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日記と言うより妄想記録。時々SS書き散らします(更新記録には載りません)

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日記と言うより妄想記録。時々SS書き散らします(更新記録には載りません)

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カテゴリー「FF」の検索結果は以下のとおりです。

[クラレオ]雨の翳にて

  • 2017/07/08 22:10
  • カテゴリー:FF


玄関のドアをノックする音が聞こえて、レオンは横たえていた体を起こした。
そろそろ眠ろうかと言う、間の悪いノック音に眉間の皺が寄ったが、この家を訪れる者は限られている。
シドかユフィか、いずれにしても緊急事態の可能性は否めず、確認しない訳にもいかないだろう。

そんな気持ちで玄関のドアを開けたレオンは、其処に立っていた人物を見て、眉間の皺を増やした。
金色の髪がすっかり濡れて萎れているのを見て、序に溜息も吐いてやる。


「……泊めてくれ」
「……タオルを持って来るから、少し待て」


申し出の是非には答えず、レオンはそう言って踵を返した。
濡れ鼠で現れたクラウドは、それだけでほっとしたように息を吐く。

今日のレディアントガーデンは、朝から大雨に見舞われていた。
復興作業なんてとても出来たものではなく、それよりも治水が駄目にならないかと冷や冷やした一日となり、レオンはシドと共に、街の水路や橋、川周辺の防波堤の見回りが中心となった。
城周辺の谷底では濁流が起きていたが、幸い、街の方までその影響が及ぶ事はなく、どこそこの川が氾濫したと言う報告もない。
雨雲も夜には通り過ぎると言うので、一先ず安心して家に帰ったのが、今から二時間ほど前の事。
簡素に作った夕飯を終え、雨の中で冷えた体を風呂で温め、疲労を残さない為にも早い就寝に入ろうとした所で、クラウドがやって来た───と言うのが、レオンの今日一日の流れであった。

洗面所からバスタオルを取り出して、レオンは玄関へ向かう。
先と変わらないスタイルで立ち尽くしていたクラウドにタオルを差し出せば、「悪いな」と言って、クラウドはタオルを受け取った。


「他のワールドから戻ったらいきなり降られた。散々だ」
「仕方ないだろう、今日はずっと降っているんだ」
「この辺り一帯か?」
「恐らくな。朝までには止むそうだが、さて……」


クラウドの向こうに見える景色は、まだ雨は止みそうにない。
降らなければ水不足になるが、こうまでしつこく降られると、中々に面倒である。

幸いなのは、これ程の激しい雨になると、ハートレスの活動が著しく鈍くなると言う事だろうか。
あれらが濡れる事を忌避するとは思えないが、しかし外を出歩く人もいない───つまりはあれらが標的とする“心”もないので、街がやや平和である事は強ち間違いではなかった。
その分、雨上がりには治水の問題と並んで、ハートレスの被害が増える事もあるので、明日のパトロールは強化する必要があるだろう。

クラウドがタオルで大方の水気を拭いたのを見て、レオンは家の中へと戻った。
直ぐに後を追ってクラウドが入る。


「風呂の栓はもう抜いたから、シャワーしかないぞ」
「十分だ。借りるぞ」
「服は洗濯機に入れておけ。まとめて洗って、明日乾かす」
「ああ。……着替え、貸して貰って良いか」
「……持ってきておく」


勝手知ったるとクラウドはさっさと風呂場へと向かい、レオンは下着とシャツ、ズボンがあれば十分だろうと、それだけを脱衣所へ持って行き、また寝室へと戻った。

風呂場からシャワーの音が聞こえていたのは、五分にもならなかった。
風邪を引いたらどうする、とは言わない。
小さな子供ではないのだし、十分だと思ったからクラウドもそれで終わりにしたのだろう。
万が一、明日になって彼が風邪を引いても、面倒は見ない、とレオンは決めている。

散った眠気が再来するのを待つ為、本を読んでいたレオンだったが、その視界に陰が落ちた。
影の持ち主を見るまでもなく察して、見辛い、とレオンは影から逃げるように背を向ける。
と、その背中に、のしっ、と重みが乗った。


「おい、邪魔だ」
「連れないな」
「お前と違って暇じゃないからな」
「本を読んでいるだけだろう。あんたのそれは、暇潰しじゃないか」


構えとばかりにまとわりついてくる男に、レオンは溜息を吐いて見せる。
言外に、面倒な、と告げている態度であったが、クラウドは構わずに、レオンの項に鼻先を寄せる。
匂いを嗅ぐクラウドの鼻息が微妙にくすぐったかったが、レオンは好きにさせていた。


「……そう言えば、珍しく窓から入って来なかったな」
「ずぶ濡れになったからな。蹴り出されると思って」
「まあ、間違いなくそうするだろうな。と言うか、そもそも窓から入って来るな」
「楽なんだ」


良いだろう、と言うクラウドに、良くない、とレオンは肩口から覗く男の顔を睨む。
しかし、クラウドは意に介した様子もなく、レオンの眦に唇を寄せる。

覆い被さっているクラウドの手が、レオンの体を撫でるように滑っている。
匂わせる行為の気配に、レオンは腕でクラウドの体を押し退けた。


「おい、レオン」
「明日も忙しいんだ。疲れる事はしない」
「一回だけ」
「お前のその手の台詞は信用できない」


雨の中を巡回パトロールした今日一日だけでも、レオンは相当疲れていた。
先の眠気で微睡んでいた時も、目を閉じれば五分となく眠ってしまえそうな程だったのだ。
男の生理的な欲求については、レオンも溜まっていない訳ではなかったが、抜かなければ眠れない程の興奮がある訳でもなかったし、明日の為にも余計な消耗は避けたい。
そんな事をしている暇があるなら、さっさと眠り、十分な睡眠時間が欲しかった。

それでもしつこく絡み付いて来るクラウドを、レオンは遂にベッドから蹴り出した。
転がり落ちた男が恨めし気な目を向けてきたが、構わずに布団を手繰り寄せて包まる。


「あまりしつこいと、本当に追い出すぞ」
「……それは勘弁だ」


窓の外は、激しさの増した雨が降っている。
気温の低下は今の所は感じられないが、土砂降りの外界に放り出されるのは、気分の良いものではあるまい。
どうせ過ごすのならば、雨は屋根に、風は壁に遮られている室内が良いに決まっている。

クラウドは渋々と言った様子で、自分の寝床になるソファへと移動した。
布団の代わりにクッションを腹の上に乗せて、体が冷えないように試みる。

ふあ、とレオンの口から欠伸が漏れた。
そろそろ眠れそうか、とレオンは開いていた本を閉じ、寝室の電気を消そうと思ったが、その前にふと思い出し、


「クラウド。お前、明日は此処にいるのか」
「一応、そのつもりだ」
「それなら、明日はハートレス退治を手伝え。雨でセキュリティシステムが何処か不具合を起こしているかも知れないから、人手がいる」


