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日記と言うより妄想記録。時々SS書き散らします(更新記録には載りません)

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日記と言うより妄想記録。時々SS書き散らします(更新記録には載りません)

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カテゴリー「FF」の検索結果は以下のとおりです。

[絆]シャッフル・オア・ブギー

  • 2015/10/31 21:15
  • カテゴリー:FF


授業終了のチャイムと共に、スコールは立ち上がった。

競歩宜しくのスピードで、颯爽と教室を出て行くスコールを見ている者はいない。
最後の授業の担当教師は、授業の三分前にはいつも講義を終わらせ、生徒には板書させる事で知られている。
お陰でスコールは、チャイムが鳴る前に帰宅の準備を済ませる事が出来た。
それを横目で見ていたティーダは、呆れた様な、仕様がないと苦笑するような表情を浮かべており、チャイムと同時に立ち上がった幼馴染に「行ってらっしゃーい」と手を振った。
スコールはそんな幼馴染に振り返る事もなく、真っ直ぐに校門を目指す。

スコールがいなくなった教室で、ティーダはのんびりと腰を上げ、教室後ろのロッカーから部活用の運動着を入れたスポーツバッグを取り出す。
スポーツバッグを肩にかけ、プールへ向かおうとした所で、


「なあ、ティーダ。スコール、どうしたんだ?」


ティーダを呼び止めたのは、ヴァンである。
彼の視線は、いなくなった級友を追うように、教室の出口へと向けられている。


「ああ、あれ。ずーっと楽しみにしてた奴が届くから、大急ぎで帰ったんスよ」
「楽しみにしてた奴?」


首を傾げるヴァンに、ティーダは頷いた。




ガーデン校門から、バラムの街を繋ぐバスから降りた所で、スコールは走り出した。

今日の夕飯の材料は、昨日買い物をした時にまとめて済ませてある。
更に言えば、夕飯の下準備も朝の内に済ませているから、作る時もいつもの半分以下の時間で終わる。
片付けも短時間で済むように、作ったものは大皿一枚に並べて、食器の数も最小限にするつもりだ。

真っ直ぐ家に帰ったスコールは、ポストの中を確認して、何も入っていない事に安堵と落胆を覚えた。
目当てのものがまだ配送されていなかった事は良かったが、反面、不在表が入っていれば、連絡すれば直に再送して貰える。
配送に関して、時間指定が出来なかったので、授業中に届いていたら悔しい思いをする所だった───が、来ていないとなると、いつになったら来るのかとやきもきしなければならない。
どちらを取っても、スコールは、今日一日をもどかしく過ごす事になるのであった。

自宅の二階に上がったスコールは、手早く着替えを済ませて、直ぐに一階に下りた。
今の内に夕飯の支度を一通り済ませてしまおうと考えたのだ。
そうすれば、待ちに待っている物が届いた時、気兼ねなくそれを楽しむ時間が持てる。

と、思った所で、玄関のチャイムが鳴る。
スコールは開けていた冷蔵庫を閉め、短い距離を走って玄関へ向かった。
ドアを開ければ、配送業の制服を着た男が、小さなダンボール箱を持って立っている。


「スコール・レオンハートさんへお届け物です」
「はい」
「代金引換ですので、お支払いをお願いします」


俄かに浮かれる気持ちを表に出さないよう、無表情を努めながら、スコールはリビングのソファに置いていた鞄に向かう。
教材の中に埋もれていた財布を取り出して、玄関に戻り、送料と併せてぴったりの代金を業者に手渡した。


「ありがとうございました」
「……ご苦労様でした」


ぺこりと頭を下げて退散する業者に、スコールも小さく頭を下げた。
バイクが走り去る音を尻目に、玄関の鍵をかけて、リビングのソファに座る。
準備しようとしていた夕飯の事は、すっかり頭から抜けていた。

ガムテープを一気に剥がして、蓋を開けるだけの作業でも、スコールの心は高揚していた。
衝撃を吸収する為に詰め込まれたボール紙を取り出して、丸め捨てると、その下から遂に現れる。
蒼灰色の瞳が子供のように輝き、興奮から震える手で、スコールは奥に押し込められていたものを取り出した。


(来た……!)


遂に来た、とスコールは思った。
緩む口元を噛んで堪えるが、その端はどんなに耐えようとしても、やはり上がってしまう。

ダンボール箱から取り出したのは、ビニールに真空梱包された、真新しい箱だった。
其処には大きく『Triple Triad』の文字が掲げられ、その傍らには『Blue EX deck』と書かれている。
今日発売されたばかりの、カードゲーム『トリプル・トライアド』の追加新作ブースターである。
二ヶ月前、約二年振りに新作ブースターの発表が成されて以来、スコールは直ぐに通販予約をし、今日まで待ち続けていたのである。

梱包を解いて箱の蓋を開けると、中にはプラスチックボックスに納められたカード束がある。
直ぐにその中身を確認したい衝動を抑えつつ、先ずは新作の注目カードの確認をしようと、同梱されていた取説用紙を取り出した。
今回の追加カードの中で、強い力を持っている物は勿論、入手の難しいレアカードが一覧になって記されている。
それに加え、今回の追加カードの中には、特に珍しいプレミアカードと言うものが存在する。
勿論、プレミアカードは生産数が少ない為、ピンからキリまである他のカードと混同された状態で引き出すには、相当のクジ運が必要であった。
今回は初回版と予約購入のブースターに、レア以上のカードが確約された特典が封入されている為、手に入る確率は上がっているが、レア以上と限定しても相当の数がある為、やはり手に入り難い事に変わりはない。

この世界で、トランプを始め、各地方で色々なカードゲームが流行る中、『Triple Triad』が特に人気を博しているのには、ある理由があった。
『Triple Triad』は現実に存在する魔物や魔獣を始め、時には人物までカード化させている。
基本的に人物を使ったカードはレア扱いされているが、それにもランクがあり、有名人程高ランクとして扱われている。
大量生産が許される場合は、カードランクと共にパラメータは下がるが、代わりに複数のスチルが使用され、コレクターが熱を上げる仕様だ。
今回のプレミアカードにも有名人が起用され、特級クラスのパラメータが宛がわれている。
これは持っているだけで戦局を引っ繰り返す事が出来る―――ゲームの特性上、絶対とは言えないが―――程のもので、これ欲しさにブースターを複数予約購入する者もいる程だ。
ファンの間で行われる売買等では、非常に高値で取引されていた。
つまり、カードゲームをしない者でも、ピンナップの類としての価値があると言う事だ。

