女装
部屋を支配する深い、深い闇の中。ハワード・メイスンは身体を起こし、隣に横たわる人物をちらと見やった。
グラハム・エーカー上級大尉。
うすうす自分の想いに気づいていたのだろうか、入隊以来欲してやまなかったこの憧れの人は、
かつて一度だけだという約束で自分と関係をもった。
だがそれ以来、ハワードが無理に押し切る形で二度三度と関係は続いている。
「大尉、少々の戯れをお許しください——」
眠りに落ちかけていたグラハムは、夢うつつの中でその声を聞いた。
ふと、柔らかい布の感触を素肌に感じる。
夜間着を着せてくれているのか?何を今さら…
再びまどろみに入ったグラハムは、わずかな明かりを感じて目を開けた。
グラハムが纏っていたのは、彼が着たこともないような薄くつややかな生地。
それはどうみても女物の衣服だった。
さすがにグラハムの顔色が変わる。ハワードはそれに気づかないふりをした。
回を重ねるごとに増していくグラハムへの執着心が、明らかに自分を歪んだ欲望へと駆り立てているのをハワードは分かっていた。
だがそんな事を彼に説明してどうなるものか。
ハワードは何も言わずにグラハムの細い肢体を、艶やかに光る布の上から撫でた。
続き▽
| オーバーフラッグス::1:ハワード1 | 2008,01,28, Monday 06:28 PM