セキュリティシステムの多くは、建物の外に設置されている為、防水対策は施してある。
とは言え、ハートレスの悪戯でセキュリティシステムが破損する事は珍しくなく、破損個所から塵や雨水が入って内部破損まで至る事も多かった。
特にハートレスの数が増え易い場所のシステムは頻繁に不具合が起こり、修復が済むまでは、人の手でハートレスを処理しなければならない。
だが、同じ場所だけの感けていられる事も出来ない為、必然的に人手が欲しくなる。
このタイミングでクラウドが帰って来たのは、レオンにとって幸いであった。

クラウドはソファに寝転がったまま、別に構わないが、と前置きし、


「労働に対する報酬はあるのか?」
「………」


いつもなら口にしない、対価を求める言葉に、レオンは目を細めた。

レイディアントガーデンは、レオンやシドにとっては勿論、クラウドにとっても故郷である。
故郷なのだから復興の為に無償で奉仕しろ、とはレオンも言わない。
復興委員会の主要メンバーは、設立に至るまでの経緯も含め、自主的に街の復興を望んで行動しているが、それでも全てがボランティア精神で片付くものではない事は判っている。
人と言うものは、ある程度の見返りや利益がないと、労働に対する意欲も失われて行くものであった。

今のクラウドが、対価として求めているもの。
考えるまでもなく、先の遣り取りを覚えてみれば、容易に思い至るものがある。
その裏付けのように、碧眼には雄の気配が滲んでいた。

────はあ、とレオンは露骨に大きな溜息を吐く。


「明日の夜なら良い」
「判った」
「晩飯の後にしろよ」
「あんたが作るのか」
「他に誰がいる?それとも、シドに作って貰うか?」


嘗て故郷を失ってから、レオンやエアリスが成人するまで男手一つで子供達を育てただけあって、シドはそこそこ料理が出来る。
彼の作った豪快な鍋の味は、クラウドも覚えていた。
意外と美味いんだよな、と記憶を辿りつつ、


「いや、あんたの作った飯が良い」


その方が邪魔も入らない、と言うクラウド。
隠さない欲求を読み取って、レオンはもう一度溜息を吐いて、部屋の電気を消した。

閉め切ったカーテンの向こうでは、まだ雨の音が続いている。
このまま雨が止まず、明日も一日振り続けた場合、この約束は持ち越しとなるのだろうか。
そんな事を考えながら、レオンは手招きする睡魔に身を任せて、目を閉じた。





7月8日と言う事で、クラウド×レオン。
クラウドに対して遠慮をしないけど、妙な所で甘いレオンとか。好きです。
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[クラスコ]雨音の夢

  • 2017/07/08 22:01
  • カテゴリー:FF


毎週の土日は、恋人であるスコールの家に行くのが、クラウドの習慣だった。
スコールは高校生であり、クラウドはアルバイトをしながらの大学生生活で、平日は中々会う暇がない。
メールや電話の遣り取りは───基本的に寡黙な性質である二人の事を鑑みれば───頻繁に行ってはいるものの、やはり好いた相手の顔を見て話したいと思う事は多々ある。
だからこそクラウドは、本来なら給金も大きくなる土日にアルバイトを入れず、意識して逢瀬の時間を作るように努めていた。

金曜日の夜、クラウドは必ずスコールにメールを送る。
『明日行っても良いか』と問うメールに対し、スコールは『良い』とシンプルな返答。
文面だけを見れば酷く素っ気無いと言う者もいるが、彼がその二文字を打つ時、真っ赤になっているのは想像に難くなかった。

そして土曜日の朝、天気は生憎の雨であったが、クラウドは気にせずにアパートを出た。
幸い、雨脚はそれ程強くはなく、あまり速度を出さずに走れば、雨合羽で凌げる程度だ。
とは言え、今の時期の天候は崩れ易いものだから、雨粒が大きくならない内にと、いつもは通らない裏道を通って近道し、スコールの住むマンション前へと到着する。
バイクを止め、メールで『着いたぞ』と送ってみるも、返信はなし。
クラウドは特に気にせず、マンションの中へと入り、エレベーターへと乗り込んだ。

7階で止まったエレベーターを降り、少し通路を進んだ先に、目当ての扉がある。
インターフォンを鳴らすと、少しの間を置いた後、携帯電話のメールが着信音を鳴らした。


『開いてる』


それだけの内容を見て、クラウドは無防備な、と呆れた。
同時に、背中で降り頻る雨が少し激しさを増したのを見て、無理もないか、と思い直す。

ドアノブを捻ると、抵抗なく扉は開いた。
お邪魔しますと形式の挨拶を述べて、後ろ手で閉めたドアの鍵をかける。
家主の出迎えはなく、少しそれが寂しかったが、止むを得ない事も判っていた。
靴を脱いでリビングを通り過ぎ、奥にある扉をノックをしてから開ける。


「邪魔するぞ、スコール。大丈夫か?」


扉を開けながら声をかけるも、やはり返事はない。
物が少ない寝室の中、一角を占拠するベッドを見れば、其処に寝転んでいる恋人の姿があった。

肩にかけていた鞄を下ろして、クラウドはベッドへ近付く。
気配と音、声を聞いて、スコールは閉じていた目をゆっくりと開けた。
ぼんやりとした蒼灰色の瞳がクラウドを見付け、少し安堵したように眦が柔らかく綻ぶ。


「……クラウド……」
「頭痛か?」
「………ん」


ベッドの傍に膝をつき、顔を近付けて確かめるクラウドに、スコールは小さく頷いた。

スコールは昔から気圧の変化に弱い。
気圧が低い時は、頭痛や腹痛、目眩に見舞われる事が多く、酷い時には吐き気もあって、動く事も億劫になるのだと言う。
これが平日であれば、学校を休む訳には行かないと、薬の助けを借りながら登校するのだが、今日は土曜日だ。
クラウドが来ると判っているのだから、薬を飲んで誤魔化す手もあったが、恐らく、対策を取る前に頭痛に見舞われたのだろう。
そして完全に動けなくなる前に、玄関の施錠だけを外して、ベッドに沈んだに違いない。

眉間に皺を寄せ、うんざりとした様子のスコール。
クラウドはそんなスコールの頬にかかった髪を避け、常より僅かに青白く見える頬を撫でた。


「薬、持って来ようか」
「……う……でも、飯、食ってない……」
「ああ、何か食べてからの方が良いんだったか。何かあるか?ないなら買ってくるぞ」
「………」


クラウドの質問に、スコールは冷蔵庫の中身を思い出そうとするが、思うように思考が回らない。
うう、と唸る声を零すスコールに、クラウドは濃茶色の髪をぽんぽんと撫でて、腰を上げた。