説明用紙の一覧の一番上に記載された、一枚のプレミアカードを見て、スコールは唾を飲んだ。
四辺の強さを示す数字は、最上クラスのAが二辺に記載され、残りの2片も8と9の記載。
通常ルールならば間違いなくバランスブレイカーになる力を与えられた人物は、スコールがよく知る青年だった。


(……本当にカードになってる……)


驚きと高揚で、スコールの心臓が煩く音を鳴らしている。

最高ランクの力を与えられたのは、レオン・レオンハート―――スコールの実兄。
その他にも、レオンの仕事の同僚且つ先輩に当たる、“英雄”セフィロスの他、二名のSランクSEEDが動揺にカード化されていた。
特SクラスのカードはSEEDが占領していたが、それ以下にも、各国の首脳や、芸能人等が注目カードとなっている。


「……よし」


一通り一覧表を眺め、気が済んだ所で、スコールは箱を開ける事にした。
先ずは通常のブースターを開封し、一枚一枚を確認して行く。

入っているのは殆どが魔物や魔獣のカードだった。
現実に存在するそれらの危険度を照らし合わせて、強さは千差万別である。
それでも、最低ランクのカードでも、ルールによっては立派な戦士として活躍する。

一先ずスコールは、デッキにするカードとの組み合わせはさて置き、コレクター魂を満たす事を優先した。
ランクごとにカードを分けて並べて行く内、一つ、また一つと、高ランクのカードが増えるのが嬉しい。


(結構レアが入ってたな)


並んだカードを眺めて、スコールは概ね満足していた。
――――と、其処で現実に還すように、玄関のドアが開く音が聞こえた。


「ただいま」
「あ……お帰り」


玄関を開けたのは、帰宅した兄レオンであった。
その貌を見て、スコールははっと時計を見る。

授業が終わって一目散に返ったのが17時前後、それから30分としない内にカードが到着した。
その後はずっとカードに夢中になっていて、時間の経過すら完全に忘れていた。
時計の短針は6の数字をとっくに越えており、予定していた筈の夕飯の準備すら出来ていない事を、今更になって思い出す。

しまった、と慌てて席を立つスコールを、レオンがくすくすと笑って見ている。


「お楽しみの所を邪魔してしまったみたいだな」
「い、いや。別に……」
「それを出しっぱなしで言うか」
「あ」


テーブルに並んだカード群を指差すレオンに、スコールの顔が赤くなる。
恥ずかしさから視線を彷徨わせる弟の姿に、兄は楽しそうに笑いながら、荷物を壁際に置く。

スコールは赤らんだ顔を隠そうと、キッチンへ逃げる事にした。
どの道、夕飯の準備もしなければならないのだ。
テーブルに出しっぱなしのカード群は、夕飯の準備が終わってから片付ければ良い、此処にはカードを奪うような不届き者はいないのだから。

――――と、一歩踏み出したスコールを、レオンが呼び止めた。


「スコール、ちょっと」
「…?」


出来れば早くキッチンに行きたかったが、兄の声にスコールは素直に振り返った。
すると、一枚の小さな厚紙を差し出している兄と目が合う。


「お前にやる。こういうのは、お前の方がちゃんと価値を判ってるだろう」
「……?」
「俺が持っているのも、なんだか変な気分だしな」


レオンの言葉に、スコールはぱちりと瞬き一つをして、彼の手へと視線を落とした。
其処に在るものを認めると、スコールの蒼の瞳が大きく見開かれる。

特別仕様と判る、きらきらと光る一枚のカード。
説明用紙のカード一覧のトップを飾っていた、レオン・レオンハートのカードであった。


「え…あ…え……!?」


カードとその持ち主の顔を交互に見比べるスコールに、レオンは眉尻を下げ、困ったように笑う。


「これからもお前の相手をするんだから、新しいカードへの対策は必要だと思って、出先でブースターを買ってみたんだが……初回特典のカードでこれが入っていたんだ」
「………………ずるい………」
「俺の欲しいカードは、もう手に入ったし―――…ん?何か言ったか?」
「……………別に………」


スコールの呟きは、耳が良い筈の兄の鼓膜を揺らす事はなかったらしい。
きょとんとした表情で首を傾げるレオンに、スコールは幸いと口を噤んだ。

レオンは少しの間不思議そうな顔をしていたが、気を取り直すと、改めてカードを差し出した。
無欲の勝利が掴んだ幸運を、レオンはあっさりと手放そうとしている。
その事がスコールは悔しかったが、カードマニアな彼にとっては、願ってもない展開であった。


「ほ、本当に…いいのか?プレミアカードだぞ、これ」
「そうらしいな」
「らしいって……」
「自分で自分のカードを持っているって言うのも妙な気分なんだ。貰ってくれると助かる」


レオンの言葉は、全くの本音だろう。
確かに、自分で自分のカードを持ち、デッキに入れて使用するのは、少々恥ずかしい事かも知れない。
弟が自分のカードを持っていると言うのも、やはり恥ずかしいような気もしたが、嬉しくも思える気がした。
そうした気持ちもあって、レオンはスコールにカードを譲ろうと思ったのだ。
手に入れるのが非常に難しい代物となれば、カード集めが趣味の彼も、少しは喜んでくれるだろうと。

実際、スコールの心は、嘗てないほどに浮き足立っていた。
ブースターの到着を待ち侘びていた時の比ではない程に。

確かに、欲しいと思っていた。
カードとしての特性は勿論の事、唯一の趣味とも言っても良いカードゲームに、兄が起用されたのだ。
兄弟の欲目もあって、どうにか手に入れる方法はないかと考えたものである。
色々と裏ルート―――例えばオークション転売のような―――はあるので、それらを利用すると言う手もなくはないが、スコールは余りそう言う行為は好きではないし、どの道、プレミアカード且つ今売出し中のSランクSEEDのカードとなれば、目玉が飛び出るほどの高額取引になるのは想像に難くない。
其処へ来て、兄のこの無欲の贈与は、スコールでなくとも飛び付きたくなるものであった。


「う………」
「ん?」


伸ばしかけた手を止めたスコールに、レオンはまた首を傾げた。
どうした、と問う兄の声を素通りし、スコールは唇を噛んで顔を上げる。
キッと尖った蒼色に、一瞬怯んだレオンに向かって、スコールは宣言した。


