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日記と言うより妄想記録。時々SS書き散らします(更新記録には載りません)

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日記と言うより妄想記録。時々SS書き散らします(更新記録には載りません)

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カテゴリー「FF」の検索結果は以下のとおりです。

[ヴァンスコ]温度を分けて

  • 2018/12/08 22:00
  • カテゴリー:FF


秩序の聖域に雪が降った。
昨晩から冷え込んでいるとは思ったが、まさか此処まで冷えるとは、誰も予想していない。
ほんの数日前には春を思わせる温かな陽気があったと言うのに、一転して真冬の到来だ。
その前には数日に渡って雷雨が続いており、天候の忙しなさは、この世界の安定が揺らいでいる事を示している────のだろうか。
想像すると悪い予感しかしない事ばかりだが、実際の所どうなのかは戦士達には判らない。
環境や時代にもよるものの、天気と言うのは基本的に自然が齎す予測のつかないものであり、急激な変化と言うのも珍しくはないのだ。
神々の闘争の世界は、独自の成り立ちで造られ営まれているようだから、少し妙な出来事がああったからと言って、敵の幻術を疑うような事でもなければ、大抵は成行きに乗るしかないのであった。

朝一番に雪を見たのは、寝ずの番をしていたティファだった。
朝食の準備がてら、倉庫に置いている食材の確認をする為に玄関を出た所で、降り積もった雪に気付いた。
積雪の高さは彼女の膝程度で、空気が乾燥しているお陰で雪自体はハラハラと粉のようになっていて柔らかい。
冷える空気に二の腕を摩りながら食材を集めた彼女は、キッチンに入ると、寝起きた皆が温まれるようにとコンソメスープを拵えた。
案の定、目を覚ました仲間達はそれぞれ寒い寒いと言いながら朝食の席に着く。
そして順次温まって食事を済ませた後、若い戦士達は、我先に新たな世界の一歩を踏まんと飛び出して行ったのであった。

スコールが目を覚ましたのは、外が賑々しくなってからの事だ。
寒さを嫌う彼は、昨日の夜から毛布に包まり、朝になっても明けない冷え込みに辟易して丸まり続けていたのだが、外界の騒がしさに流石に寝続けてはいられなくなった。
布一枚を抜け出すのを躊躇う冷気は相変わらずだが、布団の中でじっとしていても、体は大して温まってはくれないし、腹も減ったままだ。
スコールは皆が食事が終わったタイミングで、ようやくリビングに現れ、残ったスープの最後の分を食べ終えた。

ティファのスープのお陰で、体はそこそこ温まった。
とは言え、世界が寒い事には変わりなく、屋敷の中も底冷えか、じんわりとした冷気は中々消えない。
暖房器具か、もしくは着て歩ける電気毛布が欲しい、と思いつつ、スコールの足はなんとなく玄関へと向かっていた。

重みのある扉をゆっくりと押し開けば、其処には一面の銀世界が広がっている。
空を覆う雲の隙間から、時折太陽の光が差し込む度に、光が反射して、雪の表面がまるで宝石のようにきらきらと光る。
眩しい、と目を細めていると、フリオニールがバッツとジタンに追われながら駆け抜けて行った。
どうやら雪合戦をしているようだが、ルールなどあってないようなもので、すっかり鬼ごっこの様相を呈しており、追いながら雪玉を投げるバッツとジタンに対し、フリオニールは逃げの一手だ。
投げた雪玉が幾つかフリオニールに当たったが、柔らかな雪はあまり強くは固まらないようで、当たると簡単に弾けて散る。
痛くはないのだろう、フリオニールは飛び散る雪の冷たさに笑いながら逃げていた。

わいわいと騒ぎながら駆け回るメンバーに、元気な奴等だな、とスコールは思う。
銀世界は見慣れない事もあって珍しさに目を瞠るが、スコールはそれより寒さが面倒だ。
バッツにしろジタンにしろ、よくもまあいつもと同じ格好で遊べるな、と感心する。
せめて外套の一枚、バッツは手袋もした方が良いのではないか、と常と変わらない軽装で元気に駆け回る仲間達を眺めていると、


「……ん?」


視界の隅に蹲っている影を見て、スコールは其方に目を向けた。

玄関の階段の直ぐ横で、人間が一人、蹲っている。
もぞもぞ、ごそごそと動いているそれはヴァンだった。
此方もいつもと同じ、袖のないベストの格好で、一心不乱に手元を睨んで何かをしている。
何をしているんだ、となんとなくその様子を眺めていると、視線を感じてか、ひょいっヴァンが顔を上げた。
ばっちり目が合ってしまい、思わずスコールががちっとフリーズしていると、ヴァンはにっかりと笑って、


「見ろよ、スコール。団子みたいだ」
「……そうだな」


持ち上げたヴァンの両手には、白く小さな雪玉が三つ並んでいる。
確かに団子だな、と思いつつ、こういう時は雪だるまか雪兎を見せて来るのがセオリーじゃないのか、とスコールは眉根を寄せる。
別にそれが見たいと言う訳ではなかったが、シンプル過ぎるヴァンの創作物に、スコールは少し呆れていた。

気のない反応のスコールに気を悪くする様子もなく、ヴァンは雪団子の制作を続ける。
ふわふわとした雪は、ぎゅっと握ると潰れたように小さくなり、ヴァンはそれを大きくしようと奮闘するが、中々上手く行かない。
雪が水分をあまり含んでいないので、接着剤になるものがなく、重ねても重ねてもはらはらと落ちてしまうからだ。
しかしヴァンは辛抱強く、強く押し付けてみたり、擦り付けてみたりと、手を変えて奮闘している。
その様子を眺めながら、意外と我慢強いと言うか、諦め悪いんだよな、と独り言ちるスコールであったが、それよりも気になる事がある。


「ヴァン」
「んー?」
「…あんた、手袋は?」


雪を触るヴァンの手は、全くの素手だった。
いつから雪団子作りに精を出していたのか、ヴァンの手は指先まで悴んで赤くなっている。
いつも嵌めている籠手か手袋でもしておけば、そんなに冷える事はなかっただろうに、とスコールがそれの所在を尋ねてみると、


「あれ、邪魔だから外したんだ」
「邪魔って……雪、冷たくないのか」
「冷たいよ」


と言いながら、ヴァンは両手を雪の中にズボッと入れる。
うーっと唸るヴァンの表情を見るに、全く感覚が麻痺している訳ではないようだ。
そうなっていたら温める所か回復魔法の出番になるので、まだ幸いか。


「冷たいならちゃんと手袋しろ。あんた、霜焼けになってるんじゃないか」
「霜焼け。霜焼けかー。面白いな」
「………」


何が面白いんだ?と眉根を寄せるスコールと、雪から抜いた手をしげしげと見ているヴァン。
何もかもが珍しい、面白いと言う表情をしているヴァンを見て、そう言えば砂漠出身だと聞いた事を思い出した。
砂漠地帯で雪を見る機会など先ずないだろうし、生まれて初めて見た────のかも知れない。
そう考えると、雪の冷たさすら、ヴァンにとっては楽しくて仕方がないのか。