恋人関係となってから、スコールの家には何度も来ている。
勝手知ったる恋人の家と、クラウドはキッチンに向かい、冷蔵庫の蓋を開けた。
食に関心の薄いスコールの家の冷蔵庫は、その大きさに反してあまり物が入っていないのだが、幸い、今日はゼリーがあった。
普段は滅多にそんなものを食べないのに、冷蔵庫の一角を占拠するように敷き詰められていたので、恐らく昨日の天気予報を見て、動けなくなった時の為にと学校帰りに買い貯めしていたのだろう。

シンクの水切りラックにデザートスプーンがあったので、それとゼリーを並べて置いておく。
薬は何処だったか、と食器棚を探ると、薬置き場があった。
風邪薬やら胃腸薬やらと、色々と詰め込まれているのを見て、どれだ、とクラウドは眉根を寄せる。
生憎、薬に世話になる事は少ないので、処方箋も市販薬も詳しくないので、何がどの症状を緩和させるものなのか、全く判らない。
仕方なくクラウドは、薬入れになっている箱ごと持って行く事にした。

寝室に戻ると、スコールが起き上がっていた。


「起きて大丈夫か?」
「…あんまり……でも、食わないと……」
「ゼリーを持ってきた。薬は、どれか判らないから全部持ってきてしまったが…」
「ん……助かる……」
「ああ、水がいるな」


ゼリーとスプーンをスコールに渡し、薬はベッドの端に置いて、クラウドはもう一度キッチンへ向かう。
グラスに水を入れてまた戻ると、スコールはゼリーの蓋を開けてちびちびと食べていた。
食事をする以前に、きっと起き上がっているのも辛いのだろう。
体質で仕方がないとは言え、辛いよな、とゆっくりと食事を進める恋人を眺めながら思う。

なんとかゼリーを食べ切って、スコールは薬を飲んだ。
本来なら対策として、症状が出る前に飲むのが推奨されているものであるから、直ぐに効果が出るような即効性はなく、気怠そうな表情は変わらない。
ベッド端に座り、痛む頭を誤魔化すように蟀谷を摩るスコール。
クラウドはその隣に座って、スコールの体を抱き寄せた。
ぽすん、とスコールの頭がクラウドの肩に乗せられると、いつもは真っ赤になって恥ずかしがる事も忘れ、蒼は視界の端で揺れる金色を見付けると、ほっとしたように体の力を抜く。


「今日はゆっくりするか」
「……あんた、行きたい所があるって言ってた……」
「あるにはあるが、どうせ雨だ。逃げるものじゃないし、今度にしよう」


体調不良の恋人を連れ回す等、クラウドには出来ない。
それよりも今日は、スコールをゆっくり休ませる事が先決だ。

クラウドの言葉に、スコールは少し申し訳ない顔をした。
折角の逢瀬の日なのに、と思っているのだろうが、クラウドはこんな日も悪くはないと思っている。
スコールには辛いだろうが、こんな時のスコールは、いつもの恥ずかしがり屋が形を潜め、生来の甘えん坊が顔を出すので、とても素直で愛らしい。
こう言う時でもなければ、甘やかさせて貰えないので、クラウドは偶の雨の日は嫌いではなかった。


「横になった方が良いか?」
「……ん」


頷くスコールを、クラウドはゆっくりと横たえた。
スコールももぞもぞと身動ぎして、ベッドの中央に身を沈める。

クラウドはスコールの体にタオルケットをかけてやると、食事の跡を片付けようとベッドを離れる────が、くん、とシャツの端を引っ張られた。
振り返れば、ベッドに寝転んだまま、細い腕だけを伸ばしてクラウドを引き留めているスコールがいる。
服に引っ掛かった指先には大した力は入っていなかったが、それだけに、その指先に込められた言葉にない気持ちが伝わる気がした。

クラウドは服に引っ掛かれた腕を取って、ベッドへと下ろしてやる。
僅かに寂しそうな表情を浮かべるスコールの頭を撫でて、ベッドに上がり、スコールの隣へと寝転がる。


「……クラウド……」


ほっとしたように、スコールの頬が緩む。
その頬をそっと撫でながら、唇を重ねると、蒼の瞳が柔らかく細められた。

降り続く雨は、今日は止む事はないだろう。
スコールを苛むそれに、若干の恨みはありつつも、こうして彼が身を委ねてくれるから、嫌いにはなれない。
とは言え、長く降り続くのも望まないので、今夜には上がってくれる事を願いつつ、クラウドは愛しい恋人を腕の檻へと閉じ込めた。





7月8日と言う事で、クラスコの日。
体調不良のスコールを甘やかすクラウドが浮かんだので、そのまま書いてみた。
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[レオン&子スコ]色彩の願い

  • 2017/07/07 22:00
  • カテゴリー:FF


紺色の短冊に滑る、黄色のクレヨン。
この組み合わせだと、黄色の星が綺麗になるんだと、幼い弟は嬉しそうに言った。

行きつけの大型スーパーには、生鮮食品は勿論の事、家電製品や日用品も売られている。
店舗の中央に位置する場所には吹き抜け構造のイベントスペースが設けられており、週毎に様々な行事にあやかったイベントが催されていた。
7月に入ってからは、7日の七夕に向けた企画商品が並べられ、七夕由来の縁起物から、それとは全く無関係ながらパッケージが七夕向けに設えられたものが売れていた。
レオンも毎日の買い物でそれを横目に見ており、幼い弟スコールが喜びそうなものはないか、と探していた。

レオンが購入したのは、小さな笹飾りと、5枚の短冊がセットになっている商品だ。
笹飾りは高さが50センチもない細やかなもので、マンション暮らしの玄関やベランダに飾っても邪魔にはならない。
持って帰ってスコールに見せれば、思った通りにスコールは目を輝かせてくれた。
スコールは早速クレヨンを運んで来て、楽しそうに短冊に願い事を書き、空いたスペースに絵を描いている。


「さーさーのーは、さーらさらー」
「………」
「のーきーばーに、ゆーれーるー」


クレヨンを動かしながら、スコールは楽しそうに歌っている。
少し音の調子が外れている所も、レオンには可愛らしくて堪らなかった。

そんなレオンの手には、1枚の黄色い短冊がある。
セットに入っていた短冊は全てスコールにあげるつもりだったのだが、スコールが「お兄ちゃんも書こう」と言って1枚差し出した。
笹に願う事など、これと言って思いつかないレオンであったが、スコールからの誘いならば断わる理由もない。
差し出された短冊を貰って、さあ何を書こう、と歌う弟を眺めながら考えている。