「勝負だ、レオン!」
「……は?」


真っ直ぐに射抜く眼光を前に、レオンはぱちりと瞬きを一つ。
弟の言葉の意味を直ぐに理解出来なかった兄に構わず、スコールは続ける。


「そのカードを賭けて、勝負するんだ」
「……いや、何もそんな事をしなくても―――」
「トレードは勝負に使ったデッキからしか出来ないんだから、ちゃんとそれをデッキに入れろよ」
「おい、スコール」
「ルールはウォールセイム、プラス、エレメンタル。今回追加されたカードも使って良い」
「おい」
「デッキ持って来る」


レオンの呼ぶ声など全く聞こえていない様子で、スコールは足早に二階へと上がってしまった。
取り残されたレオンは、ぽかんとした表情で弟を見送った後、手元に残ったままのカードを見詰め、


「……まあ、仕方ないか」


レオンが偶然手に入れてしまったカードを見て、喜ぶ所か、カードプレイヤーとして火が点いたらしいスコール。
まさかこんな展開になるとは、とレオンは思いつつ、普段は努めて冷静でいようとする弟が、カードとなると周りが見えなくなる事は、よくよく判っていた事だ。
彼にしてみれば、誰もが欲しくて堪らない筈のカードを、棚から牡丹餅的な形で手に入れる事に抵抗があったのだろう。

階段から慌ただしい足音が聞こえ、スコールがリビングに戻って来る。
カードの入ったケースを手に、ちょっと待っててくれ、とテーブルに並べていたカード群を睨んだ。
邪魔をするのは良くないな、とレオンは踵を返し、今日の夕飯を作る為にキッチンへと入ったのだった。





FFポータルアプリでトリプル・トライアド実装記念!……で書いたのですが、上げるのを忘れて今の今まで放置していました。どさくさでアップします。

レオンをカード化させてみた。レオンのカードとか凄く欲しい。スコールのカードと一緒に使いたい。
因みに、レオンの目当てのカードは、ラグナのカードです。エスタの大統領なのでそこそこレベルの高いレアと思われる。
ゲット出来たようで本人は満足ですが、スコールからすると「運までチートか」と言いたい所w

現在全力でプレイ中です。誰が誰のカードを使用してるのかチェックするのも楽しいですね。
今後の配信で新作カードや限定カードが現れるとしたら、いつか出たりするのだろうか。バランスブレイカーカード。プラスやリバースルールがあるので、一概に強いと言い切れないのが面白い。
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[ティスコ]僕だけの海

  • 2015/10/08 22:55
  • カテゴリー:FF


スコールの目の前に、深い深い海色があった。
それは真っ直ぐにスコールの方を向いていて、時折ぱちりと隠れる事はあっても、逸らされる事はない。

海は母だと、古くから言われている。
これが異世界でも通じるかは判らないが、少なくとも、スコールの世界ではごく自然に浸透していた謂れであった。
命の根幹は海で生まれ、長い年月をかけて地上へ棲家を広げ、現在に至る。
だから海に、或いは水にその身を委ねると、母に抱かれているように感じる事もあるらしい。
生憎、スコールにそうした経験はないし、長い時間を波に揺られるだけで過ごすと言うのは、退屈で死にそうになりそうだったと思う────それいつの経験であったのかは、相変わらず判然としないが。

スコールは海に母を感じた事はないが、海そのものは嫌いではない。
正直に言えば、好きか嫌いかを論じる程興味がない、と言うのが正しい。
しかし、目の前に在る海の色は、嫌いじゃないな、と思う。

思うのだが、こんなにも近くでまじまじとそれを向けられていると、酷く落ち着かない気分にされる。


「…………」
「あっ!逸らしちゃ駄目っスよ!」


耐え切れなくなって、そっと視線を外すと、案の定、抗議が飛んでくる。
がしっと頭を肩を掴んで振り向かせようとする力に、スコールは全力で抵抗した。


「もう良いだろう、いい加減にしろ…!」
「まだ!まだ駄目!もっと見たい!」
「しつこい!」
「そんなにしつこくないっスよ、まだ五分か其処らじゃん!」
「五分もジロジロ見れば十分だろ!」


全力て抵抗するスコールと、どうにかして此方を向かせようとするティーダ。
仲間達が見たら、すわ喧嘩かと割り込んでくるだろうが、今日は二人だけで聖域で待機となっている。
つまり、ティーダにとっては幸運、スコールにとっては不幸な事に、この騒ぎに参入してくる者はいないと言う事だ。
普段なら、人の気配が少ない静寂を好むスコールだが、この時ばかりは仲間達の不在を恨む。

力尽くで振り向かせようとするティーダの腕を振り払って、スコールは力んだ所為で不自然に凝った首を撫で解した。
眉間に皺を寄せ、髪の乱れを直すスコールの前では、ティーダも不満げな表情をしている。


(首が痛い……)


バカ力め、と胸中で恨み言を呟きながら、スコールは溜息を吐いた。
そもそも、どうしてこんな事になったのかを思い出してみる。

仲間達が一組、二組と順番に出発したのは、リビングの時計が十時を指して間もない頃だ。
それからしばらくは二人とも好きに過ごし、昼は朝食の残り物で簡単に作った。
ティーダが作ると味が濃くなる為、スコールが温め直して、味付けは自分で好みに調整して貰った。
準備をしたのがスコールなので、片付けはティーダが担当し、その間、スコールはリビングのソファに座ってトリプル・トライアドのデッキ調整をしていた。
そしてティーダがキッチンから戻って来て、徐にスコールの隣に座り、言ったのだ。
「スコールの目、見せて貰って良いっスか?」と。

デッキに集中していた所に突然声をかけられた事、その内容も余りにも藪から棒だった事もあり、スコールはティーダの言葉を理解するまで、しばしの時間を要した。
理解した後も、何故そんな事を、と言う疑問で頭の中は占められる。
そんなスコールに気付かず、ティーダは「良いっスか?」ともう一度言った。
どうしてそんな事しなければならないんだ、と言う疑問の解決を待たないまま、回答を催促されたスコールは、何だかよく判らないまま「……ああ」と答えていた。

