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日記と言うより妄想記録。時々SS書き散らします(更新記録には載りません)

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日記と言うより妄想記録。時々SS書き散らします(更新記録には載りません)

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カテゴリー「FF」の検索結果は以下のとおりです。

[猫レオン&仔猫スコール]まって、まって

  • 2013/02/05 22:54
  • カテゴリー:FF
東京から帰る夜行バスを待っている時、バス停に二匹の猫がいました。
黒と茶色の猫で、茶色の猫が黒猫の後をずっと追い駆けてて、茶色の猫がにゃーって鳴いたら黒猫が立ち止まって振り返ってました。
そんな調子でバスが来るまでの約一時間、ずっとバス停の周りをぐるぐる歩き回っていて。

…と言う訳で、猫なレオンと子スコです。


まって、まって

待って、待って


この二匹が、いつか大統領に拾われたり??
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[猫レオン&仔猫スコ]待って、待って

  • 2013/02/05 22:22
  • カテゴリー:FF


かぷ、と首の後ろを噛んで持ち上げる。
そうやって、高い塀や、幅の広い溝や、パイプの上を運んで行く。
それが一番安全なのだけれど、いつまでもそうしている訳には行かない。

生まれて半年近くが立って、幼子はやっぱり小さな体をしているけれど、伸び伸びと成長してくれた。
最近は兄の真似をする事に一所懸命で、兄が毛繕いをしたり、昼寝したりすると、一緒になって毛繕いしたり、昼寝したり。
もう幼子と言う程幼くはないけれど、兄にとってはやはり、幼子は幼子であった。
何かあると直ぐにおにいちゃん、と呼ぶし、ちょっとした段差に足を取られてころんころんと転がってしまう。
なんとも、見ていて危なっかしい。

でも、だからと言って、いつまでも過保護にしている訳には行かない。
自分自身で生きて行く力を身に付ける事が出来なければ、この世界で生き残っていく事は難しい。
例え兄がどれだけ守り続けていようとも。


お兄ちゃん、お兄ちゃん。


呼ぶ声に振り返れば、とてとて、とてとて、駆け寄ってくる幼子がいる。
すりすりと身を寄せて来る幼子に、こつん、と鼻を押し付けた。
それだけで嬉しそうに目を細める幼子は、兄を無心に慕ってくれる。
だからこそ、少し心が痛いけれど、だからこそ、心を鬼にしなければならない。
そうしないと、この子はいつまで経っても、一人前になれないから。

お腹空いたな、と言うと、幼子はうん、と頷いた。
ママ先生の所にご飯を貰いに行こう、と言うと、幼子はうん、と嬉しそうに頷いた。
今日は近道して行こう、と言うと、幼子はうん、と頷いた。

いつも通る道を途中で曲がると、後ろをついて来ていた足音が止まる。
お兄ちゃん、と呼ぶ声がして、振り返ると、見慣れない道に戸惑う様子の幼子がいた。
大丈夫、と促すと、駆け足で追い駆けて来て、ぴったり兄の後ろをくっついて歩く。

行き止まりの壁を、ジャンプで登る。
壁の上から下を見下ろせば、幼子はぐるぐると辺りを歩き回る。


待って、待って、お兄ちゃん。


幼子はきょろきょろ辺りを見回した後、見付けた室外機の上にジャンプした。
それから、小さな棚、詰み上がったプロックと点々と飛び移って、兄の下へ。

ほんの少し前まで、壁の下で兄を呼ぶしか出来なかったのに、一人で登れるようになった。
毎日、兄の真似をして、飛び跳ねる練習をしたからだ。
よく出来ました、と耳の裏を撫でてやると、ぴくぴく、と嬉しそうに耳が跳ねる。


早く行こう、お兄ちゃん。


得意げに行って、壁から降りようとする幼子を呼び止めた。
今日はこっちだ、と言って壁の上を伝って行くと、幼子は疑う事なく着いて来る。

家と家の隙間を通っていた壁を伝って行くと、川に出た。
其処には水道管や排気管のパイプが沢山あって、川の端と端を繋いでいる。
その中で特に太い一本を選んで、ひらり、壁からパイプに足場を移した。

