のペニスを引き抜き、
——その感覚ですら、真実グラハムの体は悦んでいたのだが——再び、問うために口を開いた。
「さあ、どうします。全部あなたが悪いんですよ」
そう言ってジョシュアは、覆い被さっていたグラハムを突き飛ばすようにして身を起した。
「なッ、——」
グラハムの体は火照り、解放を求めている。そうしたのはジョシュアだ。——だと云うのに。
うろたえるばかりで続きは言葉にならない。
そうする間にもジョシュアは衣服を身につけ始めていた。
先ほどまで自分を嬲っていたとは思えないその態度、そして相手は本気なのだという戸惑いで、
グラハムの体はますますおかしくなり始めていた。
その嵐のような激しさに、判断も苦しさも飲み込まれて、いっその事狂ってしまいたくなる。
裸のまま呆然としているグラハムに、ジョシュアは言った。冷たい声だった。
「いい加減、楽になったらどうです」
その言葉が引き金になった。
——意を決し、グラハムは、痛いくらいに反り返ったペニスに手をかける。
焦らされ続けていたせいか、そこはどろどろに先走りの汁をこぼしていた。
左手で幹を包み、ぬめりを広げるように上下に擦ると意識せずに声が漏れた。
「ん…、はッ……」
今までにない快感だった。
薬のせいなどではない。ようやく望むものをはっきりと自覚したせいだった。
それとも、目の前でこの痴態を見下ろしている部下の視線を、はっきりと感じているせいなのかは分からない。
男相手にこんな事をして、一体なにが楽しいのか。
未だにグラハムにはジョシュアの気持ちが理解出来ないでいた。
だが、同じ男としてならば、この熱に浮かされる本能のような衝動は理解出来るはずだとも思う。
それを言い訳にしてグラハムは自慰に耽る。
「あッ、……ア」
唇を噛み、声を殺す事はもう出来ない。痛みすら快感に変わるこの状況はただ恐ろしかった。
このまま熱に浮かされ理性を飛ばし、惨めにすがりつくようなさまだけは晒したくない。
それが結果としてジョシュアの意思に従う事になっても、もはやグラハムには構わなかった。
それほどまでに追い込まれているのだ。そして理性の殻が砕けるのは早い。
「あっ、あ——はッ……く」
「可愛いなあ、上級大尉殿は。部下の前でオナニーしちゃうくらい、溜まってたんですよね」
「——ッ、こ、これは君が……!」
心外な台詞に反論する間もなく、ジョシュアは続けた。
「早くイきたいんでしょう? 全部見ててあげますよ。
……睨んでるつもりでしょうけど、その格好じゃまるで誘ってるようにしか見えないな」
そのジョシュアの嘗め回すような視線の先には、顔は上気し、閉じられない唇からは
荒い息と声が絶え間なく漏れている、他の誰でもないグラハムの姿がある。
先ほどまでは羞恥に耐えていたのか伏せられていた瞳も、今では潤み大きく見開かれている。
だが、下半身の一点だけは変わらず隆起したままだった。
その己の身を自覚したグラハムは、ハッと我に返り口をつぐむ。
もう終わりにしたかった。
喉元から込み上げてくる苦いものがあった。そこに戸惑いがないと言えば嘘になる。
だが、羞恥と悔しさ、それらを差し引いてでも達してしまい思いに、心は折れた。
我慢弱い自分を恥じながら、握っていたままの左手を動かす。
先ほどよりも、強く、きつく。もっと、——もっとだ。
「はッ、…アッ…」
体は正直だった。高まった体は気持ちとは否応なしに反応する。
——私はこんなにも色に溺れる男なのだろうか……。
自らの指に喘ぐ声すら、今では快楽の悦びに摩り替わっていた。
呼吸が速くなり、自分の感じる場所を重点的に扱いては上り詰めていく。
「あああッ——」
達すると同時に一際高い声が上がり、どろりと白濁した精液がぽたぽたと垂れてはシーツを汚していく。
その様子をグラハムは放心して眺めていた。
長い、痺れるような快感だった。自慰がこんなにも気持ちがよいと思ったことは、今までになかった。
自分の指でこんなにも乱れ、己を見失い、尊敬を得るべき部下の前で痴態を演じた……。
きっかけは不可抗力といえど、その事実に何ら変わりはない。
「ははッ、いいイきっぷりでしたよ。随分、可愛い声出てましたけど、根をあげなかった事だけは褒めてあげます」
ジョシュアは拍手を送りながら、満足げに笑った。
思ったよりも時間は掛かったが、これで上官はこの日の出来事に口をつぐむのだという確信があった。
「いよいよ明日からは合同軍事演習ですね。ハハッ、ユニオンのトップファイターがこの調子じゃあ、
一体どうなる事やら。上官なんですから、無様に遅刻なんて真似、しないで下さいね。
頼みましたよ、——上級大尉殿」
軍靴の音を響かせて、ジョシュアはドアへと向かう。
ドアロックパネルに手をかざし、開くタイミングで振り返り、彼は言った。
「——じゃあ、また明日」
このままでいれば、また明日も顔を合わせる事になるのだと、言外に告げる。
