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売春リンカーン→分岐1-b-1:ロックオンルート1(part4 526,527)
「じゃあな、約束の金だ。また縁があったらよろしく頼むぜぇ」
下品な笑い声が複数の足音と共に遠のいていく。
虚ろな目で、グラハムは金髪の男を追った。
「…ジョ、シュア……」
目の前が白く霞む。何故だか涙が止まらなかった。
名前を呼んだ瞬間に気付いてしまったのだ、彼はジョシュアではないと。
そうだ、ジョシュアではない……ジョシュアは、あの時——あのガンダムに。
「う…い、やだ……」
立ち上がろうと足に力を入れる。しかし体が言うことを聞かず、グラハムは前に倒れこんだ。
腰が痛い。散々乱暴をされた、下腹部も。
先程まで男のモノを咥えていた場所がひりひりと痛む。
だが、何より胸が張り裂けるように痛かった。
彼がジョシュアではないというなら、ジョシュアは何処に?
死んだはずはない、先程までジョシュアは此処に……私の傍に。
いいや、彼はジョシュアではなかった。ああ、駄目だ、彼を、ジョシュアを見失ってしまう——
金が捻じ込まれた上着を拾い、よろよろと壁伝いに扉へと向かった。そのまま部屋を出、階段を降りる。
フロントにいた男が驚いた顔でこちらを見ていたが、構わず外へ出た。

続き▽

| 分岐モノ::1:売春リンカーン | 2008,02,22, Friday 01:55 AM

売春リンカーン→分岐1-a:カタギリルート(part4 522,524)
グラハムからの電話を受け、ビリーは必死で車を走らせた。
早く彼を迎えに行ってやらねばならない、それだけが頭にあり、
信号を無視してクラクションを鳴らされてもスピードを落とすことはなかった。


今から一時間程前、基地のベッドで仮眠をとっていたビリーを起こしたのは
一本の電話だった。寝惚け眼で鳴り続ける携帯を耳に押し当てた彼が聞いたのは
友人のか細い声だった。そしてその声はこう言った。
「助けてくれカタギリ、今モーテルにいる…」
ただ事ではないのはすぐに分かった。だが続いた言葉にビリーは言葉を失った。
「客に金も服も取られたんだ、無様だろう…」
客に、とグラハムは言った。声は憐れなほど震えている。
だからこそビリーは問い詰めることが出来なかった。
何があったのか、彼のプライドの高さをを知っているから聞けなかった。
だがグラハムの声は更に自分を追い詰めるように続く。
「金を貰って寝なきゃならないのにこれだ、久しぶりだったから腕がなまったかな」
「グラハム…」
「今モーテルの場所を言うから来てくれないか?こんなこと頼めるのは君しかいない」
住人を告げると電話はあっけなく切れた。

ビリーは仮眠室のベッドの上でしばらく呆然としてから
替えの衣服をかき集め告げられた住所へ車を走らせた。
確かにグラハムは部下の死からこちらおかしかったが
金で寝るなんて彼らしくなかった。
やがて見えてくるモーテルの看板を眺め、ビリーは唇を噛む。
本当に彼らしくなかった。自暴自棄になったのなら自分でもよかったはずだ。
知らない男だなんて病気でも移されたらどうするつもりなのだ。
ビリーはモーテルの駐車場に車を停め、替えの服を入れた鞄を手に指定された部屋に走った。

続き▽

| 分岐モノ::1:売春リンカーン | 2008,02,22, Friday 01:34 AM

カタギリ5(part4 514-518)
カタギリの病室のドアがノックされたのは、消灯時間も大幅に過ぎた真夜中のことだった。
作業中の端末から顔を上げ、こんな時刻にいったい誰かとカタギリは身構える。
エイフマン教授が亡くなったあの襲撃事件のあと、オーバーフラッグス技術部員は皆、
かなり神経を過敏にさせていた。