それでも、あの手は駄目だ、とスコールは溜息を吐く。
紅い手で懲りずに次の団子を作ろうとしているヴァンの下へ向かい、スコールは雪を掴むその手を捕まえる。


「なんだ?スコールも団子作るか?」
「作らない。それより、あんた、素手で雪遊びはもう止めろ」
「なんで?」
「多分もう霜焼けになってるし、悪化すれば血の巡りが悪くなって、最悪の場合、腐敗して使い物にならなくなる。雪遊びを続けたいなら、せめて手袋をしろ」
「手袋、取りに行くの面倒だよ」
「………」


取りに行く手間よりも、雪に触りたい、遊びたい。
判り易く真っ直ぐに訴える瞳に、駄々っ子か、とスコールは呆れた。

仕方なくスコールは自分の黒の手袋を外す。
どうせこの雪では今日の予定は台無しだし、そもそも外に出掛ける気にもならない。


「これを使って良い。終わったら俺の部屋に戻────っ!」
「あ。スコールの手、温かいな」


手袋を差し出すスコールの手を、冷たいヴァンの手が握る。
どちらかと言えば温度は低い方であろうスコールの手だが、今ばかりは冷え切ったヴァンの手の方が冷たい。
それが面白いのか、暖を奪おうとしてか、ヴァンはスコール手をにぎにぎと揉んで遊ぶ。


「スコールの手が温かいって珍しいよな。いつも俺より冷たい感じなのに」
「あんたの手が冷えてるだけだ!離せ、冷たい」
「もうちょっと。スコール手、ぽかぽかしてて気持ち良いんだ」


そう言いながら、ヴァンは両手でスコールの手を握った。
冷たい手に体温を奪われて行くのが判って、スコールの眉間に深い皺が刻まれる。
しかしヴァンはそれすら嬉しそうな顔で、「あったかいな~」と赤い鼻で暢気に呟いた。

よくよく考えれば、ヴァンが冷え切っているのは、何も手に限った話ではない。
ヴァンはいつもの通りの格好であるから、腕も肩も、腹や胸元までもが晒されたままになっている。
空気も冷え切ったままなので、ヴァンの鼻先や耳も悴んで赤くなっており、やっぱり寒いんじゃないか、とスコールは思う。
今は雪遊びに夢中でテンションが上がり、寒さそのものに鈍くなっているのかも知れないが、追って体が感覚を思い出してくるのは想像に難くない。
はあ、とスコールはもう一つ溜息を吐いた。


「……あんた、まだ遊ぶのか」
「うん。スコールも何か作るか?」
「俺は良い。……何か羽織れるものを持ってくる。あんた、その格好だと、後で絶対に後悔するぞ」
「そっか?でも、うん、なんか着た方がやっぱり良いんだよな。手袋は借りて良いのか?」
「ああ。……だからそろそろ手を離せ」
「もうちょっと」


握られ続けている手がどうにも落ち着かず、スコールは解放を促すが、ヴァンは折れなかった。
冷え切っていた手は少しずつマシにはなっており、未だスコールの体温の方が高い状態ではあるが、ヴァンの指先は少しずつ赤みが引いている。
揉んだり擦り合わせたりと、掌だけでなく、指先まで触り始めたのには辟易するが、振り払うのもまた面倒で、スコールはヴァンの気が済むまで好きにさせる事にした。

ふと、こうしてヴァンの手を直に触れたのは、初めてだったのではないかと気付く。
ヴァンはスキンシップに積極的ではないが、抵抗もないらしく、他者との距離も近い所があるので、誰かに触れる事を躊躇わない。
戦闘中も交代の為にハイタッチすると言うのはよくある光景で、それ位はスコールも応じていた。
しかし普段は互いに手袋や籠手をしているので、直接手のひら、その肌にじっくりと触れる事はなかったように思う。


(少し乾燥している。俺より少し太くて、爪が少し伸びてて───、でも、結構器用だ)


大雑把に見えて、案外と細かい作業をヴァンは嫌いではない。
自分の興味が続くものであれば、指先だけを使う細かな作業も、ヴァンは決して得手としていた。
肌はカサカサとして皮が少し厚く、爪の周りに少し皮膚がささくれ立っているのが見えた。

ぎゅう、とヴァンの両手でスコールの手が挟まれる。
始めは酷く冷たかったヴァンの手だが、スコールの熱を得て、いつもの体温が戻ってきている。
そして、納得したのか、ヴァンの手がすっと離れて行った。


「はー、温まった。じゃあ手袋借りるな。終わったらちゃんと返すから」
「……ああ」


スコールの手から手袋を受け取り、ヴァンの手に嵌められる。
手袋の中にもスコールの体温は残っており、ヴァンは「あったかいなー」と嬉しそうに行った。
その手で早速雪遊びを再開させるヴァンを尻目に、スコールは屋敷の中へと入る。

じんわりとした感覚が、スコールの手に残っている。
冷たいようで、温かくもあるその熱が、妙にくすぐったく思えた。





12月8日と言う事でヴァンスコ。
スコールの手のひらをにぎにぎしてるヴァンと、振り払わずに好きにさせてるスコールが浮かんだので。

後でスコールはヴァンの為に上着とマフラー諸々の防寒用具一揃い持って来る。
ヴァンは「動きにくくなるからこんなに良いよ」って言うけどスコールが無理やり着せて、結局「温かいな~」って言うのでスコールも満足。
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[プリスコ]ケントの花 2

  • 2018/11/08 22:01
  • カテゴリー:FF


スコールはリンゴをシャツに少し擦り付けて、気持ち程度に磨かれた所に歯を立てた。
表面の皮が少し固いような気もしたが、しゃくっと齧ってしまうと、口の中では程好い触感になる。
その触感を楽しみながら咀嚼していると、噛む度に甘酸っぱい果汁が溢れ出し、スコールの喉を潤していく。


「な。美味いよだろ」
「……悪くはない」


プリッシュの言葉をそのまま肯定する言葉は出なかったが、スコールにとっては同じような意味だった。
それを感じ取ったのか、二口目から抵抗なく齧りつくスコールの様子に胸中を察したか、プリッシュはにっかりと笑って自分のリンゴをまた齧る。

スコールが半分も食べ進めない内に、プリッシュはリンゴをすっかり芯にした。
食べる所のなくなったリンゴはぽいっと放られ、緩やかな坂道を転がって行く。
あれはあのまま、この辺りに生息する生き物の食料となり、やがては分解されて土の栄養になるのだろう。
それを気にする事もなく、プリッシュは腕まくりをして、また樹に上り始めた。


