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売春リンカーン→分岐1(part4 483)
「やめてくれジョシュア…やめ…」
グラハムは唇で男のペニスからこぼれた精液を垂らしながら、
死んでしまった部下に似た金髪の青年にすがった。
だがその言葉は最後まで紡がれることはなかった。
なぜなら後ろから乱暴に腰を打ち付けられ、彼の口に吐精したのとは違う男がまた
グラハムの唇にペニスを押し付けたからだ。
「ジョシュア?なんだそいつがお前の男か?」
先程グラハムの顔に精液をかけた男が煙草を吹かしながら言った。

安いモーテルの一室には入れ替わり男達が訪れてくる。
部屋の人数からもこの乱痴騒ぎがすぐには終わらないだろうことを
グラハムは知っていた。その敏感な体は痛みも快楽も両方を拾ってしまう。
何度も絶頂を迎え気が狂いそうになりながら、
それでもグラハムは助けを求めずにはいられなかった。
「ジョシュア、ジョシュア…」
だがその声は笑い声にかき消されてしまう。
「ちんぽおっ起ててよく言うよ、こいつ正真正銘のカマだな!」
ジョシュアに似た金髪の男が笑う。いやあれはジョシュアなのではないか?
今犯される自分を見て笑っているのはジョシュアなのではないか?
意識は曖昧になり、自分は今誰に抱かれているのか分からなくなってしまう。
(ジョシュアは生きていたのではないか?
ああやって私をあざけっていたじゃないか…)
グラハムは涎をたらし、熱心にペニスにしゃぶりつく。
誰かが口笛を吹き、また違う誰かが腰を振る彼の尻を叩いた。
(そうだ、これはジョシュアのものだ、私は彼に犯されている…)
そう思えば気は楽になった。
元からグラハムはこのようなな仕打には慣れていたから
やりすごせないわけではなかった。あれがジョシュアではないことが
ずっと耐えられなかったのだ。
そしてずっと部下を失ったことが耐えられなかった。
体を蝕む痛みやそれを上回る程の快楽にグラハムは体を任せる。
彼は部下の生存に涙を流して悦び、注がれる精液を飲み干した。

| 分岐モノ::1:売春リンカーン | 2008,02,22, Friday 12:32 AM

売春リンカーン→分岐1-a:カタギリルート(part4 522,524)
グラハムからの電話を受け、ビリーは必死で車を走らせた。
早く彼を迎えに行ってやらねばならない、それだけが頭にあり、
信号を無視してクラクションを鳴らされてもスピードを落とすことはなかった。


今から一時間程前、基地のベッドで仮眠をとっていたビリーを起こしたのは
一本の電話だった。寝惚け眼で鳴り続ける携帯を耳に押し当てた彼が聞いたのは
友人のか細い声だった。そしてその声はこう言った。
「助けてくれカタギリ、今モーテルにいる…」
ただ事ではないのはすぐに分かった。だが続いた言葉にビリーは言葉を失った。
「客に金も服も取られたんだ、無様だろう…」
客に、とグラハムは言った。声は憐れなほど震えている。
だからこそビリーは問い詰めることが出来なかった。
何があったのか、彼のプライドの高さをを知っているから聞けなかった。
だがグラハムの声は更に自分を追い詰めるように続く。
「金を貰って寝なきゃならないのにこれだ、久しぶりだったから腕がなまったかな」
「グラハム…」
「今モーテルの場所を言うから来てくれないか?こんなこと頼めるのは君しかいない」
住人を告げると電話はあっけなく切れた。

ビリーは仮眠室のベッドの上でしばらく呆然としてから
替えの衣服をかき集め告げられた住所へ車を走らせた。
確かにグラハムは部下の死からこちらおかしかったが
金で寝るなんて彼らしくなかった。
やがて見えてくるモーテルの看板を眺め、ビリーは唇を噛む。
本当に彼らしくなかった。自暴自棄になったのなら自分でもよかったはずだ。
知らない男だなんて病気でも移されたらどうするつもりなのだ。
ビリーはモーテルの駐車場に車を停め、替えの服を入れた鞄を手に指定された部屋に走った。

続き▽

| 分岐モノ::1:売春リンカーン | 2008,02,22, Friday 01:34 AM

売春リンカーン→分岐1-b-1:ロックオンルート1(part4 526,527)
「じゃあな、約束の金だ。また縁があったらよろしく頼むぜぇ」
下品な笑い声が複数の足音と共に遠のいていく。
虚ろな目で、グラハムは金髪の男を追った。
「…ジョ、シュア……」
目の前が白く霞む。何故だか涙が止まらなかった。
名前を呼んだ瞬間に気付いてしまったのだ、彼はジョシュアではないと。
そうだ、ジョシュアではない……ジョシュアは、あの時——あのガンダムに。
「う…い、やだ……」
立ち上がろうと足に力を入れる。しかし体が言うことを聞かず、グラハムは前に倒れこんだ。
腰が痛い。散々乱暴をされた、下腹部も。
先程まで男のモノを咥えていた場所がひりひりと痛む。
だが、何より胸が張り裂けるように痛かった。
彼がジョシュアではないというなら、ジョシュアは何処に?
死んだはずはない、先程までジョシュアは此処に……私の傍に。
いいや、彼はジョシュアではなかった。ああ、駄目だ、彼を、ジョシュアを見失ってしまう——
金が捻じ込まれた上着を拾い、よろよろと壁伝いに扉へと向かった。そのまま部屋を出、階段を降りる。
フロントにいた男が驚いた顔でこちらを見ていたが、構わず外へ出た。

