NEWEST / < NEXT   BACK >

ハワード1(part2 306,354,358,679,680)

女装

部屋を支配する深い、深い闇の中。
ハワード・メイスンは身体を起こし、隣に横たわる人物をちらと見やった。
グラハム・エーカー上級大尉。
うすうす自分の想いに気づいていたのだろうか、入隊以来欲してやまなかったこの憧れの人は、
かつて一度だけだという約束で自分と関係をもった。
だがそれ以来、ハワードが無理に押し切る形で二度三度と関係は続いている。

「大尉、少々の戯れをお許しください——」
眠りに落ちかけていたグラハムは、夢うつつの中でその声を聞いた。
ふと、柔らかい布の感触を素肌に感じる。
夜間着を着せてくれているのか?何を今さら…
再びまどろみに入ったグラハムは、わずかな明かりを感じて目を開けた。

グラハムが纏っていたのは、彼が着たこともないような薄くつややかな生地。
それはどうみても女物の衣服だった。
さすがにグラハムの顔色が変わる。ハワードはそれに気づかないふりをした。
回を重ねるごとに増していくグラハムへの執着心が、明らかに自分を歪んだ欲望へと駆り立てているのをハワードは分かっていた。
だがそんな事を彼に説明してどうなるものか。
ハワードは何も言わずにグラハムの細い肢体を、艶やかに光る布の上から撫でた。

「ハワード!私はそういう趣味はないぞ」
グラハムはびくっと反応し、怒りを含んだ声を返してきた。
「分かっています。しかし今回だけ、お付き合い願えませんか…」
そう言ってハワードはグラハムの唇から、それ以上の抗議の言葉を封じた。
「ん…んっ…!」それでもなおグラハムは不満げに眉をひそめている。
身体を押しのけようとする手をハワードは、これまでグラハムに対しては決して使わなかった
強い力でもって押さえつけた。
顔を離すとグラハムの、かすかな驚きの表情が目に入った。
ハワードは不敵な笑みでそれに応える。

耳の穴を舐りながら、グラハムの服の滑らかな感触と、その下に包まれたしなやかな筋肉を確かめていく。
胸の突起に手のひらが触れたとき、グラハムは「あっ…」と小さく叫んだ。
ハワードは布地を敏感な突起に擦り合わせるように、手のひらを、指を使って服の上からそこを刺激した。
大きく開いた胸元から手を入れて直に触ると、グラハムはわずかに震え、身をよじって嫌がるような仕草をした。
望みどおりの反応を見せるこの美しい上官に、ハワードは背中がぞくぞくするのを感じた。
グラハムの艶やかな服を乱しながらも決して脱がすことなく、執拗に愛撫を続けていく。
「女物の服がこんなによく似合うなんて御存じなかったでしょう。自分で御覧になりますか…大尉」
ハワードはグラハムを後ろから抱え起こし、部屋の姿見に映して見せた。

あられもなく乱されている、鮮やかな色の服が真っ先にグラハムの目に飛び込んできた。
そしてそこに映っているのは、普段の姿とはかけ離れているが、それでもまぎれもない自分だった。
「やめろ…こんな姿など見たくない。もういいだろう、ハワード」
グラハムはこの異様な状況を改めて突きつけられ、思わず流されてしまっていたことを今さらながら悔いた。
しかしここでこの服を脱ぐことは、何故か妙にいやらしいことに思え、
どうしてもできない。そんな自分にグラハムは戸惑う。

グラハムはただ茫然と鏡を見つめ、どうしたらいいのか分からないようだった。
ハワードはその様子を後ろからじっと見守っていた。
「私にお任せください…大尉。そのまま鏡を見ていて下さい」
なだめるようにグラハムの肩に置かれた手は、腕をつたって服の上から腿の外側を擦り、
やがて裾を捲って内側へと滑っていった。
「…っ!」身体がびくんと跳ねる。
「あ…」グラハムの頬は紅潮し、目線が伏せられる。
眼前にある鏡には、部下の指に弄ばれて乱れていく自分の姿。
グラハムの身体は正直にもハワードに求められるまま、反応を返そうとしている。
だがその反応は、着衣の長めの裾に覆われて、実に密やかに起こっていた。
「大尉、何も恥ずかしいことはありませんよ。ほら…こうして隠しているでしょう」
薄い布の下から、くちゅくちゅといやらしい音が聞こえてくる。
ハワードの手の動きに合わせて真紅の裾がちらちら揺れているのが、グラハムの視界に入った。
上半身はすでに脱げかかっており、中途半端に絡みついた服の下からもう一方の手が徘徊していた。
快感が高まっていくにつれて、グラハムはこの不自由な服にだんだんと囚われていく自分自身を止められなくなった。

落とされた明かりと漂う濃密な空気の中で、グラハムは思考が次第に麻痺していくのを感じた。
ハワードに促されるまま、その大きな姿身の両側に手をつく。
息で鏡がくもる位顔を近づけても、下半身に纏いつく服がハワードの手で徐々に上げられていく様子が見えてしまう。
服の下から両手を入れて腰を支えながら、ハワードはグラハムの中に侵入した。
グラハムの指が徐々に冷たい鏡の表面を滑り下りていく。
ついにグラハムは膝をついた。ハワードは、その上から覆いかぶさるようにしてさらに彼を貫く。
その間もハワードは、目の前に映る愛しい人の姿に魅入られていた。
そして長い睫毛を伏せて荒い呼吸をしているグラハムの顎を、指でそっと上げた。
「大尉…私を見てください。私がいつでもそうしているように」
鏡に映ったハワードは、そう言ってグラハムに優しげな微笑を向けた。

| オーバーフラッグス::1:ハワード1 | 2008,01,28, Monday 06:28 PM

NEWEST / PAGE TOP / < NEXT   BACK >


ARCHIVES

<前 2024年09月 次>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30      

CATEGORIES

LINK

POWERED BY

BLOGNPLUS(ぶろぐん+)