「……まだ食べるのか?」


登って行くプリッシュを見上げてスコールが訊ねると、「それもあるけど」とプリッシュは言った。


「折角こんなに一杯成ってるんだから、皆にも持って帰ってやろうと思ってさ」
「……荷物になるぞ」
「平気平気。オレが持つから」


誰が持つかが問題ではなく、荷物が増えて両手が塞がる=戦闘が出来ない事をスコールは懸念しているのだが、プリッシュは余り考えていないらしい。
暢気な奴だ、とスコールは思ったが、登って行くプリッシュを強引に止めようとは思わなかった。
引き摺り下ろすにしても面倒だし、やった所で聞きそうにないし、とかくスコールが疲れるだけで結果は変わらない気がする。
それなら好きなようにさせてしまおう、とスコールは今後の予定の一切を諦める事で、思考を切り替えた。

ゆっくりと自分のペースでリンゴを食べるスコールを尻目に、プリッシュは実を観察して選んでいる。
地面から見上げているスコールには、リンゴはどれも綺麗に色付いているように見えるが、近くで見るとやはり差があるのだろうか。
あっち、こっち、これよりこっち、とプリッシュはじっくり吟味しながら実を摘んで行くが、大玉のリンゴばかりを採っていると、小柄な彼女の腕はあっという間に一杯になり、


「んー、もう持てないかなぁ」
「あまり一杯持って帰っても、傷むものが増えるだけだ。適当な所で止めて置いた方が良い」
「うー」
「……また食べたかったら、また来れば良いだろ。此処は歪の中じゃないから」


歪の中にあるものは、歪を出れば二度と出逢えない事が多い為、食料に成り得るものは多少欲張ってでも回収したくなるのが常だ。
しかし、幸いにも此処は歪の外で、少し距離はあるが、来ようと思えば来れる場所。
躍起になって今全ての実を収穫する事はあるまい。

そう宥めるスコールの言葉に、プリッシュは少し考えたものの、


「そっか。それもそうだな。次の楽しみにすれば良いんだ。じゃ、今日は此処までっと」


言って、プリッシュは樹の上からジャンプした。
軽い体がとんっと地面に着くと、反動を受けたリンゴが彼女の腕の中からぽろぽろと零れ落ちる。


「うわっとっと」
「……」


腕にリンゴを抱えたまま、転がるリンゴを追いかけるプリッシュ。
拾っては落とし、落としては拾いを繰り返す彼女に、スコールは呆れながらジャケットを脱いだ。


「これで包んでおけ。そうすれば、少しは運び易いだろ」
「おう。ありがとな」


ジャケットを広げて見せると、プリッシュは遠慮なくと抱えていたリンゴを其処に置いた。
布地を受け皿にしてリンゴを包んでいる間に、地面に落としたリンゴをプリッシュが拾う。
ほい、と言って当たり前のように差し出されたリンゴに、結局俺が持つのか、とひっそりとボヤきつつ、スコールはリンゴを山の上に乗せた。

こんな荷物を抱えては、散策も見回りもあったものではないので、足は自然と帰路へ向かう。
テレポストーンに向かって歩き出したスコールに、プリッシュは隣へ並んで一緒に歩く。


「良いモン見付けたなー。帰ったら皆にも教えてやらなきゃ」
「……そうだな」
「皆で来れば、もっと一杯持って帰れるもんな」
「……そうだな」


うきうきと楽しそうなプリッシュの声に対し、スコールの声は平坦だ。
それに不満を訴える様子もなく、プリッシュは帰ってからリンゴをどうやって食べるか、指折り料理名を連ねながら考えている。

と、にゅっと伸びたプリッシュの腕が、リンゴの山から一つを取った。
プリッシュは取ったそれを眺めた後、山に戻し、別のリンゴを手に取る。
歩きながらその作業を繰り返すプリッシュに、スコールは面倒臭さを感じて立ち止まり、腕の高さを下げて、リンゴをプリッシュに見易い位置に持って行く。
当然プリッシュも足を止め、山となったリンゴをうんうん唸りながら吟味し、特に綺麗に色付いた紅玉を見付けると、


「こいつがいいな」


そう言って、小さな手で皮を磨き、はぐっと一口。
さっき一玉を丸々食べたのに、まだ食べるのか、と同じく一つ食べ切って腹が膨れたスコールは感心した。
とは言え、プリッシュの健啖振りは知られている事なので、特に驚きはしない。

しゃくしゃくとリンゴを食べるプリッシュを横目に、スコールはリンゴの山を抱え直して、再び歩き出す────が、その前に。


「スコール、スコール。ほら、お前も食えよ」
「は?」
「美味いぞ。一番良い色してた奴だからな。きっと一番美味い奴だ」


そう言ってプリッシュは、まだ齧っていない方を見せた。
子供のようにきらきらと輝く瞳が、今すぐ食べろとスコールをせっついている。
これは、要らないと言っても聞かない顔だ、とスコールは覚った。

リンゴの山を抱えている為、スコールの両手は塞がっている。
離せない事もないが、リンゴの山は少しバランスを崩すだけで、ぽろぽろと零れ落ちてしまいそうだ。
少し行儀は悪いと思ったが、どうせ此処にマナーを気にするものはいないのだし、何より目の前の少女がリンゴを引っ込めようとしないので、仕方なく首を伸ばしてやる。

しゃく、と齧ったリンゴは、確かに一等甘く、程好い酸味も含んでいて、美味い。
美味いだろ、と言われたのでスコールが小さく頷けば、プリッシュは今日一番の笑顔を浮かべた。





11月8日と言う事で、プリッシュ×スコールと言い張る。

なんとなくスコールにリンゴを手ずから食べさせるプリッシュが見たいなと思ったので書いてみた。
無邪気なプリッシュを苦手苦手とは思いつつも、裏表のない性格だとも思うので安心はしてるスコールでした。
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[プリスコ]ケントの花 1

  • 2018/11/08 22:00
  • カテゴリー:FF


旅は道連れであるが、道連れるのか、道連れられるのかは、人それぞれだ。
そして自分は、道連れにされる方であると、スコールは考えている。

何処の誰とも知れない所か、何処の世界の者なのかも判らない戦士達と続ける、共同生活。
殆ど有無を言わせないような形で始まったそれを、スコールは余り快く思っていない。
そもそもの話、此方の都合を全く考えずに召喚され、陣営が負けそうなので勝つ為に戦って下さいと言われても、はい判りましたで納得する人間の方が可笑しい。
可笑しいのだが、集団行動のマジックとでも言うのか、誰もその流れに待ったをかける者はいなかった。
無論、その理由は単純な集団行動の規律効果だけではなく、戦わなければ死ぬだけだと言う事、戦わなければ喪われた記憶も戻らず、元の世界へ戻る道筋もない、と言う点を忘れてはならない。
しかし、だから仕方がないので命を懸けて戦います、と言う酔狂さは、スコールにはない。
それでも戦わなければならない事、それ以外に何も道さ見えない事は理解できてしまったから、スコールは「元の世界へ戻る事」を報酬とし、その為に秩序の女神の駒として戦う事を“契約”として自分自身を納得させた。
まだるっこしい事だ、と笑う人間もいるかも知れないが、スコールとて命は惜しい。
命を懸ける為に戦うだけの理由と言うものは、少なからず存在していてくれなければ、何の為に戦うのか判らないままになってしまう。
だからせめて『契約』『報酬』と言う縛りでもなければ、スコールはこの世界で戦う意味が見出せなかった。