それからスコールは、ティーダに顔を見つめ続けられていた。
まじまじと見つめるティーダに、始めは何がしたいのか判らなかったスコールだが、見ていれば気が済むのならそれまで好きにさせよう、と思った。
しかし、元来、他者の視線を苦手とするスコールが、その状況で長い間耐えられる訳もない。
相手がティーダとは言え、五分も耐えた時点で、随分と我慢したなとジタンとバッツは表彰するだろう。

────と、此処に至るまでの経緯を振り返ったスコールだが、肝心の“どうしてこうなったのか”、もっと言えば“どうしてティーダが「目が見たい」と言い出したのか”は判らないままだった。


「もっと見たかったのに……」


未だ消えない困惑と、じろじろと観察された居心地の悪さを残すスコールの隣で、ティーダは拗ねた顔で呟いた。
それを無視しても良かったのだが、ちらと横目に覗いたティーダが、心底残念そうなのがスコールの胸を抉る。
別段、スコールはお人好しではないと自分を分析するが、人目は非常に気にする性質だし、自分の所為でティーダが落ち込むと言うのも引っ掛かる。
ティーダがこのまま夜まで過ごしていたら、戻って来た仲間達に、何かあったのか、喧嘩でもしたのかと集中攻撃を喰らうのも目に見えていた。
何より、自分の所為で、ティーダの爛々とした海色の瞳が翳るのが嫌だった。

スコールはふう……と細い溜息を吐いて、いじいじとソファを指で突いているティーダを見た。


「……なんでそんなに見たいんだ。面白いものでもないだろ、俺の顔なんて」
「顔が見たい訳じゃないっスよ。……それも見てたけど」


ソファの上で膝を抱え、ゆらゆらと揺れながらティーダは言った。
じゃあ何を見ていたんだ、とスコールが視線だけで問うと、


「……スコールの目。綺麗な色してるから、見たいって思ってさ」
「……は?」


ティーダの言葉に、スコールは首を傾げた。

これか?とスコールの手が自身の右目に向かう。
触れた所で取り出せるものではないので、瞼越しに目玉を撫でるだけだ。
撫でながら、鏡で何度も見た筈の其処の色を思い出そうと試みるが、何か特筆するような色はしていなかった筈───と、スコールは思うのだが、


「青い目って、俺が知ってる限りじゃ結構あったと思うんだけど、スコールみたいな色してるのって初めて見た気がしてさ」
「……そんなに珍しい色でもないだろ。あんたと似たような色だ」
「全然違うって!」


食い入るような勢いで否定したティーダに、スコールの眉間に皺が寄る。
確かに、美術的な色の差異で言えば同じではないが、カテゴリとしては同じだろう、と。

しかし、ティーダは尚も続ける。


「青なんだけどさ、もっと深い色って言うか。なんか、海の底の方みたいなさ」
「あんたも青で、海の色だろう」
「んー……そう言われるのは嫌いじゃないんだけど、俺の色とは違うんスよ。もっと澄んでて、混じりっけが無い感じの……」


それこそあんたの方だろう、とスコールは思った。
しかし当のティーダは、スコールの瞳こそが海の色だと言う。


「陸から見る海じゃなくて、海の中で見る海って言うのかな。潜って初めて見える海」
「……意味不明だ」
「スコール、海に潜った事ないっスか?」
「………海に入った事はある。多分」


だが、ティーダの言う“海の中で見る海”と言うのは判らなかった。
そもそも、彼の世界に存在する海と、スコールが記憶している世界の海が同じかどうかも判らない。
そう考えると、二人がそれぞれ抱いている色への認識に違いがあっても可笑しくはない。

となれば、これ以上色の違いについて問答するのは不毛だ。
そんな結論に行き着いて、スコールはティーダに“海の色”について訊くのを止めた。

テーブルに放っていたデッキに手を伸ばしたスコールを、ティーダは口を噤んで見詰める。
ひしひしと頬に刺さる視線に、スコールはデッキを捲る手を止めずに、別の疑問を訪ねた。


「それで、なんでそんなものを見たいって言い出したんだ」
「だから、綺麗だから見たいって思ったんだって」
「……綺麗なものでもないだろ、こんな色。何処にでも」
「ないって。バッツも言ってたじゃん、スコールの目の色は珍しいって」
「…そんな事言ってたか?」
「言ってた」


バッツのその言葉を、スコールは聞いた覚えがない。
スコールのいない場所で交わされた会話なのか、其処にいたが興味がなくて聞き流していたのか。
何れにしろ、相変わらずよく判らない所に着眼するな、とスコールは思う。


「スコールの世界じゃ、よくある色なんスか?」
「……青い目はよく見る」
「そうじゃなくて、スコールの色。同じ色、見た事ある?」
「……判らないし、覚えていない」


正直に答えると、それもそうか、とティーダは納得した。
記憶の回復如何に関わらず、友人知人の目の細かい色など、覚えている人間が幾らいるだろうか。
少なくともスコールは、余程親しい人間でなければ認識していないだろうし、そもそも他人の目の色を覚えているかも怪しい。

ティーダの視線は、尚もスコールの横顔に向けられている。
無遠慮な程に真っ直ぐな視線は、スコールには少々喧しい。


「おい……」
「ん?」
「……見るの止めろ。落ち付かない」
「見てるだけなんだから良いじゃないっスか」
「それが落ち付かないって言ってるんだ」


オブラートを捨ててきっぱりと言ってやると、ティーダは渋々視線を外した。
ようやく気になるものが消えて、スコールはほっと息を吐いて、手許のカードに意識を戻す。

ぱらぱらとカードを捲るスコールの耳に、ぼそぼそとティーダの愚痴のような呟きが聞こえる。


「綺麗なんだし、減るもんじゃないんだから、ちょっと位良いじゃないっスか…」
「…そう思うなら、鏡でも見てろ」
「鏡見たって自分の目が見えるだけじゃん」
「十分だろ。俺なんかより、あんたの色の方がずっと良い」


水の中で活き活きと、文字通り水を得た魚のように泳ぐティーダ。
そんな彼の本質を現したように、彼の目は海を映したマリンブルーで、濁りのない海の色。
眩しい蜜色の髪のコントラストと相俟って、夏の海を思わせる、そんな瞳。

スコールは、果てしのない海を、目的もなくぼんやりと眺める事は好きではない。
しかし、其処に在るのがティーダと同じ色だと思えたら、少し長く眺める位は出来るかも知れない。
それこそ、ついさっきまで、彼と見詰め合っていた時のように。

────それきり、二人の間に会話はなかった。
スコールはデッキ作りに集中し、ティーダはソファに背を預けて天井を仰いでいる。
だからスコールは、隣の少年が、真っ赤な顔で自分の目に触れていた事には気付かなかった。



それってつまり、スコールにとって俺の目は─────





10月8日でティスコの日!