パイプは太くてしっかりとしているけれど、平になっていないから、滑らないように気を付けながら歩く。
すると、


待って、待って。
お兄ちゃん、待って。


呼ぶ声が聞こえて、振り返ると、壁の上で佇んでいる幼子の姿。
おろおろ、きょろきょろ、辺りを見回しているけれど、追い駆けて来る様子はない。


待って、待って。
お兄ちゃん。


ミィ、ミィ、と兄を呼ぶ声。
兄を追い駆けようと、パイプに足を乗せてみる幼子だけれど、出しかけた前足が直ぐ引っ込んだ。

大丈夫、怖くないよ。
ゆっくり、ゆっくり、バランスを取って。
真ん中を通れば大丈夫。
ゆっくり、こっちに渡っておいで。

促してみるけれど、幼子は固まったように動かない。
ちゃぷん、と川面で何かが跳ねる音がした。


まって、まって。
おにいちゃん。


ミィ、ミィ、と兄を呼ぶ。
そうすれば、いつだって兄は戻って来てくれて、咥えて運んでくれたから。
それが一番、安全で、怖くないから。

けれど、兄は戻らなかった。
パイプの真ん中で止まっていた兄は、ふい、と背中を向けて歩き出した。


まって、まって。
おにいちゃん、まって。
まって、おいていかないで。


一際大きな声で兄を呼ぶ。
その声に、振り向いて戻りたくなるのを耐えながら、兄は反対岸に辿り着いた。
其処でようやく振り返り、ほら、おいで、と幼子を呼ぶ。

兄が戻って来てくれない事を感じ取ったか、幼子は泣きそうな顔でじっと兄を見つめていた。
どうして戻って来てくれないの、と見つめるキトゥン・ブルーに、兄はぐっと歯を食いしばる。
此処で戻るのは簡単だ、いつものように運んでやるのも簡単だ。
でもそれでは、あの子はいつまで経っても幼子もままで、生きて行く術が身に付かない。
甘やかすだけでは駄目なのだと、自分自身に言い聞かせて、兄はじっと幼子を待った。

やがて、兄を呼ぶ幼子の声は止んだ。
ぺたり、とその場に伏せて、耳が寝て、しょんぼり顔で、対岸で待つ兄を見る。

それから更に時間が経って、幼子はそろそろと起き上り、恐る恐る、パイプへ足を踏み出した。
きちんと足が乗る場所を探して、ぺた、ぺた、ぺた、とパイプを触る。


まって、まってね。
まっててね。


ミィ、ミィ、と兄を見て、幼子は言った。
そうして、そっと、そっと、パイプの上に体を乗せる。

一歩、一歩、また一歩。
戻りたい、と言いたげに、幼子は後ろを振り返る。
そんな幼子に、おいで、と声をかければ、泣きそうな顔で兄を見た。
ぷるぷる、小さく震えながら、幼子は兄だけを見て、真っ直ぐ歩く。


お兄ちゃん。
待ってね、待っててね。


ちゃんと行くから、待っててね、と言う幼子に、うん、待ってるよ、と頷いた。

慣れてしまえば、渡り切るまで20秒だってかからない。
けれど、初めて渡る幼子にとって、この道はとても怖くて、とても険しいものだから、ゆっくりゆっくり、落ちないように、慎重に。
足下で、ぽちゃん、と川面の跳ねる音がして、びくっと幼子の体が固まった。

こわい、こわい。
おにいちゃん、たすけて。
そんな声が聞こえそうなくらい、キトゥン・ブルーが見つめるけれど、兄は決して動かない。
じっと耐えるように、石になってしまったかのように、じっとその場で待っている。

一分、二分、ひょっとしたらもっと。
それくらい、幼子と兄にとって、長い長い時間が経って、


お兄ちゃん。


パイプを渡り切った幼子が、一目散に兄に駆け寄った。
ミィミィ鳴いて、すりすり体を寄せて来る幼子に、兄もほっと息を吐く。

よく出来ました。
額を撫でて、耳の裏をくすぐって、涙の滲んだ目元を拭ってやれば、お兄ちゃん、と甘えてくる声。
ぐるぐる兄の周りを周って、すりすり体を摺り寄せて、精一杯頑張った分を取り戻すように、沢山甘える。
兄もそんな幼子を、目一杯甘えさせてから、さあ行こう、と促した。