戦う理由は自分で説明を付けたスコールだったが、必然的に始まった集団での共同生活まで許容してはいない。
共同生活と言う環境自体は、朧な記憶の中に残る、元の世界の自分の日常の中で普遍的に傍にあったので構わないのだが、問題なのは共に生活を送る顔触れだ。
ある日突然、何処とも知れない世界で会合した、常識も文明レベルも違う者達を集めて、一つ屋根の下で心置きなく過ごせる程、スコールは豪胆な性格ではない。
寧ろ見知らぬ者の事は総じて懐疑的に見る性質であるから、この共同生活はスコールにとって警戒心を強めるだけであり、心休まる時間など何一つなかったのである。
────其処には、僅かでも心を許した後で、幾つも考えられる最悪のパターンが起こり得た時、自分が遅れず誤らず最適な行動を取れる自信がない、と言う拙(おさな)い心もあるのだが、彼自身はそんな自分に気付いてはいない。

そんな状態で、常時数名は共に空間を共有する事になる拠点に、スコールが長く滞在する気になる筈もなく、必然的に彼は見回りや哨戒と称して出払っていた。
人が良いのか、警戒心がないのか、ともかくそう言った風な仲間達は、単独行動ばかりのスコールを止めたり咎めたり宥めたりとしていたが、スコールが頑なな態度を取り続けていると、ぽつぽつと離れて行った。
言っても聞かないスコールに呆れたか諦めたか、その辺りの事は判らないが、スコールとしてはその程度で良いと思っている。
敵である混沌の駒の襲撃を思えば、ツーマンセル、可能ならスリーマンセル以上で行動するのが安全策ではあるが、秩序の陣営の人数には限りがある。
対して混沌の陣営は、世界の何処かから湧き出るイミテーションと呼ばれる人形を駆使し、雑兵として操る事が出来ていた。
イミテーションは程度にもよるが壊す事が出来るものの、どうやら数に限りはないようで、これを使った物量戦で来られた場合、秩序の陣営は数日と持たずに崩壊するだろう。
その危険性を考えると、団体行動と言うのは全滅のリスクを上げるばかりとなり、回避するには単独行動と言うものも一方的な否定は出来ないのだ。
勿論、単独行動を取るに値する実力がある事は前提で、尚且つ、それをする者が秩序の女神を絶対に裏切らないと言う信頼も必要であった。
…単独行動ばかりの自分が、掛け値なしにそれを体現し得るのかと言えば、スコールは口を噤まざるを得ないのだが、「他の者が単独行動を取って裏切らない保証はあるのか」とも問う事が出来る。
そしてその問いに対し、スコールの結論は「否」である。
だからスコールは、周りの目からどう見られようと、自身は単独行動を貫いているのだ。

……しかし、スコールが幾ら単独行動を貫こうとしても、相手がそれを全く意に介さない事もある。
良く言えばお人好しの集まりのような秩序の陣営にあって、そう言ったメンバーは少なからず見付かるのだが、特筆すべきはプリッシュだろう。
猪突猛進と言う言葉を体現したかのような勢いがある彼女は、何も隠さず明け透けに曝け出す。
空腹を覚えれば飯を強請り、眠くなれば寝床を欲しがり、退屈な時間に飽きれば遊びたがる。
こうして羅列するとまるで小さな子供のようであるが、常にバーサーカー状態のように人の話を聞かない訳ではない。
恐らく、他者が空気を読んで口を噤もう、と思う所を、彼女は気にせず、正直に自分の気持ちを口にするのだろう。
正直に言って、この手合いはスコールが苦手としている所で、出来る事なら彼女とは余り二人きりになりたくない、と思っている。

思っているのだが、ふとした折に道中を共にすると言うのは、この世界では珍しくなかった。

適当な理由をつけて秩序の聖域を離れ、山間の森の中にある歪を確かめて回っていた時だった。
記憶にあるポイントを効率よく回るべく、木々の間を抜けて進んでいたスコールの前に、プリッシュは頭上から降って来た。
枝葉の擦れる音を警戒してガンブレードを構えていたスコールだったが、眼前に着地して目を丸くしている彼女を見て、なんであんたがそんな顔をしているんだ、と胸中で突っ込んだのは言うまでもない。
それから話を聞くと、どうやら次元城での戦闘中、足元の空に生まれた歪の出口にスポッと落ちてしまったらしく、排出されたら此処だった、との事。
この闘争の世界に置いては、珍しくはない現象であるから、スコールはそれ以上は気にしない事にした。
そして改めて歪の見回りを再開させたのだが─────


(……なんでついて来るんだ?)


ガンブレードを片手に、黙々と足を進めるスコールの後方約2メートル。
紫髪の少女が、きょろきょろと辺りを見回しながら、スコールの歩いた軌跡を辿っていた。

今日のプリッシュの予定と言うものをスコールは知らないが、少なくとも、此処で油を売るようなスケジュールではなかった筈だ。
誰かと同行していたのなら、其方との合流を考えて動くべきで、そうするのならスコールの後ろをついて歩く事に意味はない。
スコールは今日はずっと一人で見回りをするつもりで、今現在も誰かと行動を共にしている訳ではないのだ。
まるで雛鳥のようについて来るプリッシュに、スコールはその思考回路が読めず、辟易とした気分になっていた。


(…戦力として考えるか?そう思えばかなり有益だ。でも……)


見た目の可憐さとは裏腹に、拳と聖魔法で戦うプリッシュは強い。
見るからに剛腕と判るジェクトと、近距離で撃ち合って競るのだから、戦士としては相当な実力だ。
基本的にジャンクションと言う力を使い、身体能力を底上げしているスコールにしてみれば、この世界で出会う者は全員規格外の強さを持っているようなものだが、プリッシュはその中でも上位に当てて良いだろう。
そんな人物が仲間として同行しているのなら、戦闘はかなり楽になる。

だが、それはそれとして、スコールはどうにも落ち着かない。
同行者がいると言うだけでも少々ペースが乱れるのだが、相手がプリッシュだと言うのがまたスコールの苦手意識を誘う。


(……このまま、会話もなければ。それか、飽きて帰るなら、それでも良い)


他者とのコミュニケーションを得意としないスコールにとって、お喋りな相手と言うのは面倒でしかない。
一方的に喋って此方の反応を気にしていない者ならまだ良いが、大抵はスコールから某かの反応を引き出そうと、質問を投げかけたり話題を振ったりするから厄介だ。
プリッシュは余りそう言ったタイプではないのだが、話しかけると返事をするまで何度でも名前を呼び続けるので、あれは勘弁して欲しい。