無自覚にお互いを褒めてる、憧れ合ってる17歳's。かわいい。
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[ジタスコ]甘えて包んで抱き締めて

  • 2015/09/08 21:51
  • カテゴリー:FF


日頃の疲れが出たんじゃないかな、と言ったのはセシルだ。
連日の強行軍と共に、降り続いた雨により、スコールは体調を崩した。
他のメンバーが平気なのに───とスコールが思ったのは始めだけで、スコールの為に一日休憩を作った所、ティナ、ルーネス、ティーダも不調を現した。
張り詰めた緊張の糸の中で、知らず知らずに溜めた疲労が、休息により一気に表面化したのだ。
こうなっては仕様のない事で、次いで若い面々への配慮が至らなかったと、今度はウォーリア・オブ・ライトが落ち込んだようだった。

体調不良が四人、落ち込んだのが一人とあって、一日だけでなく二日の休息を取る事が決まった。
丁度良かったんじゃないか、と言ったのはバッツだ。
のんびりもしていられない旅路ではあるが、かと言って、目的地まで止まらずに歩き続ける事が出来る程、人間は頑丈ではない。
襲い来る魔物やイミテーション、不意を突いて来る混沌の戦士、不安定な世界そのもの等、道程は生半なものではなかった。
必然的に、肉体的にも精神的にも疲労は蓄積されて行くもので、何かの折にそれは堰を壊して来る。
体調を崩した面々は勿論、それ以外のメンバーも、疲れていない訳ではないのだ。
一時、留めた足を休ませる時間も必要だろう。


「───って訳だから、今日はゆっくり休めるぜ、スコール」


しょりしょりと林檎の皮むきをしながら言ったジタンに、そうか、とスコールは短い返事を零す。

今朝、野宿明けから熱に浮かされていた頭は、今は少し落ち着いている。
眩暈もあったような気がしたが、横になった状態でその症状が出る事はなかった。
他の症状は特に見られず、体の重さだけが目立つ。
傭兵の癖になんて様だ、と思ったものだが、今のジタンの話を聞いて、不謹慎と知りつつも、自分だけがダウンしたのではない事に、少し安堵した。

普段、三人一組で使用しているテントだが、今このテントにいるのはスコールとジタンだけだ。
他はティナとルーネスがペアで、ティーダがもう一つのテントを使っているらしい。
ティナとルーネスにはバッツが付き添い、ティーダはセシルが看病しているとの事だ。
クラウドとフリオニールは周囲の安全確保と見回りに、ウォーリアは現状で歩き回らせると何が起きるか判らない───彼は仲間達の不調に気付けなかった事に、今も落ち込んでいるらしい───為、見張と称してテント横で火番をしている。

いつもバッツを加えて賑やかなテントが、今日はとても静かだ。
病人がいるのに騒がしくされても困るし、静寂を好むスコールには良いことなのだが、妙に落ち着かない。
その気分を誤魔化すように、スコールは仰向けていた体をごろりと転がした。


「ほい、でーきたっと」


ジタンの声にスコールが目線だけを向けると、緩い螺旋の名残を残した赤い紐があった。
最初から最後まで、一度も途切れさせることなく剥かれた林檎の皮である。


「薄切りの方が良いか?」
「……楽に食えるなら何でも良い」


いつも使っているダガーよりも小さな果物ナイフで、ジタンは手に持った林檎を切る。
くるくるとジタンの手の中を回りながら、芯を避けて切り分けられて行く林檎。
一切れ、二切れと小皿に並べられるそれは、サラダに入っているような薄切りだ。

半分程を切り分けた所で、スコールは起き上がった。
ほい、とジタンが皿を差し出し、受け取ったそれに乗せられた薄切り林檎を、一枚一枚口に運ぶ。


「食欲、出てきたか?」
「…朝よりは」
「じゃ、残りも切っとくぞ」


今朝のスコールは、食事も碌に喉を通らなかった。
吐き気はなかったものの、胃の中がムカムカとしていて、食べる気にならなかったのだ。
そんなスコールに真っ先に気付いたのがジタンで、次いでバッツが気付き、ウォーリアの下に今日の休息を提案したと言う経緯がある。

あれから数時間、スコールは寝て過ごしていた。
体の回復だけに集中させていたお陰か、胃の違和感は消え、林檎の水分がすんなりと体に浸透して行くのが判る。
シャク、シャク、と鳴る音をぼんやりと聞きながら、スコールは林檎を食べ薦めた。


「これで食えなかったら、擦りおろしにしようと思ってたんだけど、大丈夫そうだな」
「……ああ」
「無理はすんなよ。食い過ぎで吐いちゃ意味ないもんな」
「そんな馬鹿な真似はしない」
「だよなー」


あはは、と笑いながら、ジタンは残り半分の林檎も皿に乗せる。
綺麗に切り分けられたそれらを食べながら、スコールはぽつりと呟いた。


「……悪いな」
「ん?」


扱く小さな呟きであったが、耳の良いジタンには十分聞き取れた。
だから多分、今のは独り言ではなく、自分に向けられた言葉なのだろうと思ったのだが、その言葉が出てきた理由が読み取れなかった。

何のことだ?と首を傾げて尻尾を揺らすジタンに、スコールは摘まんでいた林檎に視線を落としたまま、続ける。


「あんたも、疲れてるんだろう」
「んー……まあな。此処んとこ、日中ずっと歩き通しだったし」


スコールやジタンに限らず、誰一人として、疲れていない訳ではないだろう。
変わらない顔で先を見詰めるウォーリア・オブ・ライトとて、ロボットではないのだから、疲労は蓄積されている。
仲間達の不調を慮る余裕がなかった事や、体調不良を知って狼狽していたのも、そうした疲労から来たものと言えるだろう。


「……俺がこんな状態じゃなければ、あんたもゆっくり休めたのに」


俯いたスコールの呟きに、ジタンはぱちりと瞬きを一つ。

空色の瞳に映った蒼は、常の不機嫌な色を潜め、何処か頼りなくも見える。
大人びた顔立ちや、常に眉間に皺を寄せている事、ついでに子供のような二十歳が傍にいるので、ついつい忘れてしまい勝ちになるが、スコールはとても繊細だ。
そして、言葉が足りないので中々気付かれないが、仲間のことをとても大切に思っている。