星を一杯に散らばらせた短冊を完成させて、スコールは満足そうに笑った後、今度は水色の短冊を手に取った。
其処にはもう願い事が綴られているので、描くのは絵だ。
スコールは何を描くか少しの間考えた後、白いクレヨンで綿状の雲を描いた。
それからクレヨンを取り換えながら、七色の虹を完成させる。


(俺も何か書かなくちゃな)


お絵描きに夢中になっているスコールを見ているのは楽しい。
が、折角スコールから貰った短冊を、いつまでも真っ白のままにさせて置くのも勿体ない。


「スコール。クレヨン、借りても良いか?」
「うん。はい、どうぞ」


兄の申し出に頷いて、スコールはクレヨンの入った箱を兄の前へと寄せた。
ありがとう、と濃茶色の柔らかな髪を撫でて、レオンは黒のクレヨンを取る。

丸くなっているクレヨンの先端を紙に押し付けて、離すを繰り返す。
書かねば、と思ったが、未だに書く事は決まっていなかった。
スコールが短冊を書き始めた時、何を書こうか悩んでいる彼に「何でも呼んだぞ」と言った口ではあるが、そんなレオンも特筆すべき願い事と言うものは浮かばない。
自分の事で願う事など尚更少なく、祈るように毎日考える事と言ったら、専ら弟の事ばかりであった。


(……いつも通りでいいか)


悩んだ所で、頭に思い浮かぶものは、きっと何度考えても同じだろう。
そんな結論に行き着いて、レオンは頭に浮かんだものをそのままに書いた。


(スコールが、元気に育ちますように)


レオンの願いは、いつもそれだ。
愛しい愛しい弟が、日々元気に、健やかに過ごしてくれていれば、それが何よりの幸福。

レオンの短冊がシンプルに書き終わった所で、スコールが「できたー!」と嬉しそうに声を上げた。
水色のみだった短冊が、白雲と虹と太陽で彩られている。
他にも、ピンク色の短冊には蝶が、黄緑色の短冊には花があしらわれ、濃い紺色の短冊には幾つもの星が瞬き、華やかに仕上がっている。
スコールが力を入れて描いたので、ついつい絵に目が行きがちだが、願い事も一つ一つ違うものが書かれていた。


「お兄ちゃん、全部終わったよ」
「ああ。それじゃあ、早速笹に飾ろう」


傍らのソファに置いていた笹を見せると、スコールは嬉しそうに頷いた。

セットに入っていた笹は本物ではなく、プラスチックの造り物だ。
しかし、レオンが幼い頃に見ていた頃に比べると、葉脈や竹の筋まで作り込まれており、遠目に見ると本物と殆ど変わらない。

細いながらに確りしている笹枝に、短冊のモールを引っ掛け、捩じって落ちないように結び留める。
何処に飾ろうかと悩むスコールに、レオンはこの辺はどうかな、と指を差して薦めてみた。
素直なスコールは其処に短冊を吊るして行き、5枚全てを飾り終える。
落ちないかな、とレオンが笹をくるりと回すと、葉と一緒に短冊がさらさらと揺れて、それを見たスコールの蒼の瞳がきらきらと輝く。


「お兄ちゃん、貸して、貸して」
「ほら」


両手を伸ばしてねだる弟に、レオンはくすくすと笑って、笹を差し出す。
小さな手がきゅっと笹の柄を握り、左右に揺らしたり、くるくると回したりと遊びながら、スコールは笹と短冊の踊りをしげしげと見詰めている。
新しい玩具を見付けたような顔で、きゃっきゃと楽しそうな弟の姿に、レオンの頬が緩む。

笹で遊んでいるスコールを抱き上げて、レオンはきょろきょろと辺りを見回した。
笹を飾る場所を探しているのだ。
玄関やベランダでも良いのだが、外は雨雲の気配が濃くなっており、強い風が吹いたら、どうなってしまうか判らない。
明日には処分する方向になってしまうとは言え、折角スコールが頑張って書いた短冊が雨に濡れてしまうのは忍びないし、今日1日だけでも無事に越させてやりたかった。
何処が良いかな、と見回した末にレオンの目に留まったのは、ダイニング上の壁掛け時計だ。


「此処に飾ろうか。スコール、届くか?」
「んぅ……?」


天井に近い高さにある壁掛け時計を見上げて、スコールは首を傾げた。
試しに、とレオンは腕に抱いていたスコールを持ち上げて、肩車をしてやる。
いつもの倍以上に高くなった目線に、スコールはふあぁ、と驚いた声をあげながら、壁掛け時計と距離が近付いている事に気付き、


「うん、届くよ。できるよ、お兄ちゃん」
「よし。じゃあ、テープを取って来よう。ちょっと待ってろよ」


レオンはスコールをダイニングの椅子に下ろし、テレビ台の方へと向かった。
テレビ台の引き出しを一つ開けると、ゴミ等の梱包用にと買っておいた透明テープがある。
少し伸ばし、2枚分を鋏で切り、粘着面がくっつき合わないように注意しながら、レオンはそれをスコールに渡した、もう一度スコールを肩車する。
スコールは短い腕を一所懸命に伸ばして、笹を時計の側面に寄せ、透明テープを貼った。
上部と下部と、ぴったりと隙間のないようにテープを貼ったお陰で、テープは笹の重みに負ける事なく、壁掛け時計に飾られた。

スコールを肩から腕へと下ろして、レオンは笹を見上げた。
クラシックな形をした木造りの壁掛け時計に、短冊飾りは案外と似合う。
短冊に描かれたスコールの絵も、天井の電球に照らされているお陰で、よく見えた。

腕に抱かれている弟が、じっと笹飾りを見上げながらぽつりと呟く。


「お願い、叶うかなあ」
「……ああ。きっと叶うよ」
「…えへへ」


兄の言葉に、スコールは嬉しそうに笑って、レオンの肩に頭を乗せる。
首に回された小さく細い腕が、ぎゅっと抱き着いて来るのを感じて、レオンは胸の奥が暖かくなるのを感じた。



『おにいちゃんとずっといっしょ』

────レオンがそう書かれた短冊を見付けるのは、明日の事である。





七夕と言う事で、お兄ちゃんと子スコ。
見付けた短冊は、処分できずにレオンの引き出しとかに仕舞われるんだと思います。
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[ティナスコ]秘密の楽園