幼子は、ぴったり兄に寄り添ってついて来る。
けれど、歩幅の違いで、いつの間にか幼子は後ろをついて来る形になって、


待って、待って。
お兄ちゃん、待って。


一つ試練を乗り越えて、少しずつ大きくなって行く幼子。
けれど、どうやら、兄離れはまだまだずっと先らしい。

立ち止まって振り返れば、一所懸命に駆けてくる。
もう転んだりはしないかな、と思っていたら、ころんころんと転がった。
きょとんとした顔で逆さまになっている幼子に近付けば、お兄ちゃん、と嬉しそうに呼ぶ声が聞こえた。





ちょっと大きくなった仔猫スコ。
でもまだまだ甘えん坊。
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[猫レオン&仔猫スコ]まって、まって

  • 2013/02/05 22:09
  • カテゴリー:FF


まって、まって。
おにいちゃん、まって。


ミィ、ミィ、と聞こえる声に、足を止める。
振り返れば、短い四足を一所懸命に動かして、追い駆けて来る幼子がいる。

幼子は、前ばかりを見ていて、足下を見ていない。
その所為で、ちょっとした段差に足を取られて、ころんころんと転がってしまう。
丸く小さなその幼子は、そうして毎日、ころころ、ころころと転がった。

幼子が生まれて、もう直ぐ二ヶ月。
母が幼子を生んで間もなく死んでしまった所為か、幼子はとても体が弱い。
同じ頃に生まれた子供達と比べても、幼子はとても体が小さくて、いつも皆に置いてけぼりにされてしまう。
そんな幼子を母に代わって、守り、育て、慈しむのが、兄である自分の役目。


まって、まって。


とてとて、とてて、ころんころん。
ああ、ほら、また。
いつも気を付けなさいと言っているのに。


おにいちゃん、まって。


逆さまのまま、幼子が言った。
起き上がろうと、じたばた足を動かしている。

来た道をくるりと戻って、幼子の下へ。
仰向けになってじたばたしている幼子を、上から覗き込めば、雫の滲んだキトゥン・ブルーが兄を見付ける。
鼻で幼子の体を押して、ころん、と横に半回転。
幼子はきょとん、とした顔できょろきょろと辺りを見回して、あれ?どうして?と言う顔。
そんな幼子の頬を撫でて、さあ行くぞ、と歩き出した。

歩く速度は気を付けて。
そうしないと、直ぐに幼子を置いて行ってしまう。
────と、気をつけている筈なのに、


まって、まって。
おにいちゃん、まって。


ふっと聞こえた声に隣を見れば、其処にいる筈の幼子はいなくて、後ろで駆け足。
立ち止まって待っていれば、幼子は一所懸命に駆けて来て、隣に来ると兄を見上げる。

可愛くて堪らない。
鼻先を近付けて撫でてやれば、くすぐったそうに笑う。
頭の上に土がついているのを見付けて、拭い取ってやった。


なあに?


きょとんとした顔で見上げて来る、丸い大きな瞳。
なんでもないよと撫でてやれば、幼子はそれだけで嬉しそうな顔をする。


ねえ、おにいちゃん。
きょうはどこにいくの?


今日は何処に連れて行ってくれるの、と。
問いかける幼子に、そうだな、何処に行きたい?と聞いてみると、


うーんとね。
まませんせいのところがいい。


いつもおいしいご飯をくれる人を、幼子はきちんと覚えていた。
ちょっと遠いぞ、と言うと、だいじょうぶ、と幼子は言った。

時々隣を確認しながら、時々後ろを振り返りながら、一緒に歩く。
今日はなんだか随分と人が多いから、ちょっと回り道をしよう。
ちょっと大変な道だけれど、大丈夫か、と言うと、だいじょうぶ、と幼子は言った。

いつもは真っ直ぐ通る道を、途中で曲がって、細い道へ。
後ろを幼子がちゃんとついて来ている事を確かめながら、危ないものがない事を確信しながら進む。


あっ。


声を上げた幼子の前には、壁が一つ。

後ろを振り返って、幼子の顔を見た。
どうするの?と言う顔で見詰めて来る幼子に、よく見ていろよ、と言って、体を低くする。
しっかりと距離を測って、地面を蹴って、高くジャンプ。
壁の上に降りて、残した幼子を見れば、ぱちくりとした表情で此方を見上げている。