期せずして得た休息で、スコールはゆっくりと休む事が出来た。
だが、自分の世話をしている所為で、ジタンは休息を取る事が出来ていない───と、スコールは考えているようだ。

ジタンは口元を緩めて、傍らに残していたもう一つの林檎を手に取る。


「どーって事ないって。オレも結構のんびりしてるし、十分ゆっくり休んでるよ」
「……そうか」


ジタンの言葉に、スコールの反応は鈍かった。
これは納得していないな、とジタンは察するが、仕様のない事だとも思う。
今のスコールは体調不良で気が滅入っているから、何でもマイナス思考になるのだろう。

やれやれ、とジタンは口角を挙げる。
ゆらっと尻尾が弾むように揺れて、ジタンは手を伸ばした。
俯いたままのスコールの髪に手を乗せて、ぽんぽんと軽く撫でてやる。
スコールからの反応はなく、代わりに固まったような空気を感じたが、ジタンは構わずに濃茶色の髪を撫で続けた。


「……ジタン?」
「ん?」


数秒の間を置いて、ようやく状況に理解が追い付いたらしい。
随分と遅い反応に、ジタンは笑いを堪えながら、いつもと変わらない表情で返事をした。
そんなジタンを見てか、まだ頭がぼんやりとしているのか、スコールは「いや……」と何処か不思議そうな顔で、ジタンの手を受け入れている。

こういう所が可愛いよなあ、とジタンはこっそりと思う。
そして、こんな彼を見る事が出来るのが、自分とバッツだけだと言う優越感。
そのバッツは今はティナとルーネスの所にいるので───それはそれでジタンも羨ましいのだが───、今は独占する事が出来るのが、また嬉しい。

一頻りスコールの頭を撫でて、ジタンは濃茶色から手を離した。
スコールは寝癖と撫でられた所為で乱れた髪を手櫛で宥めた後、気が抜けたように布団に転がった。


「……ジタン」
「おう」
「……大分楽になった」
「そっか。良かったな」
「……ああ」


横になったままのスコールと、その隣に胡坐で座っているジタン。
スコールは目線だけをジタンに向けて、小さな声で言った。


「……だからあんたも、もう休め」


自分の世話をしなくて良いから、と言うスコールに、ジタンは小さく笑みを零す。
世話をしながらでも、十分に休めていると言っているのに、スコールはどうしてもそうは思えないようだ。
逆の立場なら、きっとジタンも同じように考えるだろうから、無理に訂正はさせなかった。

代わりに、ジタンはごろんとスコールの隣に転がる。


「そんじゃ、お言葉に甘えて、俺も一眠りしよっかな」
「…ああ」
「って訳で、お邪魔しまーす」
「……!?」


ごそごそと布団に潜り込んで来たジタンに、スコールは目を瞠った。
思わず起き上がろうとするスコールだったが、一足早くジタンの手がスコールの肩を捕まえる。
そのまま布団に逆戻りさせられたスコールに、ジタンはしっかりと密着した。


「おい、あんた、」
「んー、良い抱き枕」


ぎゅう、と抱き付いて来るジタンに、スコールは固まった。
引っ張り剥がせば良いのにな、と思いつつ、ジタンはそんなスコールに甘えて、抱き付く力を強くする。
布団の端から顔を出した尻尾が、楽しそうに揺れる。

スコールはしばらくの間固まっていたが、その内諦めたのか、面倒になったのか、体の強張りが解けた。
ふう、とジタンの耳元で溜息が漏れて、スコールは布団に体を預けた。
ジタンがちらりと顔を覗くと、蒼灰色は既に瞼の下に隠れていて、このまま寝入ろうとしているのが判る。

今朝は熱の所為で火照っていたスコールの顔も、今ではいつも通りの色を取り戻している。
滲んでいた汗も落ち付いているし、夕食を食べられるようになれば、バッツ特製の薬も飲めるし、明日にはきっと回復している事だろう。


「スコール。スコールも、オレを抱き枕にして良いんだぜ」
「……そんなもの、必要ない……」
「そう言うなって。ほら、ぎゅーってしてみな?」


こういう風に、と手本を示すように、ジタンはスコールに抱き付く腕に力を籠める。
スコールは何故こんな事を、とぶつぶつと呟きながら、ジタンの背中に腕を回す。

ぴったりと密着し合っている事に、スコールはどうにも違和感が拭えない。
不慣れな状態に戸惑うスコールの心中を現したように、ジタンの耳元で、心音が早いリズムで鳴っていた。
その音を宥めてやろうと、ジタンはスコールの背中をぽんぽんと撫でてやる。


「……おい……」
「いーからいーから」


子供じゃない、バカにするな、いい加減にしろ。
そんな言葉が出てくる前に、ジタンはスコールの背中をぽんぽんと叩きながら、濃茶色の髪を撫でてやる。
子守唄も歌おうか、と思ったが、流石に其処までやったら、ふざけるなと怒られそうだ。

そのまま、しばらく静かな時間が過ぎて行き、少しずつジタンの耳元で聞こえる鼓動が静まって行く。
ジタンの背中に回された腕は、少しずつ力が抜けて、添えられているだけになっていた。
ちらりと目線だけを上に向けてみれば、薄く開いた桜色の唇が見える。
心音もゆったりと規則正しいリズムを刻み、彼が眠ってしまった事が伺えた。

すう、すう、と微かに聞こえる寝息に頬を緩めたまま、ジタンはぐっと首を伸ばす。
眠るスコールの唇の端に、己のそれを押し付けた後、抱えるようにスコールの頭を抱いて、自身もそっと目を閉じた。





ジタスコの日なので、体調不良なスコールをジタンに甘やかして貰いました。
小さな男前の包容力は半端ない。
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[クラスコ]一番最初に伝えたい

  • 2015/08/11 21:31
  • カテゴリー:FF
クラウド誕生日おめでとう!
と言う事で、現パロでクラスコです。




出勤一時間前を知らせる、目覚し時計の音が響く。
惰性に腕だけを伸ばして音の発信源を探し、叩くようにしてボタンを押した。
静かになった部屋の中で、手招きする睡魔の甘い誘惑をどうにかこうにか振り切って、クラウドはベッドを抜け出した。