飽きて帰るのなら、戦力的には痛いが、スコールの心情的には有り難い。
一人でいる事が、スコールにとっては安息なのだから。

────が、プリッシュはまだスコールの後をついて来る。
目指している歪のあるポイントが此処から少々遠いのもあって、スコールは今からうんざりとしていた。
スコールの不必要に繊細な神経がキリキリと軋み、いっそ走って振り切るかと思ったが、脚力はプリッシュの方が上である。
意味のない事を考えた、とスコールはこっそりと溜息を吐いた時だった。


「あ!」
「っ!」


後ろから聞こえた突然の声に、思わずスコールの肩が跳ねる。
そんな自分に舌打ちしつつ、敵襲を警戒してガンブレードを握る手に力を込めたが、


「良いモン見っけ!」
「は……?おい!」


先行していたスコールを追い越して、プリッシュが前方へと全速力で走って行く。
無防備も無防備な、余りの出来事に、スコールは一瞬フリーズしたが、復帰すると急いでプリッシュの後を追った。

追って、其処にあったものを見付けて、一気に脱力する。
プリッシュが駆けた先には、真っ赤な実をぶら下げた大きな樹が鎮座していたのだ。


「これは……」
「見ろよ、スコール。美味そうなリンゴ!」


プリッシュの言う通り、樹に成っているのはよく熟れたリンゴだった。
樹は一本だけではなく、四本程がまばらに植わっており、色付きは微妙に違うものの、総じて赤い実を抱いている。

こんな所にこんなものがあったのか、とスコールは目を丸くして赤い宝石を見上げる。
その傍らで、するすると樹を上って行くのはプリッシュだ。
樹は中々の大木となっており、実が成っているのは地上から三メートル弱と言う高さで、一番低い所でも地上から楽に取る事は出来ない。
プリッシュはその高さをあっという間に登って行き、幹から手頃な場所に成っていたものを一つ採る。


「ほら。これ、絶対に美味いぜ」
「……」


枝に上半身を引っ掻けて、下にいるスコールに収穫したばかりのリンゴを見せるプリッシュ。
スコールは呆然とそれを見上げているだけだ。

試しに一口、とプリッシュは躊躇わずリンゴに齧り付いた。
しゃくっと良い音が聞こえて、甘酸っぱい蜜が果肉の隙間から溢れ出してくる。
プリッシュはその味に満足げに「ん~っ」と喉を鳴らした後、枝の上に登って、手近な場所にあった実を採った。
そして両手にそれぞれリンゴを持って、ひょいっと枝から飛び降りる。


「よっと。ほら、スコールの分」
「…あ…ああ……」


ずいっと差し出されたリンゴに、スコールはやや気圧されつつそれを受け取った。
受け取ってから、どうすれば、とリンゴを見下ろしている間に、プリッシュは自分のリンゴをしゃくしゃくと齧る。

離れていても煌々とした色が判る程、リンゴは綺麗に紅く染まっている。
スコールが知っている、中々高級と評判のリンゴと種類が似ているような気がしたが、はっきりとは判らなかった。
誰が手入れをする訳でもないのだから、野生で育ったのは間違いないが、それでも立派な実ではないだろうか。
スコールの片手にずっしりとした重さを感じさせる大玉のリンゴは、農家が育てたとしても、早々お目にかかる事はあるまい。

じっとリンゴを見詰めていたスコールだったが、隣から「食わねえの?」と言う声が飛んで来た。
見ればプリッシュは既に半分まで食べ進めており、スコールを見上げる表情は、食べない事を心の底から不思議がっていた。
スコールとしては、あんたと同じ行動が取れると思わないでくれ、と言いたい所であるが、プリッシュには言っても意味はないだろう。
それよりも、手の中のリンゴの行き先だ。


(……捨てるのは勿体ない、な)


プリッシュの言う通り、リンゴは確かに美味そうな色をしている。
この世界に置いて、こうした代物に出逢えるのは稀有であるから、見付けた者が率先して恩恵を受ける権利がある。




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[レオン+子スコ]ちいさなまほうつかい

  • 2018/10/31 22:00
  • カテゴリー:FF


保育園に預けている、年の離れた弟を迎えに行くと、其処はいつもよりも少し風景が違っていた。

沢山の人が集まる空間を苦手としているスコールの為、保育園はこじんまりとした所を選んだ。
小さいとは言っても、常時20人以上は子供の姿があるのだが、人口密度の高い都内に構えられた施設としては、細やかなものだ。
昨今、何処の保育園も人数枠は埋まっているもので、この保育園も例に漏れず常に満席状態だったのだが、当時2歳だったスコールは運良く空きに滑り込む事が出来た。
気難しく、環境の変化に中々馴染めないタイプなので心配は尽きなかったが、幸いにも友達も出来、保育士からも「楽しそうにしてますよ」と言う言葉が貰えた。
実際に迎えに来た事を秘密にして、こっそり様子を伺っていた事もあったのだが、同じ年の子供とお絵描きをしていたり、本を読んでいたりと、のんびりと過ごしている。
それを見てレオンもようやく、これなら大丈夫、と安心した。

入園してから3年が経ち、5歳になった今でも、スコールは同じ保育園に通っている。
レオンの仕事が忙しくなるに連れ、迎えに行ける時間が遅くなり、寂しい思いもさせているのだろうとは思うが、こればかりは調整が難しい。
出来る限り早く上がれるように、定時の早い部署に移して貰おうか、とも考えているのだが、上司がレオンの仕事ぶりを痛く気に入ってくれているようで、手放したがらないのが現実だった。
それならいっそ人手を増やしてくれれば良いのに、と思うのだが、今時は何処も人手不足で、そう簡単に人の派遣が出来ないらしい。
何よりも弟を大事にしたいレオンにとっては、歯痒い事だ。

今日もレオンは定時を過ぎて、ようやく会社を出る事が出来た。
時刻は午後7時を過ぎており、秋も深まる今の季節では、空は完全に夜と呼ばれる色になっている。
職場の直近の駅から電車に飛び乗って、保育園の最寄の駅で降りてからは、全速力の毎日だ。
幼い弟と自分と言う二人暮らしの生活であるから、延長保育に頼らざるを得ないのは仕方のない事であるが、しかし甘えん坊の弟に寂しい思いをさせているのは事実だから、せめて出来るだけ早く彼を迎えに行きたかった。

そうしてようやく到着した保育園は、見慣れた景色とは少し様相が変わっている。
園の門柱には、星マークの大きなシールが貼られている他、カボチャやコウモリのカットイラストがラミネートされて飾られている。
前に来た時には見なかったそれらに、おや、と思いながら中に入ると、園舎もまた少し趣が変わっていた。
小さなグラウンドと園舎を直接結んでいる周り廊下の窓越しに、沢山の小さなカボチャが並んでいる。
カボチャには様々な顔がマジックペンで描かれており、子供達の作品である事が一目で判った。
スコールが作ったカボチャはどれかな、と横目に眺めつつ、レオンは園舎へと入る。