おいで、と言うと、幼子はおろおろ、ぐるぐる。
いつものように兄について行こうと、壁に近付いてみるけれど、垂直の壁は歩けない。


おにいちゃん、おにいちゃん。


ミィ、ミィ、ミィ。
壁に前足をくっつけて、兄を呼ぶ。
かりかり、かりかり、引っ掻く音。


おにいちゃん、まって。


置いて行かれてしまうんじゃないかと、不安そうに兄を呼ぶ。

大丈夫、待っているから。
大丈夫、飛べるから。
だからおいで。

壁の上からそう呼んでみるけれど、幼子はじっと兄を見上げて呼ぶばかり。
後ろの足が、ぴょん、ぴょん、と跳ねる動きをするけれど、壁の半分も登れない。


まって、まって。
おにいちゃん。
まって、おいていかないで。


終いには、ぺたんと座り込んで。
ミィ、ミィ、ミィ、と声ばかり一所懸命に大きくなる。
置いて行かれたくなくて、一人ぼっちになりたくなくて。

仕方ない、と飛び降りる。
幼子のいる方へ。


おにいちゃん、おにいちゃん。


直ぐに幼子は駆け寄ってきて、すりすり、体を寄せて来る。
どうやら、この壁は、この幼子にはまだまだ早い道らしい。
ぷるぷる震える小さな体に、随分、怖がらせてしまったなと思った。

でも人の沢山いる道に戻るのは危ないから、やっぱりこの道を通るしかない。
かぷ、と幼子の首の後ろを噛んで持ち上げる。
ぷらん、と幼子が宙ぶらりんになって、あれ?お兄ちゃん?と呼ぶ声がしたけれど、今返事をしてやる事は出来ない。
そのまま地面を蹴って飛び上がり、室外機を階段代わりにして、もう一度ジャンプ。
壁の上に着地した。


すごい、おにいちゃん。


そう言った幼子は、まだ兄に咥えられたまま。
壁の反対側を除けば、上った時と同じ高さがあって、幼子ががち、と固まったのが判った。

着地地点をよく探して、よく選ぶ。
一人で降りる訳ではないから、うっかり幼子に怪我をさせてしまわないように気を付けて、ジャンプ。
一段、二段、三段と着地して、四段目で地面に降りる。

幼子を地面にそっと下ろすと、幼子はぷるぷると体を震わせた後、きらきらとした目で兄を見上げた。


すごい、おにいちゃん。
すごい。


ぴょんぴょんと兄の周りを飛び回りながら、幼子は言った。
無邪気なその姿が微笑ましくて、兄はくすりと苦笑する。

はしゃぐ幼子の頭に、こつん、と額を押し上げた。
大丈夫だと言っていたのに、全く仕様のない子だ。
でも、そんな幼子が可愛く思えてしまうから、自分も仕様のない兄だ。

鼻の頭で幼子の頭を撫でて、さあ、行くぞ、と踵を返す。


まって、おにいちゃん。


直ぐに後を追う気配。
ちらりと後ろを振り返れば、短い足で一所懸命ついて来る幼子。

ほら、足下を見ないと転ぶぞ、と言った傍から、幼子はころんころんと転がった。





完全に猫なレオンと子スコに萌えた。
「おにいちゃん、まって」が仔猫スコの口癖です。
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[クラ×レオ&子スコ]なぞなぞわかるかな

  • 2013/02/02 01:35
  • カテゴリー:FF

なぞなぞって色々ありますね。
とんちの聞いてるものもあれば、モジリや言葉遊び、単純な発想のものまで。
問題の出し方によって、受け取る側にわざと特定のものを連想させたりして。

そんな感じでクラウド×レオン&子スコです。
2・3・4に下ネタがあります。ご注意。

なぞなぞわかるかな 1
なぞなぞわかるかな 2
なぞなぞわかるかな 3
なぞなぞわかるかな 4


設定が若干被ってる雰囲気がありますが、サラリーマンレオンさん&子スコとは別設定。の筈(あまり考えてなかった)

  • この記事のURL

[クラ×レオ&子スコ]なぞなぞわかるかな 4

  • 2013/02/02 01:32
  • カテゴリー:FF


様子が可笑しいレオンに、スコールは心配そうに声をかけ続けてみるが、横から伸びて来た腕がスコールを持ち上げる。
下ろされたのは、クラウドの膝の上だった。


「クラウド。お兄ちゃん、変だよ。どうしちゃったの?」
「大人には色々あるんだ。で、まだなぞなぞやるのか?」
「やるっ」
「よし。じゃあとっておきのなぞなぞを出してやろう。スコールに解けるかな」