続き▽

| 分岐モノ::1:売春リンカーン | 2008,02,22, Friday 01:55 AM

売春リンカーン→分岐1-c-1:カタギリルート未遂(part4 540)
スーツの内ポケットに残された支給品の電話を鳴らす。

「…カタギリ…私は…」

体中が痛む、特に殴られた頬も、腰も…口淫を強いられつづけていた口は上手く言葉を発する事も出来ない。
スーツに入っていた財布は無くなっていた。
車のキーも消えていたから車も盗られたのだろう。
ユニオンは広い。モーテルから軍に戻るとしても車かタクシーに乗る金が無ければ帰る事は不可能だ。

鳴らし続ける電話。
しかし、電話の向こうの主は取る事をしてはくれなかった。
それもその筈だ。

「クジョウ…か、当然だな。」

持ち上げるのも億劫な手でグラハムは額に手をあて目を隠した。
今日はクジョウと合っているはずなのだから。

まだハワードもジョシュアも生きていた頃にカタギリはクジョウと再会を果たし、それから何度か会っている。
自分は男でクジョウとは違う。
いつか写真を見せてもらったがスタイルの良い美しい女性だった。
クジョウと再会を果たした時のカタギリの顔を思い出せば想いを寄せているのは一目瞭然だ。
所詮、男の自分など遊びにすぎなかったという事だろう。
わかっていた筈だ。

「…ハワード、ジョシュア…」

二人の顔を思い出すとまた新たに涙が頬を伝った。

「おまけに、私は…こんな事をする男ときている。」

シャワーをあびる気にはなれなかった。
青臭い精液だらけの体にスーツを適当に着て、ふらつきながら雪の中、モーテルを後にする。

このまま寒さに命運を果てるか、運良く自室に帰り着くか。
そんな賭けをするのも悪くないと思えた。

———ハワードとジョシュアに会えるなら…

視界は激しく舞う雪で幸い青臭い匂いも白い精液の固まりも目立たなくしてくれる。
空から舞う白い清浄な氷はセンチメンタリズムにもこの世のものとは思えない世界にいるように錯覚させる。

——二人に会えたら、謝って、ハワードはきっとジョーク混じりに咎めてジョシュアは皮肉りながら高慢な言葉をはいて

ふらついた足取りで寒さから帰路を急ぐ車が多く走る通りの端を歩いていく。
勢いを強める雪は激しい無理矢理な行為で体力を失った体から通常よりも早く体温を奪っていく。
コートも着ていない。その姿の異様さは高か不幸か車のみの人通りのない道路では誰も気にも止めなかった。

どこまでも白い世界が続くと思える中で、ふと前が陰りグラハムは顔をあげた。

「…ハワード…?いや…ジョシュア…か?」

喘がされつづけて枯れ果てた喉では相手に声が聞こえていたかどうか。
それも気にせずにグラハムは微笑んだ。
やっと…やっと、二人に会えるのだと。

| 分岐モノ::1:売春リンカーン | 2008,02,22, Friday 03:16 AM

売春リンカーン→分岐1-c-1-1:カタギリ未遂→刹那ルート(part4 541,542,548-550)
「…お前は……」

誰かの名前を呼んでいたが、それが誰かまではわからない。
ただ、意識を失うさいに縋るように凭れた体を支えきる事が出来ずに刹那は雪の中倒れこんだ。
弱っている人間——しかも少なからず、嫌いではない、興味をひかれている人間を支える事も出来ずに
グラハムの背に腕を回し抱えながらも拳を握り締める。

バイクに乗りながらも彼を見つけられたのは僥倖だった。
アイリス社付近で落とされた紛い物の腕を拾いに向かう間だったのだから会っても不思議ではなかったのかもしれない。

しかし、彼の変わり果てた姿と彼との行為で覚えのある寒い中でも鼻につく匂いは悔しさしか沸き立たない。

「…おい、起きろ…」

揺さぶっても目を開く事はなく、体は火のように熱をもっている。
ユニオンのエースである彼が素面で無理に強姦されるとは考え辛い。
ならば……

刹那は舌打ちして携帯を取り出し、面倒見のいい、ロックオンに電話をかける。
こういう事は彼と彼によくついてくるアレルヤに頼るのが最適だ。人も良いし見捨てる事もしないだろう。
一人でグラハムを支える事も運ぶ事もいまだ出来ない成長の遅い自分が疎ましい。

「…ああ、俺だ。…力がいる。貸してくれ。」

いつもどこか大人ぶっている、大きいと思っていた男が、酷くはかなく頼りなげて小さく見えた。
電話口で場所をロックオンに告げながらコートとマフラーをグラハムにかけて抱きしめて温める。
コートも腕も、温めるには小さすぎる事実に苛立ちと焦りだけが募っていく。
自分と彼の立場では常に側にいる事も、辛い時に支える事も出来ない。
自分は、彼から奪う側の人間だ。

グラハムの唇が微かに動いて、また新たに涙が零れる。

刹那はそれに口付けて涙を啜った。

続き▽

| 分岐モノ::1:売春リンカーン | 2008,02,22, Friday 03:28 AM

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