  • 2017/06/08 23:12
  • カテゴリー:FF


昼休憩を迎えて、ティナは早速席を立った。
手作りのサンドイッチ弁当を片手に、足早に教室を出て行く。

ぱたぱたと、心なしか慌ただしい足取りで、ティナは一階へと降りて行った。
そのまま足は止まる事なく動き、昇降口で靴に履き替え、校舎裏へと向かう。
昼休憩の賑々しさが遠退いていく中、ティナの表情は急きながらも何処か楽しそうだった。

ティナが向かったのは、学校の第三校舎の裏にあるスペースだ。
其処は裏庭と言う程に整地されている訳ではなかったが、庭師の手は入っているようで、無用な草が生い茂る事はない。
木陰を齎してくれる程度の広葉樹の他は、十余年前に卒業した生徒が、卒業記念に残した石碑があるだけで、生徒が面白がるような物もなかった。
この為、一時はサボタージュ癖のある生徒が溜まり場にしていた事もあったそうだが、それも昔の話。
少なくとも、ティナがこの学校に入学してから、校舎裏が不良の溜まり場になっている所は見た事がない。
精々、猫が昼寝に来ている位のものであった。

時間惜しさに走って来たティナであったが、最後の角を曲がる所で、ぴたっと足を止めた。
走って来た所為で乱れた髪型を少し直してから、そっと角の向こうを覗き込んでみる。


(────良かった。今日もいた)


並ぶ広葉樹の幹の陰から、微かに覗く人影を見付けて、ティナの頬が綻んだ。

するり、とティナの足元を何かが滑り撫でて行く。
初めは驚いたその感触も、此処に通っている内にすっかり慣れた。
慌てる事なくティナが視線を落とせば、三毛色の猫がティナの足下にちょこんと座っていた。

ティナが猫に笑い掛けると、猫はにゃあん、と一声鳴いて、歩き出した。
案内するように歩く猫の後ろを、ティナはゆっくりとついて行く。
木々の隙間から覗いていた人影が近付くに連れ、ティナはおのずと高鳴る鼓動を宥めるように、意識して深呼吸をした。

人影は、石碑を囲むように並ぶ石材の一つに座っていた。
石材は長方形に研磨され、石碑を斜め四方から囲むように配置されている。
決してベンチとして置かれた者ではないのだが、形と言い高さと言い、椅子代わりに丁度良いので、よく座らせて貰っていた。
石材の周りには、昼寝に来たのであろう猫が三匹。
其処にティナを案内していた三毛猫も加わって、くるんと丸くなり、くわあ、と欠伸を漏らす。
野生の鋭さなど何処吹く風と言った猫達の姿に癒されつつ、ティナは歩みを進めていく。
近付いて行く内に、気配と足音に気付いたのだろう、人影が顔を上げて、藤と蒼が交じり合った。


「こんにちは」
「……どうも」
「今日もお邪魔して良いかな」
「…別に、わざわざ許可を取らなくても良いだろう」


此処は俺の場所と言う訳じゃない、と蒼の持ち主───スコールは言った。

挨拶や問に対し、何処かぎこちない返事が返って来るのが、ティナは嬉しかった。
初めて此処でスコールと出会った時には、会話らしい会話は愚か、目を合わせる事すらしなかったのだ。
今でも会話がキャッチボールのように続く訳ではないが、声をかければ一言二言で答えてくれる。
スコールは余り喋る性格ではないようだから、その些細な遣り取り一つ一つだけでも、彼との距離が縮んでいる証のように思えて、ティナは嬉しい。

ティナはスコールが座っているものとは別の石材に腰を下ろして、弁当箱を開けた。
もくもくとサンドイッチを食べながら、同席者を横目に見てみる。
スコールは既に食事を終えたのか、少し猫背になった姿勢で、開いた文庫本を読んでいた。
その風貌は、雰囲気も含めて随分と大人びており、ともすれば高校生らしからぬ空気を滲ませている。
しかし実の所、スコールはティナより一つ年下の17歳であった。


(初めて聞いた時、驚いたなあ。てっきり三年生だとばかり思ってたんだもの)


ティナとスコールが出逢ったのは、去年の秋の事───ティナは二年生、スコールはまだ一年生だった時だ。
その頃からスコールは今と変わらない大人びた雰囲気があり、ティナはてっきり、彼を先輩だとばかり思っていた。
眉間に走る大きな傷や、常に仏頂面である事も相俟って、今以上に近付き難い人物とも思われていた事を覚えている。
成績優秀なので全校生徒の殆どに顔を覚えられているが、醸し出す空気から敬遠している者は少なくない。
かく言うティナも同様に思っており、お気に入りの場所だったこの校舎裏に彼が現れた時は、密かに戦々恐々としていたものであった。
しかし、そんなものは単なる第一印象に過ぎず、実際にはとても可愛らしい少年であると、今のティナは知っている。

ちら、とティナがスコールを見遣ると、彼はまだ本を読んでいた。
その傍らには、昼寝に飽きた黒猫が一匹。
他の猫よりも一回り小さく、まだ子供なのであろう黒猫は、此処に集まる猫達の中で、特にスコールに懐いているように見える。

黒猫はうろうろとスコールの周りを歩き回った後、よく距離と高さを見定めて、ジャンプした。
なんとか石材の縁に前足を引っ掻けた黒猫は、後ろ足をじたばたと動かして、なんとか石材の天辺に登り、座っているスコールへと近付いた。
腰に顔を近付け、ふんふんと鼻を鳴らす黒猫を、青の瞳がちらりと見る。
小さな口が、はく、と服の端を噛むと、スコールは丸めた指の背で猫の頭を緩く押し退けた。
子猫はつるつるとした石材の上を後ろへと押し滑らされ、きょとんとした様子でスコールを見上げている。
そんな黒猫の喉元を、指先でくすぐってやれば、子猫は気持ちよさそうに両目を細めてゴロゴロと喉を鳴らした。


(良いなあ、仲が良くて)


見詰めるティナの視線には気付かず、スコールは子猫をあやしながら、視線は本へと戻す。

スコールの指先は魔法のようだ。
彼の指先に撫でられると、どんな猫でも幸せそうに喉を鳴らす。
彼の手許で、ふかふかころころと猫達が嬉しそうにじゃれるのを、ティナはいつも見ていた。
だから、集まった猫の内の一匹がその指にあやされていると、他の猫達も、自分も自分もと甘えにやって来る。
スコールは彼等を決して振り払う事はしないので、気付くと、頭の上まで登って甘えられている時もあった。

サンドイッチを食べ終えたティナは、弁当箱を風呂敷に包んで石材に置くと、腰を上げた。
丸まっていた茶色の猫がピクッと耳を動かし、頭を上げる。
猫は近付くティナをじっと見つめ、彼女が目の前で膝を曲げると、心得たようにごろんと転がった。
まるで「どうぞ」と言うように腹を見せた猫に、ティナはくすくすと笑って、その腹をそっと撫でる。