挑発的なクラウドの言葉に、スコールの目がきらきらと輝く。
難しい問題程、解き甲斐がある事を、スコールは既に知っているのだ。
クラウドは、そんなスコールと、俯いたまま動かないレオンを満足げに眺め、にやりと───なんとも意地の悪い───笑みを浮かべ、


「ちんちん電車から“電車”を取ると、何が残る?」


にやにやと、笑みを浮かべたクラウドの言葉に、スコールはきょとんと瞬きを一つ。
その傍らで、俯いていたレオンが頭を上げ、数秒の沈黙。


「え…え?」
「………」
「どうした?判らないか?ああ、ちんちん電車って知らないか」
「ん、んーん。知ってる。町の中を走ってる電車でしょ」
「そうだ。そのちんちん電車から“電車”を取るとどうなる?」


おろおろとし始めたスコールと、また固まって動かなくなったレオンに、クラウドは笑みを深める。


「え…んっと…んと……」


スコールは視線を右往左往させ、落ち着きなくシャツの裾を握ったり開いたりを繰り返している。
その丸い頬はほんのりと紅潮しており、眉が困ったようにハの字になっていた。

そんな弟の傍らで、レオンも視線を右往左往させていた。
口元に手を当てて考え込むその姿は、答えを必死で探しているのがよく判るのだが、彼の頬も弟と同様、ほんのりと赤らんでいる。
それを見付けたクラウドは、にやにやと笑みを浮かべながらレオンに近付き、


「どうした、レオン。顔が赤いぞ」
「な……だ、れの所為だとっ…!」
「ん?誰の所為だ?さっぱり判らないな。俺はなぞなぞを出しただけだから」
「だから、そのなぞなぞが……」
「なぞなぞが原因?じゃあ、レオンはなぞなぞの答えが判ったんだな?」


ずいずいと顔を近付けてくるクラウドに、レオンが逃げるように仰け反る。


「なんだ?言ってみろ。判ったんだろ?」
「いや、その…、」


赤い顔で口籠るレオンに、クラウドが更に迫る。
その傍らで、スコールが兄と同じように赤い顔でもじもじと手遊びしている。


「なんだ、スコールも判ったのか?」
「え、ん……う、ん、……たぶん……、ん、んとね…」
「待て。スコールはさっき答えたからな。今度はレオンに先に答えさせてやろう」
「なっ…!」


クラウドの言葉に、レオンが絶句する。
ふざけるな、と怒鳴りかけたレオンだったが、じっと見上げる丸い青灰色に気付いて、言葉を失う。
赤い顔で、縋るように見つめる弟は、兄の答えを聞く事で、自分の答えに確信を持ちたいのだろう。
兄ならば、きっと正しい答えを教えてくれる筈だと信じて。

弟から寄せられる無心の信頼と期待の眼差しが、今初めて、レオンには怖かった。
じっと見つめる蒼灰色の瞳から逃げたくて、けれど、弟の信頼を裏切るなどレオンに出来る筈もなく、言葉を失ったままフリーズするしかない。

そんな中、金髪の男はにやにやと意地の悪い笑みを浮かべているはかり。


「判らないのか?レオン。お前には簡単ななぞなぞだと思ったんだが」
「…お、お前、な…!」
「ほら、レオン。なぞなぞの答え、スコールに教えてやらないと」


怒りと、それとはまた別の感情で体を震わせる兄を、スコールが心配そうに見上げている。
弟にいつまでもそんな顔をさせている訳には行かない。
しかし─────しかし。

ぐるぐると考えていたレオンだったが、クラウドは問題を切り上げる気がないと悟ると、腹を括る事に決めた。
こういう事は、下手に躊躇うから駄目なのだ。
一言、さらりと言ってしまえば、それで終わり。
終わりになる。

────と言う旨を、延々と自分自身に言い聞かせた末、


「……………………ち…………ちん、ちん……………………」


消え入りそうな声で呟くのが、レオンの精一杯だった。

クラウドの出したなぞなぞが、問題内容に反して普通の答えばかりだったから、ひょっとして今回も引っ掛けではないのかと思ったのだが、可笑しな答えの問題も混じっていたし……と、延々と考えていたレオンだったが、どう考えても、この答え意外思い付かない。
答えを言わないと解放してくれそうにないので、止むを得ず腹を括ったが、やはり恥ずかしい、と言うかいっそ死んでしまいたい。
何が悲しくて、25歳の男がこんな言葉を吐かねばならないのか。
レオンは本気でそう思っていた。