この一夜の出来事を問いただし裁きにかけるのならば、そのチャンスは今だけだ。
今までの、卑怯を嫌い、正義感の強い彼ならばそうするはずだった。
だが、ベットの上の上官は裸体を晒したまま身動きひとつせず、視線すらジョシュアによこさない。
そしてドアは音もなく閉まり、その沈黙を守った。
裸のまま呆然としているグラハムに、ジョシュアは言った。冷たい声だった。
「いい加減、楽になったらどうです」
その言葉が引き金になった。
——意を決し、グラハムは、痛いくらいに反り返ったペニスに手をかける。
焦らされ続けていたせいか、そこはどろどろに先走りの汁をこぼしていた。
左手で幹を包み、ぬめりを広げるように上下に擦ると意識せずに声が漏れた。
「ん…、はッ……」
今までにない快感だった。
薬のせいなどではない。ようやく望むものをはっきりと自覚したせいだった。
それとも、目の前でこの痴態を見下ろしている部下の視線を、はっきりと感じているせいなのかは分からない。
男相手にこんな事をして、一体なにが楽しいのか。
未だにグラハムにはジョシュアの気持ちが理解出来ないでいた。
だが、同じ男としてならば、この熱に浮かされる本能のような衝動は理解出来るはずだとも思う。
それを言い訳にしてグラハムは自慰に耽る。
「あッ、……ア」
唇を噛み、声を殺す事はもう出来ない。痛みすら快感に変わるこの状況はただ恐ろしかった。
このまま熱に浮かされ理性を飛ばし、惨めにすがりつくようなさまだけは晒したくない。
それが結果としてジョシュアの意思に従う事になっても、もはやグラハムには構わなかった。
それほどまでに追い込まれているのだ。そして理性の殻が砕けるのは早い。
「あっ、あ——はッ……く」
「可愛いなあ、上級大尉殿は。部下の前でオナニーしちゃうくらい、溜まってたんですよね」
「——ッ、こ、これは君が……!」
心外な台詞に反論する間もなく、ジョシュアは続けた。
「早くイきたいんでしょう? 全部見ててあげますよ。
……睨んでるつもりでしょうけど、その格好じゃまるで誘ってるようにしか見えないな」
そのジョシュアの嘗め回すような視線の先には、顔は上気し、閉じられない唇からは
荒い息と声が絶え間なく漏れている、他の誰でもないグラハムの姿がある。
先ほどまでは羞恥に耐えていたのか伏せられていた瞳も、今では潤み大きく見開かれている。
だが、下半身の一点だけは変わらず隆起したままだった。
その己の身を自覚したグラハムは、ハッと我に返り口をつぐむ。
もう終わりにしたかった。
喉元から込み上げてくる苦いものがあった。そこに戸惑いがないと言えば嘘になる。
だが、羞恥と悔しさ、それらを差し引いてでも達してしまい思いに、心は折れた。
我慢弱い自分を恥じながら、握っていたままの左手を動かす。
先ほどよりも、強く、きつく。もっと、——もっとだ。
「はッ、…アッ…」
体は正直だった。高まった体は気持ちとは否応なしに反応する。
——私はこんなにも色に溺れる男なのだろうか……。
自らの指に喘ぐ声すら、今では快楽の悦びに摩り替わっていた。
呼吸が速くなり、自分の感じる場所を重点的に扱いては上り詰めていく。
「あああッ——」
達すると同時に一際高い声が上がり、どろりと白濁した精液がぽたぽたと垂れてはシーツを汚していく。
その様子をグラハムは放心して眺めていた。
長い、痺れるような快感だった。自慰がこんなにも気持ちがよいと思ったことは、今までになかった。
自分の指でこんなにも乱れ、己を見失い、尊敬を得るべき部下の前で痴態を演じた……。
きっかけは不可抗力といえど、その事実に何ら変わりはない。
「ははッ、いいイきっぷりでしたよ。随分、可愛い声出てましたけど、根をあげなかった事だけは褒めてあげます」
ジョシュアは拍手を送りながら、満足げに笑った。
思ったよりも時間は掛かったが、これで上官はこの日の出来事に口をつぐむのだという確信があった。
「いよいよ明日からは合同軍事演習ですね。ハハッ、ユニオンのトップファイターがこの調子じゃあ、
一体どうなる事やら。上官なんですから、無様に遅刻なんて真似、しないで下さいね。
頼みましたよ、——上級大尉殿」
軍靴の音を響かせて、ジョシュアはドアへと向かう。
ドアロックパネルに手をかざし、開くタイミングで振り返り、彼は言った。
「——じゃあ、また明日」
このままでいれば、また明日も顔を合わせる事になるのだと、言外に告げる。
この一夜の出来事を問いただし裁きにかけるのならば、そのチャンスは今だけだ。
今までの、卑怯を嫌い、正義感の強い彼ならばそうするはずだった。
だが、ベットの上の上官は裸体を晒したまま身動きひとつせず、視線すらジョシュアによこさない。
そしてドアは音もなく閉まり、その沈黙を守った。
| ジョシュア::1 | 2008,01,28, Monday 05:53 AM