「ふかふかしてる…」
「……」


手指に当たる猫の毛並みは、とても柔らかくて心地良い。
野良ではあるが、きっと良いものを食べて、日向ぼっこをしながら眠っているのだろう。

ティナはいつまでもふかふかとした毛並みを堪能していたかったが、しばらくすると、猫がするりと逃げて行った。
あ、とティナが眉尻を下げている間に、猫はスコールの足元へと潜り込む。
足と石材の隙間を寝床にして、茶色の猫はまた丸くなって目を閉じた。
ずっと撫でていたかっただけに残念ではあったが、代わりのように、白猫が近付いてきて、ごろりと横になる。
優しいね、と呟いて、ティナは白猫の脇腹を撫でた。

猫に囲まれる中で、スコールは黙々と本を読んでいる。
時折、じゃれつく黒の仔猫をあやすように指先を貸す以外は、本から目を離そうとしない────が、


「痛っ……!」


小さな悲鳴が聞こえて、ティナは顔を上げた。
見ると、スコールの首の後ろに仔猫が昇っている。
スコールは眉根を寄せて、手探りで仔猫を捕まえ、体から離して石材の下へと下ろした。


「スコール、大丈夫?ひょっとして、噛まれたりした…?」
「……いや。爪が少し引っ掛かっただけだ」
「ちょっと見ても良い?血が出てたら大変」


スコールは答えない代わりに、くるりと方向転換してティナに背を向けた。
少し伸びた後ろ髪を持ち上げて、ティナに項を見せる。
ティナが其処を覗き込むと、薄らと赤い鬱血が浮いていたが、出血等はしていない。


「血は出てないわ。でも、待って、絆創膏持ってるの」
「別に其処までの事は」
「黴菌が入っちゃったら大変だもの。少し待ってね」


ティナはスカートのポケットを探り、絆創膏を取り出した。
スコールは後ろ髪を持ち上げたまま待っている。

剥離紙を取って、粘着部分が傷に重ならないように、ティナは角度に気を付けて絆創膏を貼る。
良いよ、と言うと、スコールはホッとしたように息を吐いて、持ち上げていた後ろ髪を下した。
柔らかな毛先が制服の後ろ襟にかかり、その隙間から僅かに絆創膏が見えている。
これなら、特に目立つ事もないだろう。

みぃ、みぃ、と子猫の鳴く声がする。
見れば、黒猫が甘えるように鳴きながら、スコールの足元を上ろうとしていた。


「……駄目だ」


仔猫を見下ろしてスコールは呟いた。
その言葉を理解した訳ではないだろうが、子猫は不満そうに、みぃ、みぃ、と鳴く。
スコールはふるふると首を横に振り、


「…駄目だ。引っ掻いただろう」


みぃい、と猫がむずがる子供のように声を大きくする。
どうしても甘えたいらしい仔猫に、スコールは眉間の皺を深くした。

優しい、とティナはこっそりと笑みを零す。
構われるのが嫌なら、この場を去るなり、酷い方法だって幾らでもあるだろうに、スコールは決してそれをしようとはしない。
他の猫達に関しても、じゃれつかれる度に眉根を寄せ、困惑した顔をうかべる事はあっても、邪険にする事はなかった。
だからこそ、此処にいる猫達は、スコールを好いているのだろう。

固まったまま動かないスコールの代わりに、ティナは仔猫に手を伸ばした。
小さな体を掬い上げ、嫌がられるかな、と思ったが、案外と子猫は大人しかい。
それを幸いに、ティナはスコールの隣に座り、仔猫を膝の上に乗せた。
仔猫はきょとんとした顔で、不思議そうにティナを見上げる。


(あ。同じ色)


己を映したキトゥン・ブルーに、ティナの鼓動が跳ねる。

深い深い、海の底のような、澄んだ蒼灰色の瞳。
吸い込まれそうな色をしたそれを見つめた後、ティナの視線は隣にいる少年へと向けられた。


「……なんだ?」
「ううん」


見詰める理由を問うスコールに、ティナは何でもない、と首を横に振った。
スコールは首を傾げたが、何も言わないまま、視線は開いたままだった文庫本へと戻る。

みぃ、とティナの膝の上で仔猫が鳴いた。
彼の下へ行こうと、もぞもぞと身動ぎするが、ティナはその小さな背中をそっと撫でて宥めてやる。
仔猫はみぃ、と小さく鳴いた後、もう一度もぞもぞと身動ぎして、ティナの膝の上で丸くなった。
良い子、と首の後ろを指先でくすぐってやると、ごろごろ、と機嫌良く喉が鳴る。

仔猫が落ち着いた所で、ティナはふと視線を感じて顔を上げた。
ばちり、と藤色と蒼灰色が交じり合う。


「……!」


見ていた事を見付かった。
そんな表情を浮かべるスコールに、ティナはくすりと笑い、


「可愛いね」
「……は?」
「猫ちゃん」
「……あ、」


ティナの言葉に思わず間の抜けた声を漏らしたスコールだったが、それが猫に向けられたものだと遅蒔きに気付くと、納得した顔になって行く。
仏頂面ばかりと思っていたら、存外と表情が豊かな少年に、ティナはまたくすくすと笑みを漏らす。


「可愛いよね」
「……ん」
「ふふ」


短い応答に、ティナは満足していた。
同時に、きっと彼は気付いていないのだろうな、とも思う。

文字の羅列を追いながら、時折ティナの膝元───其処に眠る仔猫を見る蒼。
言葉以上にお喋りな瞳に、やっぱり可愛い、とティナは思った。





6月8日と言う事でティナスコ!
仲良くなりたいけど今の距離感も嫌いではないティナと、微妙な距離感にそわそわするけど嫌ではないスコール。

動物に囲まれる二人の図ってなんか和む。
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[バツスコ]遠い記憶の君と今

  • 2017/05/08 23:22
  • カテゴリー:FF


バッツとスコールの出会いは、12年前まで遡る。
バッツが8歳、スコールは5歳の時の事だ。

転勤の多い父に連れられてやってきた街に、スコールは住んでいた。
小さなアパートの一室に、両親と三人で暮らしていたスコールは、とても人見知りが強く、よく泣く子供だった。
隣室に引っ越して来たバッツと父ドルガンが挨拶に行くと、朗らかな笑みを浮かべた女性に迎えられ、スコールはその腕に抱かれて、恐々とした様子でバッツ達を見ていた。
物怖じしないバッツがにっかりと笑いかけると、スコールはさっと目を逸らし、母に縋りついた。
挨拶しなさい、と母に言われたスコールだったが、ふるふると首を横に振って、母の首にしがみついているのみ。
ごめんね、と眉尻を下げる女性に、バッツは気にしていないと頷いた。