頭に薬缶を乗せたら沸騰するのではないかと思う程、レオンの顔は赤くなっている。
そんな兄を見て、スコールは更に真っ赤になっていた。


「成る程、それがレオンの答えか。じゃあスコール、お前は?」
「ふぇっ」


矛先を向けられて、スコールがびくっと跳ね上がった。
あう、あう、と赤い顔で口をぱくぱくさせるスコールに、可愛いな、とクラウドは独り言ちる。


「えっ、えっと…、……お、お兄ちゃんと、いっしょ…」
「その答え方はずるいぞ、スコール。ちゃんと自分で言うんだ」
「ふえ、えっ、…ん、んと…」


クラウドの意地の悪い言葉に、スコールはおろおろと戸惑う。
助けを求めて兄を伺うが、レオンは先の自分の発言で深いダメージを負って立ち直れずにいる。

自分の答えは、自分できちんと口にしなければいけない。
至極真面目な顔で言うクラウドに、スコールも「そうかも…」と思いつつあった。


「ん…んと………えっと、じゃあ、言う、ね」
「ああ」
「……ち、…ちん、ちん…?」


おずおずと言ったスコールの声は、兄と同じように、聞き逃しそうな程に小さい。
クラウドはん?と耳を欹てるように傾けて見せ、


「ちょっと聞こえなかったな。もう少し大きい声で言ってくれ」
「だ、だから………ちんちん…………でしょ…?」
「まだ聞こえないな」
「う、あう………………………………………う…………」


じわあ、と青灰色の瞳に浮かび上がる雫。
それを見て、あ、不味い、とクラウドは思ったが、時既に遅く、


「いい加減にしろ、この変態!!!」


怒号と共に回し蹴りがクラウドの頭部を蹴り飛ばし、クラウドはきゅりきゅりときりもみしながらベッドから吹き飛ぶ。
レオンは真っ赤な顔でぐすぐすと泣きじゃくる弟を抱き上げて、フローリングに倒れている男を睨み付けた。


「悪ふざけもセクハラも大概にしろ!」
「痛……人聞きの悪い…誰もセクハラなんかしてないぞ」
「何処がだ!あ、あんな問題…なぞなぞでも何でもないだろう!」


怒り心頭にクラウドを睨み付けるレオンだったが、その顔は未だに赤らんでおり、いまいち迫力に欠ける。
そうでなくとも、クラウドに彼の睨みが効いたかどうかは、怪しい所だったが。

クラウドは全力で蹴り飛ばされた後頭部を摩りながら起き上ると、兄弟揃って真っ赤になっている二人を見上げ、


「さっきのなぞなぞのお前達の答えなんだがな。二人とも“ちんちん”で良いんだな?」


改めて言われ、レオンの眦が吊り上がり、スコール隠れ場所を求めるように兄にしがみ付く。
いい加減にしろよ、と怒鳴りかけたレオンだったが、


「残念ながら、間違いだ」
「……は?」
「答えは“線路と駅”。走る電車がなくなったら、それしか残らないだろ?」


クラウドの言葉に、レオンとスコールはぽかんとした表情で口を開けている。
ぱち、ぱち、と二人同じタイミングで瞬きを繰り返す兄弟の表情に、レアだな、とクラウドは思った。

そのままいつまでも固まっていそうな二人に、クラウドはにやりと何度目か知れない意地の悪い笑みを浮かべ、


「こんな問題に、どうして二人とも恥ずかしがってたんだ。それも答えが“ちんちん”なんて下ネタだとは。全く、二人ともいやらしいな。これは俺も相応に応えてやらないといけ」



──────クラウドが最後まで言葉を紡ぐ事はなく。

二発目の回し蹴りで寝室を追い出された彼は、それから一週間、兄弟と寝所を共にさせて貰えなかった。






下ネタなぞなぞでクラウドがセクハラすると言うネタを頂きました。
レオンさんだけでなく子スコまで餌食です。けしからん。羨ましい←え?

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