下着とズボンを穿いて、窓の外を見ると、カーテンの隙間から朝ぼらけが見えた。
夏の真っ只中の現在、朝日は午前五時前には既に登り始めている。
ベッドでは年下の恋人がすやすやと眠っており、もう一度そこに潜り込みたい衝動に駆られる。
本来なら今しばらく恋人の温もりを抱き締めていられるのに、急遽シフト変更を連絡してきた店長を恨んだ。

仕事は昼過ぎには上がるが、それまでは碌に休憩時間もないので、腹の中には詰められるだけ詰め込んでおかなければならない。
眠る恋人の頭をくしゃりと撫でて、彼の為に冷房を点け、寝室を後にする。
寝室同様に蒸し暑いリビングにも冷房を点けて、キッチンに入った。
昨夜の残りの汁物が入った鍋を取り出して、火にかける。
パンにするか米にするか悩んだ後、腹持ちを優先して、冷凍庫に保存していた米を出して、電子レンジに入れた。

ふあああ、と欠伸が出る。
体の重さと、しつこく居残る睡魔を追い払おうと、シャワーでも浴びようかと思った時だった。


「くらうど……」


呼ぶ声に振り返ってみると、サイズの合わないシャツ一枚を着たスコールがいた。
シャツはクラウドが昨夜脱いで放ったもので、下肢は細身のすらりとした太腿が晒されている。

朝から中々刺激的だ、と無表情の下で眼福を噛み締めるクラウドの下に、ふらふらと、スコールは眠い目を擦りながら歩み寄る。


「悪いな、起こしたか」
「あんた、はやい……」
「すまない」


熟睡していた筈のスコールを起こしてしまった事に詫びつつ、クラウドはスコールの頭を撫でた。
意識がはっきりとしていれば、嫌がるであろう撫でる手を、スコールは甘受している。

スコールは、ふあああ、と先のクラウドと同じように欠伸をした。


「ねむ……」
「まだ寝ていて良かったんだぞ」
「…うん……」


スコールからの反応は覚束なく、返事もクラウドへのものとは言い難い。
取り敢えず、会話の音が聞こえていると言うのが精一杯だろう。

ピーッ、ピーッ、と電子レンジが音を立てる。
それでもスコールはまだ目を覚まさず、眠い目を猫手で擦っていた。

クラウドはスコールを連れてリビングに行き、ソファに座らせた。
皺の寄ったクラウドのシャツの裾から、見えるか見えないかの狭間に、ついつい目が行く。
仕事さえなければ、と思いつつ、クラウドは朝食の準備の為にキッチンに戻ろうとした────が、くん、とズボンの端を摘まれて引き止められる。


「スコール?」


名を呼んで振り返ってみると、スコールはクラウドのズボンの端を摘んだまま、目を閉じていた。
こくっ、こくっ、と頭が揺れている所を見るに、まだまだ夢と現の間にいるようだ。

ズボンのサイドに引っ掛けるように摘む手が、甘えたがっているように見えて愛おしい。
その手を取ってキスしたら、彼は一気に目が覚めて、真っ赤な顔で逃げるだろうか。
重い瞼が持ち上がらない様子を見ると、気付かずに受け止めてくれる可能性が高い。

本当に、仕事さえなければ、もっと彼を愛でていられるのに。
そんな事を思いながら、そっと摘む手を外させようとしていると、


「……クラウド……」


手を握られたのが判ったのか、スコールは顔を上げた。
重い瞼が半分持ち上がって、潤んだ蒼色がクラウドを見詰める。
睡魔の所為で緩んだ表情が、褥の中で蕩けた彼の表情を思い出させて、クラウドはむずむずとした感覚を自制する。

握った手を逆に握られて、くい、と引っ張られる。
甘えたがっているらしい恋人に、こう言う彼が見られるのなら早起きも悪くない、と思いつつ、彼の要望に応える為に身を屈める。


「………と……」
「ん?」


顔を近付けていた所で、スコールが何かを言った。
眠気に揺られた彼の声は、とても小さく、クラウドの耳には音の形が聞き取れない。
眠そうな彼には可哀想だが、「なんだ?」と訊ねてみると、スコールは素直にもう一度口を開き、


「……おめでと……」


そう言って、柔らかな唇を、クラウドの頬に押し当てた。

何が起こったのか、何をされたのか理解出来ず、クラウドは呆然と固まった。
スコールはそんな恋人に気付いていないのか、眠気に遂に抗えなくなったようで、握っていたクラウドの手を放すと、ぽすんとソファに横になる。
すう、すう、と直ぐに穏やかな寝息が零れ始め、彼は再び、夢の世界の住人となった。

おめでとうって何が。
キスをされたのは何故。
俺はまだ寝ているのか、これは夢の続きなのか。
混乱状態に陥ったクラウドの頭を、ぐるぐると疑問が巡る中、恋人は手探りで捕まえたクッションを抱き締めて眠り続けている。
心なしか緩んで見える表情に、起こして再確認するのも躊躇われ、クラウドはソファの傍らで固まり続けるしかなかった。


(おめでとうって────あ)


繰り返し頭を巡っていた恋人の言葉の意味について、ふと思い出した事を確認すべく、ソファ前のローテーブルに置いてある電波時計を見る。
時刻の横に小さく表示された日付は、8月11日────クラウドの誕生日を指していた。

わざわざその為に、その一言を伝える為に、彼は起きて来たのだろうか。
いつもなら絶対に目覚めないであろう、太陽が昇り切らないような、こんな早い時間に。
そう思うと、クラウドは緩む口元を抑える事が出来ない。
ついでに頬に触れた柔らかな感触を思い出せば、もうどう足掻いても顔は緩み切って元に戻らない。


「……ありがとう、スコール」


眠る恋人に感謝の言葉を贈っても、返事は帰って来ない。
すやすやと、スコールは健やかな寝息を立てて、クッションに顔を埋めている。
そのクッションをそっと取って、クラウドは傷の走る額にキスをした。





どうしても一番最初に「おめでとう」が言いたかったスコール。
クラウドが仕事に行ったら、絶対誰かが先に言うと思ったから、何が何でも仕事に行く前に言いたくて、頑張って起きて来た。と言う話。

この後、クラウドはニヤニヤしながら仕事に行って、ザックスあたりから「何かいい事あったな~?」って揶揄われる。
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[サイスコ]局地的オーバーヒート