翌日、バッツは小学校に向かう途中で、小さなカフェを経営している、隣家の女性を見付けた。
その傍らには子供────スコールもいて、幼気な手にゾウの如雨露を持ち、ちょろちょろと店先の花に水をやっていた。
学校が終わって夕方になり、カフェの前を通ると、カウンター席に座っている小さな子供を窓越しに見付けた。
出入り口に背中を向けている子供の顔は判らなかったが、女性がうんうんと頷いていたので、何か話をしている事は判った。
その時、女性がバッツの存在に気付き、入っておいでと手招きした。
バッツは少し迷ったが、好奇心が勝って、店の玄関を開けた。
途端、スコールはぴゃっと逃げるようにカウンターの向こうへ隠れてしまい、母に「いらっしゃいませ、は?」と促されたが、彼はその日はもうカウンターから出て来る事はなかった。
丁度客のいない時間だったお陰で、店内は至って静かなもので、バッツは其処で一杯のミルクを貰った。
砂糖入りの甘いホットミルクを飲んでいると、じっと視線を感じて、見るとスコールがカウンターの向こうから羨ましそうにバッツを見ていた。
母の入れたホットミルクがスコールの大好物であった事を、その時のバッツは知らない。
けれども、言葉よりもずっとお喋りな瞳に見詰められ、存外と聡いバッツがその内側に気付かない訳もなく、「飲むか?」と言ってミルクを差し出した。
嬉しそうに、けれどもまだ緊張の解けない顔で、そろそろと手を伸ばすスコールを、母は「お客さんのはダメよ」と叱った。
スコールは判り易くしゅんとしたスコールの為、母はもう一杯のミルクを作り、きっと息子専用なのだろう、ライオンマークの可愛らしいマグカップをスコールに渡した。
ミルクを受け取ったスコールが、嬉しそうにそれを口に運び、こくこくと夢中になって飲んでいたのを、バッツはずっと忘れない。

その日から、バッツとスコールの交流は始まった。
後でスコールの父にも逢い、ドルガンも交えて家族ぐるみの付き合いとなる。
出逢ってから間もなく、気丈に見えたスコールの母が、病気で他界した事には驚いた。
生活の中心とも言えた母の急逝により、火の消えたように静かな隣家に、バッツは度々押し掛けるようにやって来て、スコールを構い倒してやった。
一人ぼっちが嫌いなスコールは、そんなバッツに甘え、時には一緒に眠る日もあった。

このままずっとスコールの傍にいたい、とバッツは思ったが、父ドルガンの転勤はやって来た。
離れ離れになる事を嫌がり、わんわんと泣いてしがみつくスコールに、彼の父もドルガンも困り果てていたものだ。
けれども、バッツ一人がこの地に残る訳には行かない。
最後に手紙を出す、と言う約束をして、二人は別離を余儀なくされる。
代わりにバッツは、約束の通りに手紙を出し、スコールはその返事を送り、二人の絆は遠い地に離れて尚、12年の歳月もの間、途切れる事なく続いているのだった。




バッツが18歳になった年に、父ドルガンは急逝した。
病気の節は前々から見られており、治療も施したが、遂に、と言う具合であった。
寂しかったが、不思議とバッツは落ち着いていた。

ドルガンの死は、手紙を通して、遠く離れた地にいるスコールにも伝えた。
その返事の手紙には、スコールだけでなく、彼の父ラグナからの手紙も添えられ、バッツの労う言葉と、父の冥福を祈る言葉が添えられていた。
ラグナはバッツの今後の生活についても訪ね、バッツさえ良ければうちに来ても良い、と言ってくれたが、バッツは丁重に断った。
当時、スコールは15歳で、日々の生活は勿論、高校受験を前にしており、勉強にも何かと入用な頃である。
幸い、バッツはアルバイトを探す事には慣れていたし、一人で生きて行く為の手段と言うのも、父から教わっていた。
蓄えもある程度はあったから、それを無駄にしないよう、高校卒業後は大学進学を諦め、働きに出る事にし、バッツは早い自立を決意した。

それから2年が経ち、バッツが一人暮らしにすっかり慣れた頃、ふと、スコールは今どうしているだろうか、と思った。
手紙の遣り取りは続いていたが、お互いの生活背景と言うものは、全く見えていない。
傍にいないのだから当たり前の事だ。
手紙には本当にそれしか入っていないから、写真もなく、スコールが今どんな風に成長したのかも判らない。
見に行ってみようか、と思ったら、バッツは気持ちのままに行動した。
久しぶりに逢いたいからそっちに行くよ、と日付と共に簡潔な一文を添えて手紙を出し、その日の朝に特急列車に乗った。

そして、五時間弱の長い移動を経て、バッツは12年ぶりに、幼子と出会った地へと戻って来た。


(あんまり変わってないなあ)


昔、父と共に初めてこの地を訪れた時と、殆ど光景が変わっていない駅前を見て、バッツは少し安心した。
迎えに行く、と言ったスコールが指定した待ち合わせのベンチも、昔と変わらない位置にある。
違う事と言ったら、以前はなかった筈のコンビニが駅の傍に出来ている事か。
其処で昼のパンを買って、バッツは待ち合わせ時間まで、ベンチに座ってのんびりと過ごす事にした。

パンを齧りながら、スコールはどんな風に成長しているだろう、と想像してみる。
バッツの記憶にあるスコールは、甘えん坊で泣き虫で、ともすれば女の子にも間違えられる事もある、可愛らしい子供だった。
身長も他の子供たちに比べると小柄で、運動も得意ではない為、走るとよく転ぶ。
膝を擦りむいて泣くスコールを、バッツは慰め、負ぶって家まで連れて帰ったものであった。


(流石に泣き虫さんは卒業してるかな。いや、でも判んないな)


バッツの思い出のスコールは、5歳のままだ。
しかし、現実のスコールは、今年で17歳である。
見た目も性格も、大きく変わっていても可笑しくないだろう。


(子供の頃に背が小さいと、後から凄く伸びるって言うけど、どうなのか。おれはそんなに伸びなかったなあ)


抜かれてたらちょっとショックかも、とバッツは思う。
子供の頃は、3歳と言う年齢差は決して小さくはなく、意識にも見た目にもその違いは大きい。
5歳のスコールはいつもバッツを見上げており、甘えたい時けれど言い出せない時の上目遣いが、バッツはこっそりと好きだった。
その目を見た時、おいで、と両手を広げてやると、スコールは嬉しそうに駆け寄って来る。
その瞬間が好きだった。