「こんばんわ。遅くなりました、レオンハートです」
「ああ、お兄さん。お疲れ様です」


タイミングよく園舎の玄関を通りがかったのは、恰幅の良い体型をした男性───保育園の延長であるシド・クレイマーだった。
シドはにこりと穏やかな笑みを浮かべ、「直ぐに呼んできますね」と言って遊戯室へと向かう。

弟のスコールは、1分と待たない内にやって来た。
ぱたぱたと軽い足音を立てながら、廊下の向こうから駆けて来る弟を見て、レオンはくすりと笑う。


「お兄ちゃん!」
「遅くなってごめんな、スコール」


両手を一杯に広げて駆け寄ってきた弟を、レオンも両腕を拡げて抱きとめる。
ぎゅうっと目一杯抱き着いて来るスコールの頭を撫でれば、その濃茶色の髪に乗っている三角帽子がずるっと傾いた。

一頻り抱き締めて体を離すと、レオンはスコールの格好をしげしげと眺めた。
黒い三角帽子と、黒いマントに、右手には星のついた棒を持っている。
この棒は魔法のスティックかな、と思いつつ、


「随分可愛いな、スコール。魔法使いになったみたいだ」
「そうだよ。ぼく、まほう使いになったの!」


兄の言葉に、スコールが嬉しそうに言う。
格好から入ってなりきっているのだろう、スコールは見て見て、と言ってマントを広げて見せる。
ファッションショーのようにくるくると回った後、握ったステッキを振り翳して、後ろに立って眺めていたシドに向かって魔法を放つ。


「えいっ!ブリザドー!」
「わぁ~っ、寒いですよ、スコール」
「えへへ」


ステッキからあたかも魔法が放たれたかのように、シドは寒がるリアクションをして見せる。
それを見たスコールが満足そうに笑うのを見て、シドもまた笑顔を浮かべた。

楽しそうな弟の様子に、レオンもくすくすと笑みが漏らしながら、小さな魔法使いを抱き上げる。
ふわぁ、と浮遊感にスコールが声を上げるが、兄の腕の温もりを感じると、嬉しそうに頬を寄せる。
柔らかなマシュマロのような頬の感触をレオンが楽しんでいると、遊戯室からスコールの鞄を持った女性───イデア・クレイマーがやって来た。


「スコール、忘れ物よ」
「あっ。僕のカバン!忘れてた」
「おやおや。お兄さんのお迎えをずっと待っていましたからねぇ、急いで出てきちゃったんですね」
「すみません、ママ先生」
「いいえ。はい、スコール、落とさないようにね」


イデアに手ずから鞄を肩にかけられて、スコールは落とさないようにと両手でしっかり鞄を抱える。

忘れ物がないかを改めて確認した後、レオンはスコールを抱いたまま、園舎を後にした。
またね、と手を振るイデア達に、スコールがステッキを持った手をぶんぶんと振って見せる。
どちらかと言うと何に対しても反応が控えめなスコールにしては、大きなリアクションであると言えるだろう。
どうやら、今日は随分と機嫌が良いらしい。

レオンとスコールが二人で暮らしているマンションは、此処から電車で二駅移動しなければならない。
この格好のままでも良いかな、と手作り感たっぷりの衣装に身を包んでいるスコールを見て考えるが、特に大きな荷物がある訳でもないので大丈夫だろうと思う事にした。
思い返してみれば、仕事場から駅へ向かうまでの道中にも、似たような格好をした子供や、変わった服装をした大人を見た気がする。
そして今日が10月最後の日────最近定着して来たハロウィーンと言う祭りの日だと気付くと、スコールの魔法使いの衣装もそう可笑しく見られる事もないだろう。

人通りの多い駅前まで来ると、スコールは注目の的だった。
三角帽子に黒いマントに星のステッキ、そしてお気に入りのライオンのバッグを持った幼子は、道行く人々の心を射止めて已まない。
年の離れた兄に抱かれ、ちょこんと良い子で納まっている様子も、愛らしく見えるのだろう。
普段のスコールなら、其処まで注目されていると、恥ずかしがって兄に抱き着いて隠れたがるものなのだが、今日は機嫌が良いので全く気にならないらしく、楽しそうにレオンに話しかけて来る。


「あのね、今日ね。皆で色んなカッコして、商店街に行ったんだよ。そしたらね、お店のおじさんもおばさんも、色んなカッコしてたの」
「へえ、どんな格好だったんだ?」
「えーっとね、オオカミさんでしょ、ネコさんでしょ。僕と同じまほう使いもいたよ。あと、顔に一杯ケガしてる人」


スコールの言葉に、フランケンシュタインかな、とレオンが考えていると、


「なんかね、ケガじゃなくて透明人間なんだって言ってた。透明って見えないんでしょ?でも、僕も皆も見えてるんだよ。透明じゃないの」


ああそっちだったか、とレオンは理解した。
透明人間が全身に包帯を巻いている、と言うのはよくあるコスチュームだ。
しかし、幼い子供達には“透明人間”をモデルにする包帯男のイメージが繋がらず、単純に“顔に沢山の包帯を巻いた人”にしか見えなかったらしい。

レオンは、変だなあ、と首を傾けて考え込んでいるスコールを落とさないように抱え直しながら言った。


「透明になったら、皆とお喋り出来ないからじゃないかな。見えていれば、沢山話が出来るだろう?」
「そっか。見えてなかったら、呼んでも気付いてくれないもんね。そしたら、お菓子も貰えなかったかも」
「お菓子を貰ったのか?」
「うん!あのね、一杯貰ったんだよ」


そう言いながら、スコールは肩にかけていた鞄の蓋を開ける。
レオンはホームに入って来た電車に乗り込み、反対側のドアに寄り掛かって、「みてみて!」と言うスコールの鞄を覗き込む。

朝には必要な荷物のみを入れていた筈の鞄の中は、色とりどりのお菓子袋で一杯になっていた。
市販品の個包装をバラして、数種類のものを一つの袋に纏めてあったり、小袋のスナック菓子であったり、中には手作りの菓子と思しきものもある。
小さなカプセルフィギュアが入った食玩や、一昔前の駄菓子屋でよく見るラインナップもあった。
恐らく、商店街の大人達が、子供達の為に思い思いに用意してくれていたのだろう。
今日のスコールが終始機嫌が良いのも、このお陰に違いない。


「沢山貰ったな。一気に食べると虫歯になってしまうから、少しずつにするんだぞ」
「うん。あのね、これね、トリックオアトリート!って言ったら貰えたんだよ。今日だけ使える特別なまほうなんだって」


それは凄い魔法だな、とレオンが言うと、スコールは嬉しそうに頷いた。


「こうやってねー……えいっ。トリックオアトリート!」


くるくると星のステッキを回して、スコールはレオンに向かって魔法をかけた。
突然の事───と言っても大方の予想は出来ていたが───に、レオンはぱちりと目を丸くするが、きらきらと期待に満ちた蒼の瞳に見詰められ、くすりと笑う。