「——カタギリ、私だ」

聴こえてきたのは、深みを帯びて響く、いつだって凛々しいグラハムの声で、カタギリはほっとため息をつく。
腕の骨折と肋骨のひびがまだ癒えていないカタギリとは対照的に、フラッグの無茶な操縦により
同じ病院に検査入院していたグラハムは、驚くほどの回復力をみせて、早々に退院していた。

「どうしたんだい。——どうぞ、入って」

この突然の来訪に、何か技術的な質問でもあったのだろうと、カタギリは特に疑問を抱かない。
今までにも、モビルスーツの開発や整備に関して疑問があれば、夜中でも叩き起こされたことが何度もあった。

「もう体はすっかりいいのかい」
「——よくはないな」

呟いて、グラハムはまつ毛を伏せながら視線をそらす。
どきっとして、カタギリは身を起こし、彼の表情を窺った。操縦中の生体データと、
機体に記録された、限界値を吹っ飛ばす運動データを照らし合わせれば、
グラハムの受けた苦痛が並大抵のものでなかったのはわかる。

「大丈夫なのか。君はいつでも無理をするから」
「勘違いするな。——何も、我慢する気など毛頭ない。カタギリ」

澄んだ緑の眼が、まっすぐカタギリを射た。

「身勝手は承知しているが、生憎と気の長い方ではないからな」

言って、グラハムは足早に近づいてくると、カタギリのベッドに手をついた。
端末を載せたテーブルのアームを押しのけて、肩を掴まれたかと思うと、何が何だかわからないままに唇を重ねられる。
押しかぶせられる濃厚な体温。グラハムの呼吸が荒い。

「んっ……、な、」
「……これが、足りなかった。つきあえ、カタギリ」

続き▽

| カタギリ::5 | 2008,02,22, Friday 01:18 AM

売春リンカーン→分岐1(part4 483)
「やめてくれジョシュア…やめ…」
グラハムは唇で男のペニスからこぼれた精液を垂らしながら、
死んでしまった部下に似た金髪の青年にすがった。
だがその言葉は最後まで紡がれることはなかった。
なぜなら後ろから乱暴に腰を打ち付けられ、彼の口に吐精したのとは違う男がまた
グラハムの唇にペニスを押し付けたからだ。
「ジョシュア?なんだそいつがお前の男か?」
先程グラハムの顔に精液をかけた男が煙草を吹かしながら言った。

安いモーテルの一室には入れ替わり男達が訪れてくる。
部屋の人数からもこの乱痴騒ぎがすぐには終わらないだろうことを
グラハムは知っていた。その敏感な体は痛みも快楽も両方を拾ってしまう。
何度も絶頂を迎え気が狂いそうになりながら、
それでもグラハムは助けを求めずにはいられなかった。
「ジョシュア、ジョシュア…」
だがその声は笑い声にかき消されてしまう。
「ちんぽおっ起ててよく言うよ、こいつ正真正銘のカマだな!」
ジョシュアに似た金髪の男が笑う。いやあれはジョシュアなのではないか?
今犯される自分を見て笑っているのはジョシュアなのではないか?
意識は曖昧になり、自分は今誰に抱かれているのか分からなくなってしまう。
(ジョシュアは生きていたのではないか?
ああやって私をあざけっていたじゃないか…)
グラハムは涎をたらし、熱心にペニスにしゃぶりつく。
誰かが口笛を吹き、また違う誰かが腰を振る彼の尻を叩いた。
(そうだ、これはジョシュアのものだ、私は彼に犯されている…)
そう思えば気は楽になった。
元からグラハムはこのようなな仕打には慣れていたから
やりすごせないわけではなかった。あれがジョシュアではないことが
ずっと耐えられなかったのだ。
そしてずっと部下を失ったことが耐えられなかった。
体を蝕む痛みやそれを上回る程の快楽にグラハムは体を任せる。
彼は部下の生存に涙を流して悦び、注がれる精液を飲み干した。

| 分岐モノ::1:売春リンカーン | 2008,02,22, Friday 12:32 AM

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