しかし、17歳になってまで、そんな遣り取りは出来ないだろう。
女の子同士ならあり得るかも知れないが、男では余程のテンションでなければ、抱き着いたりはするまい。
バッツはそれが出来る性格だったが、スコールは果たしてどうだろうか。
以前のように大人しいままか、手紙の文章や文字や生真面目さが滲んでいたような、若しかしたら意外と明るくなっているかも。
膨らむばかりの想像に、バッツは楽しみだな、と笑みを零した。

────と、


「……バッツ?」


自分の名前を呼ぶ声に、バッツはパンを頬張った格好のまま、顔を上げた。

ベンチの傍に立っていたのは、一人の青年───いや、少年だ。
濃茶色の髪に蒼の瞳を持ち、シャープな顎のラインと、落ち着き大人びた雰囲気を持った少年。
すらりと長い手足と、男と判る肩幅でありながら、全体的に細いシルエット。
黒のカーディガンと黒染めされたデニムジーンズに、耳には小さなピアスが嵌められていた。

誰だろう、とバッツが思ったのは、一瞬だけだった。
長い前髪の隙間に見え隠れする眉間の傷を見た後、すぐ傍にある蒼灰色の双眸が、いつか見た子供の色と全く違わない事に気付く。


「スコール?」


ひょっとして、と幼馴染の名を呼べば、少年───スコールはこくりと小さく頷いた。

バッツは思わず、ぽかんと口を開けて惚ける。
小柄で気が小さく、いつも母や父の後ろに隠れていた幼子が、こんなにも成長しているとは思わなかったのだ。

呆気に取られた顔で見詰めるバッツに、スコールはくつりと小さく笑う。


「あんた、ちっとも変わってないな」
「へあっ。そ、そっか?」


笑みを浮かべて言ったスコールの言葉に、バッツはひっくり返った声で返事をした。

バッツの隣に、スコールが腰を下ろす。
子供の頃はいつもぴったりと密着するように座っていたスコールだったが、今は二人の間に隙間があった。
まあそうだよな、とスコールの成長の証と思いつつ、バッツは微妙な隙間に少しの寂しさを覚える。


「………」
「……えーと」


座ってから、それきり口を噤んだスコールに、バッツは頭を掻く。
妙に緊張している自分がいる事に、バッツは気付いていた。

再会したら、あの話をしよう、この話をしよう、と思っていた。
バッツは生来から好奇心旺盛で、気になった事があれば、思い立ったが吉日と直ぐに行動するタイプだ。
父に連れられた転勤の日々の中、あちこち移動する事や、折角出来た友人と早い別れになっても、然したる苦痛を考えなかったのは、好奇心から来る見知らぬ土地への期待が大きかったからだろう。
お陰でバッツは、様々なものを見る事が出来た。
その内容の多くは、スコールへの手紙にも綴ったが、生憎バッツは国語の成績は宜しくない。
上手く文章にしたためて伝えられていた自信はなく、どうせなら逢った時にもっと沢山話して伝えよう、と思っていた。

しかし、今のバッツの頭の中は、すっかり空っぽだ。
何を言おうとしていたのか、どんな事を伝えたいと思っていたのか、何も思い出せない。
記憶を掘り返すよりも、今は隣の存在が気になって仕方がない。

ちら、とバッツは隣を見た。
春の柔らかな風が、スコールの前髪を揺らし、隠すように被さっている傷が覗き見える。


「……それ、どうしたんだ?」


思った事は、直ぐに聞くのがバッツだった。
スコールもそんなバッツの問いを予想していたのか、ちらりと横目にバッツを見た後、前へと向き直り、


「大した事じゃない。同級生と喧嘩になって出来た。それだけだ」
「喧嘩?スコールが?」


あの大人しくて、怖がり屋のスコールが、喧嘩。
俄かには信じ難い話を聞いた気分で、バッツはまた目を丸くした。


「えーと……大丈夫だったのか?こんなでっかい怪我作って…」
「問題ない。もう痛くもないし」


バッツが聞きたかったのは傷の経過の事だけではなかったのだが、スコールはそれ以上を答えるつもりはないようだった。
彼自身が傷の事を気にしていないのなら───或いは、言いたくないのなら───この話題を続けるのも、どうかとは思う。
結局バッツは、傷について、この場でそれ以上の事は訊けなかった。

ええと、とバッツが次の話題を探していると、


「あんた、それ」
「ん?」
「……食べないのか?」
「……あ。食べる食べる」


手に持ったままの食べかけのパンを指摘され、バッツはその存在をようやく思い出した。
むごむごと口の中に押し込むようにして食べ進め、ぺろりと平らげてやる。


「そんな食べ方して、喉に詰まるぞ」
「大丈夫だよ。平気だったし」


指についたパン屑を舐めるバッツ。
ティッシュかハンカチ位持っておけよ、とスコールが言って、カーディガンのポケットからティッシュを取り出す。
有難く一枚貰って、バッツは唾液のついた指を拭き取った。

空になったパンの包装袋をゴミ箱に捨てて、バッツはスコールに今後の予定について訪ねる。


「えーと。どうしよっか、この後」
「あんたの行きたい所があるなら、案内する」
「行きたい所ねえ」


うーん、と考え込むバッツに、何も決めていないのか、とスコールは言った。
へらりとバッツが笑ってやれば、スコールは呆れたように溜息を吐く。

今後の予定を考える振りをしながら、バッツはちらりとスコールを見た。
記憶に残っていた子供とは、とても思えない程、大人びてしっかりとした雰囲気だ。
座高の高さは殆ど変わらないのに、長い脚を見るに、身長はバッツを抜いているかも知れない。
もう上目遣いに甘える事をねだる子供は、何処にもいないのだ。
その事にもう一度寂しさを感じる傍ら、バッツは道行く人を眺めるスコールの横顔に、密かに息を飲んだ。


(なんか、格好良いって言うか。なんか)


今のスコールを見て思う事を、バッツは一言では言い表せない。

バッツは時間を忘れて、スコールの横顔を見つめていた。
穴が開くほど見詰めるバッツの視線に、スコールが此方を見て、なんだよ、と眉根を寄せる。
その顔が、子供の頃に見ていた、泣き出す手前の顔と同じ事である事に気付く。



何も変わっていない訳ではない。
けれども、全く違うものになった訳でもない。

その心地良さに身を委ね、此処に帰って来ようかな、とバッツは考える
不機嫌な顔をしながら、寂しがり屋の心が滲む、蒼灰色の傍にいたいと思った。





5月8日と言う事で、バツスコ。
12年ぶりにあった幼馴染が凄く美人になっていた件。

スコールの額の傷は、勿論のことサイファーとの喧嘩が原因です。
街に帰ってきたバッツとサイファーが鉢合わせして、バチバチ火花散らすのが見たい。
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