レオンは腕に抱いていたスコールを床に降ろして、ごそごそと服のポケットを探る。
何かめぼしいものはないかと探すレオンの指先に触れたものがあって、そう言えば、と思い出した。
ポケットから出て来たのは、仕事中に同僚から貰った飴玉だ。
仕事の労いにと貰ったものだったが、あの時食べなくて良かったな、と思いつつ、スコールの手に転がしてやる。


「ほら、スコール。お前の好きなイチゴ味だ」
「わーい!」


大好きなイチゴ味の飴を貰って、スコールは喜び一杯で兄に抱き着く。
丁度良く電車が駅に到着したので、レオンはもう一度スコールを抱き上げて降車した。

駅の外へと向かう道すがらに、スコールは飴の包装を開けていた。
小さな口の中に飴を入れて、ころころと舌の上で転がしている。
ゆっくり溶けて行くイチゴ味の感触が楽しいようで、スコールは幸せそうに丸い頬を赤らめた。


「えへへ。まほーつかいってすごいね、お菓子いっぱい貰えるんだね。僕、ずっとまほう使いでいたいなあ」


そう言ってスコールは、星のステッキを揺らす。
何処かで聞いた事があるような呪文を唱えては、空に向かって魔法を放つ仕草を見せた。

ぽすん、とスコールの頭がレオンの肩に乗せられる。
甘えモードになった弟に、レオンが伝わる体温に口元を緩めていると、


「ねえ、お兄ちゃん。僕が色んなまほうが使えたら、お兄ちゃんのお手伝いも一杯出来るようになるかな?」


そう言って、スコールの小さな手が、レオンの服の端を握る。
兄弟二人の生活で、幼い自分が余り兄の力になる事が出来ないのを、スコールは理解していた。
自分で出来る事は頑張るように心がけてはいるけれど、甘えたい気持ちは誤魔化せないし、怖い事があれば守ってくれる兄の存在を呼ばずにはいられない。
レオンはそんな弟の事を無碍にする事はないけれど、幼いなりに兄の力になりたいと願うスコールにとっては、歯痒いものであった。

それまでの楽しそうな様子とは違い、真剣な声で言ったスコールに、レオンの表情が柔らかくなる。
抱き着く弟の背中をぽんぽんと撫でて、レオンは歩きながら囁いた。


「お前には、いつも助けて貰ってるよ」
「……ほんと?」
「ああ。ご飯の準備も、片付けも。買い物も、荷物を持ってくれるし」
「僕、お兄ちゃんのお手伝い、出来てる?」


顔を上げて確かめようとするスコールに、レオンははっきりと頷いて見せる。
途端、ぱああ、とスコールの表情が明るくなった。


「えへへ」


魔法のステッキを握り締めて、嬉しそうに笑うスコール。
その笑顔が、兄に幸せを齎す一番の魔法である事を、小さな魔法使いは知らない。





ハロウィンと言う事で、小さな魔法使いな子スコ。
お兄ちゃんにとっては、其処にいてくれるだけで幸せにしてくれる、唯一無二の魔法使いです。
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[ジェクレオ]その声が聞こえたら

  • 2018/10/09 21:30
  • カテゴリー:FF


「お前、ほんと声出さねえなあ」


その呟きは独り言の音に近かったが、自分を指している言葉も聞こえたので、レオンは俯せていた顔を上げる。

背中と腰と、あまり口では言えない場所が痛い。
何度か回数を重ねる内に、体は行為自体に慣れては来ているが、やはり本来は受け入れる器官ではない訳だから、負担がかかるのは否めなかった。
相手───ジェクトもそれは理解してくれているので、出来る限り解したりとレオンの負担を軽減しようとしてくれるのだが、やはり辛いものは辛い。
其処には、ジェクトの身体的特徴にそもそもの無理がある、と言うのもあったりするのだが、それを言い出せば行為そのものが出来なくなってしまいそうで、それはレオンが嫌だった。
あまり他者と深い繋がりを持つ事なく、家族以外とは触れ合う事も少なかったレオンが、唯一、ジェクトだけは体温と鼓動を直に感じたいと思うのだ。
「どうしてもやらなきゃいけねえ事でもねえだろ」と気遣ってくれる気持ちは嬉しいのだが、それとは別に、繋がりたいのもレオンの本音なのだから。

ベッドに寝転んでいるレオンの隣で、ジェクトは端に座ってペットボトルの水を開けていた。
一口飲んだそれを、飲むか、と差し出されて、レオンは受け取りながら起き上がる。
ずきずきと痛む腰を庇いながら、ベッドヘッドに寄り掛かり、ペットボトルに口をつけた。
常温の部屋に出しっぱなしにしていたが、まだほんのりと冷たさが残っており、喉を通って行く水の感触が心地良い。
ふう、と一息を吐いたレオンは、ジェクトにペットボトルを返しながら、ええと、と先のジェクトの呟きを思い出す。


「俺が声を出さない、と言うのは────その。やっぱり、セックスの時の話か?」


つい先程まで、二人は熱を共有していた。
体はまだその名残を残しており、ジェクトの広く大きな背中を見ていると、レオンはそれにしがみついた時の事を思い出してしまう。
それを心の奥に隠しながら、話の続きを促すと、ジェクトは考えるようにがしがしと頭を掻いて、


「あー……まあ、そのつもりだったが、他の事もそうだったな」
「そんなに俺は声を出していないか?」
「俺にしてみりゃあな。そう言う生活もしてないってのもあるだろうけどよ」


確かに、レオンは生活の中で声を荒げる必要は少ない。
同居している弟は、子供の頃から聞き分けが良かった所があるので、声を大きくして注意しなければならない事は殆どなかった。
父と喧嘩をする事もほぼなく、仕事についても───余程切羽詰まってでもいなければ───普通の声量で事足りている。
偶にむしゃくしゃして大きな声を出したくなる、と言う事もないではないが、幼い頃からそう言う生活が環境として整っていた所為か、意識して声量を上げると言うのは聊か難しい所があった。
仕事が上手くいかない、自分の所為ではない事に振り回されるなどでフラストレーションがたまり、稀に声を上げたくなる時もあるのだが、結局は飲み込むのが常であった。

ジェクトはペットボトールをサイドテーブルに戻し、どさ、とベッドに倒れた。
丁度頭の位置にレオンの足があり、膝枕の形になる。
シーツ越しに感じるジェクトの頭の重みに、少しむず痒いものを感じなら、レオンはジェクトの顔を見下ろす。


「確かに、最近あまり大きな声を出してはいないな」
「最近、ねぇ。ガキの頃から、お前は静かだった気がするけどな。うちのガキみたいに煩くても敵わねえけどよ」
「はは、ティーダは確かに元気だな。よく隣から声が聞こえるぞ。あんたの声と一緒に」
「聞かねえ振りしてくれよ」
「無理だな。隣家で親子喧嘩ともなれば、尚更無視する訳には行かないだろう。ティーダも直にこっちに来るし」


隣家で毎日のように勃発する親子喧嘩は、レオンとその家族にとっても最早慣れたものではあるが、かと言って聞こえない振りは難しい。
ジェクトもその息子ティーダも揃って声が大きく、防音処理までしていないマンションでは、どうしたって喧嘩の内容が筒抜けなのだ。
口喧嘩をした後は、ティーダがレオン一家の家に来て、同級生の弟に泣きつくのもパターンであった。
そうして弟スコールがティーダを宥めている間に、レオンはジェクトの下に行って、息子の言い様に腹を立てつつも受け流せない大人げなさに落ち込むジェクトを宥めるのだ。

そんな生活をしているのに、隣家の騒ぎを聞こえない事にしてくれと言うのは無茶だ。
くすくすと笑いながら言うレオンに、ジェクトはばつの悪い表情を浮かべ、「悪かったよ……」と目を伏せる。


「そっちの家の問題は、今は良いとして」
「そうしてくれ」
「声を出さない、か。でも必要な時は、そこそこ声は出てると思うんだが」
「ああ、全く出せないって訳じゃないんだろうしよ。けど、セックスの時は本当に声出さねえよな」
「そう…か……?」


改めて話に戻るように、ジェクトは最初に指していた時のタイミングをはっきりと指定して言った。
その時の事となると、レオンはいまいち判然とせず、首を傾げるしかない。


「家でヤってる時は、抑えねえといけないって仕方ねえと思うけどよ。今日みてえに家じゃなくて外でも、堪えてるだろ。お前も色々大変っつうか、無理してる所あるだろうし、歯ぁ食い縛ってる所もあるんだろうが。痛いでも苦しいでも声に出せば、少しは楽になるんじゃねえかと思ってよ。……ま、俺が言える話じゃねえけどな」


無理させてるのは俺なんだし、と言うジェクトに、そんな事は、とレオンは言った。
しかし、体の負担が中々辛い事は確かで、これは嘘で誤魔化せるものではないとレオンも判っている。
始めの頃は涙が出そうな程に痛かったし、我慢しすぎて唇を噛んで血が出た事もある。
今でも挿入時の苦しさは変わらず、息を堪えて耐えなければならない瞬間もあり、それがジェクトには少々心苦しい所があった。


「歯ぁ食い縛って我慢する事も良いが、発散しちまった方が楽になる事もあるもんだからよ」
「まあ……そうだな……でも、俺には難しそうだ」


自分がつい口を噤んでしまう、歯を食い縛ってしまう癖がある事を、レオンは少なからず自覚している。
それは幼い頃、母を亡くしてから、父を支える為、弟を守る為にと、自分自身がしっかりしなければと言う想いから重ねて来た行為だった。
泣けば父を困らせる、弟が怖がってしまう、と何時でも恐怖や不安に対して身構え、耐えて来た。
レオンが大きな声を出す事自体が自発的に行えないのは、そう言った経験の積み重ねもあるのだろう。
ずっと続けて来たその行為は、最早レオンの一部となって染み付いており、それを破る事をするのは、二十歳を越えた今のレオンには少し難しそうだった。

子供の頃から、大人になっても続いている癖なのだ。
すれば楽になる、と言う事であっても、簡単に出来る事ではないと言うのは、ジェクトも理解できる。

そうでなくとも、セックスの時の自分の声と言うのは、まるで自分のものではないかのように上擦った音をしていて、レオンは自分で聞いていられなかった。
性的刺激によって反応して声を上げると言うのは、その事を露わにしているようにも思えて、ジェクトがそう言う意図をもって触れていると判ってはいても、恥ずかしくて堪らない。
セックスの時に殊更声を上げる事を我慢しようとしてしまうのは、そう言った気持ちも大きい。

眉尻を下げて弱った顔をする青年に、ジェクトは手を伸ばし、横髪のかかる頬に触れた。


「其処までマジになんなって。妙に真面目な話になっちまったが、俺ぁ単にヤってる時のお前の声がもっと聞けりゃあなって思っただけなんだからよ」
「……あんたな。真面目に考えた俺の時間を返してくれ」


露骨に即物的な恋人の言葉に、レオンは眉尻を吊り上げて、頬に触れた手を抓ってやる。
いてて、と嫌がってみせるジェクトだが、レオンの手を振り払う事はしなかった。
代わりに、宥めるように太い指先が頬をくすぐって、レオンの下唇に触れる。


「怒んなって。楽にしてやりてえなって思ってるのはマジなんだから」
「じゃあ、もう少し手加減を覚えてくれると助かるんだが?」
「目一杯努力してるぜ。後はお前が俺を煽るからだろ」
「覚えのない話だ」
「自覚してくれや。今でも結構堪えてんだぞ?」


言いながら、ジェクトはレオンの下唇を摘まんだ。
少しカサついた感触のある指先に、レオンはちろりと舌を出して押し付けた。
指先に触れる弾力のある感触と、下から見上げる青年の艶を孕んだ表情に、ジェクトがにやりと笑う。


「お前、確信犯はもっと性質が悪ぃぞ」
「さて何の事だか」


ジェクトの表情を真似るように、レオンもにやりと笑ってやる。
この野郎、とジェクトが呟いて、がばっと起き上がり、大きな手がレオンの頭を掴む。
わしっと熊のような大きな手に捕まったと思ったら、ジェクトの厚い唇がレオンのそれと重ねられた。

貪るように深くなっていく口付けに、レオンは抵抗せず、されるがままに受け入れる。
頭を掴んでいた手が改まったように後頭部に添えられると、レオンもジェクトの首へと腕を絡めた。
唾液が咥内で溶け合うのを感じながら、レオンはゆっくりと目を閉じる。
尚も深くなる口付けに甘えながら、レオンが体の力を抜くと、とさり、と背中がベッドへと落とされた。

段々と息苦しさに意識がふわふわとし始めた所で、ジェクトはレオンを開放する。
はあ……っ、と熱を孕んだ呼気を零しながら息を吸い込んで、レオンの閉じていた瞼が緩く持ち上がる。
見下ろす男の赤い瞳が、再び湧き上がった情欲を隠そうともしないのを見て、レオンの体もまた熱が蘇るのを感じつつ、


「……声は、出した方が良いか?」


訊ねてみるレオンに、ジェクトは虚を突かれたように一瞬目を丸くした。
が、直ぐににやりと笑って、


「いや。いつもの通りで良いぜ」
「良いのか」
「我慢できずに出てる声ってのも、結構乙なもんでよ」


そう言いながら首筋に歯を立てる男に、悪趣味な、とレオンは言った。

ジェクトはくつくつと喉で笑うだけで、そのまま愛撫を始める。
それを振り払おうとも思わないのだから、悪趣味なのは自分も同じか、とレオンはこっそりと頬を緩めた。





10月8日から遅刻でジェクレオ!

つい我慢してしまうレオンと、我慢してる様子を眺めるのも嫌いじゃないし、我慢できなくなって出てしまった声もお気に入りなジェクト。
他愛ない話もしながら大人の雰囲気でいちゃついて欲しい。
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