  • 2015/08/08 22:10
  • カテゴリー:FF


サイファーは頗る不機嫌だった。
原因は、連日続く猛暑と、肝心な時に壊れてしまった冷房機器にある。

元々、夏になると気温が上昇し易いバラム島であるが、今年は近年でも稀に見る猛暑に襲われている。
ガーデン内では至る所で冷房がフル活用され、教員・生徒の生活を守っていたのだが、毎日の酷使に機械が根を上げた。
ガーデン本校舎の電気が活動を停止、校舎内は猛暑を通り越した酷暑となった。
夏休みに入った今、寮や食堂、保健室、保健室と言った各施設は無事なのは良かったが、補習授業に明け暮れる生徒・教師には溜まったものではない。
今まで当たり前のよう肖っていた冷房機器の恩恵の有難さを噛み締めながら、皆汗だくになって補習授業をこなしている。

そして本校舎の冷房機器停止の被害は、教室だけではなく、その上層フロアに誂られた指揮官室にも及んでいた。
保護観察中につき、一日の大半をほぼ其処に拘束されているサイファーが不機嫌になるのも、無理からん事であった。


「くそ暑い……最悪だ」
「そうだな」


来客用ソファに寝そべり、背凭れに足を乗せた、非常に行儀の悪い格好で呟いたサイファーに、デスクについて書類を捲っていたスコールが短い反応を投げた。

来客用のソファには、革張りの上質なものが備えられている。
室温が適温であれば、革はほんのりと冷えて心地が良いのだが、この熱空間では蒸し暑さが増すだけだ。


「あークソっ。クソったれ。畜生」
「煩い」
「仕方ねえだろ、暑いんだから!」


がばっとソファから体を起こして声を荒げるサイファーに、スコールは判り易く溜息を吐いた。


「暑いのはお前だけじゃないんだ。機械が直るまでは我慢しろよ」
「いつ直るんだよ?」
「さっき業者が着いた。今見て貰ってるから、状態の報告と見積もりが上がって、それから…」
「今直ぐやらせろよ。どうせ直すんだから、そんなモン後で良いだろ」
「……同じ事、キスティスに言って来い」
「ンなもん俺が死ぬに決まってんじゃねーか」


機械の恩恵を失い、ストレスを募らせているのはサイファーだけではない。
スコールも勿論そうだし、キスティスも同様だった。
業者が来るまで、この指揮官室で、暑い筈なのに寒い空気に晒されていたのを、サイファーもまだ忘れてはいない。
彼女は現在、ようやく到着した業者と共に配電室に行き、状況検分を行っている。
業者の方も、バラムの街で同様の案件を複数抱えており、ガーデンだけが特別扱いされる事はないから、機械故障の連絡から到着まで時間が空いたのは仕方がないのだが、今のガーデン生徒にはそれを慮る余裕もなかった。

クソったれ、と何度目か判らない悪態を吐き捨てて、サイファーはソファを立った。
いつも着ているお気に入りの白コートは、自分のデスクに投げている。
脱いだ時には少し楽になった気がしていたが、時間が経つと、やはりまだまだ暑いと実感させられる。
頭から水を被れば少しは楽になるだろうか、と思いながら、サイファーはデスクから動かないスコールの下へ向かう。

黙々と書類処理を続けるスコールの横顔には、汗一つ流れていなかった。
表情も常と変らない仏頂面で、眉間の皺は熱さよりも終わらない書類に対する愚痴だろう。
そこまで観察して───平時なら其処まで時間を要さずとも判る事だが、暑さの所為で頭が回らないのだ───、サイファーは違和感に気付く。


「……お前、随分平気そうだな」
「…なんだよ、突然」


仕事の邪魔を意図して、デスクに寄り掛かって言ったサイファーに、スコールは顔を上げた。

正面から見たスコールの顔には、やはり汗一つ流れていない。
これだけ蒸し暑い部屋の中にいるのに、熱に弱い筈の白い皮膚は、火照った様子もなかった。


「何仕込んでやがるんだ?」
「何の話だ」
「暑いのも寒いのも嫌いなお前が、こんな状況でフツーに平然としてられる訳ねえだろうが。おら、吐け。洗いざらい吐け!」
「ちょっ…!重い!暑い!退け!!」


サイファーは椅子に座るスコールの上から覆い被さった。
ずしりと、まるで岩かと思う重さに襲われて、スコールは慌てて振り払おうとするが、サイファーはスコールの頭をがっしりとホールドして逃がさない。


「暑い!おまけにあんた、汗臭い!気持ち悪い!」
「お前はなんでンな涼しい面してんだよ!?つーかなんで実際冷たいんだ、お前!いつもと変わらねえ格好してる癖に!」


じたばたと暴れて逃げようとするスコールを、サイファーは潰さんばかりの力で捕まえていた。
体格差、純粋な腕力の差諸々の所為で、こうなるとスコールは逃げられない。
くそ、と今度はスコールの口から悪態が漏れた。

サイファーは茹った頭で冷静に分析していた。
ぴったりと密着して判った事だが、奇妙な事に、スコールから仄かな冷気が感じられる。
触れていれば直ぐに温くなってしまうような冷気であるが、この状況で、僅かでも涼の元があるだけでも段違いだ。
何処からそんな恩恵を手に入れたのか、これは聞き出さなければなるまい。
ついでに、自分がこんなに参っているのに、涼を一人占めしていた恋人への嫌がらせに、たっぷり熱の篭った体温を押し付けてやる。


「暑い…!暑いし重いし鬱陶しい…!離れろって言ってるだろ!」
「だったら白状しやがれ。なんでテメェはこの状況で涼しい面してやがんだ?あ?」
「……判った。言うから離れろ!」


観念したスコールに、サイファーはぱっと体を離してやった。
負けを認めた形になったのが悔しいのだろう、スコールは頗る不機嫌な顔でサイファーを睨む。

じっとりと汗を滲ませた首を拭って、スコールは言った。


「…シヴァの力を借りてる。ごく僅かだが冷気を出して貰ってるんだ」
「ンな事にG.F使ってんのかよ」
「仕方がないだろ。こんな状況でも、俺は此処にいなきゃいけないんだ。少しぐらいズルしたって良いだろ」


指揮官と言う立場の所為で、スコールは一日の殆どを指揮官室に拘束される。
勿論、食事や睡眠などは自由に取れるので、全く外に出られない訳ではないが、任務から帰還したSeeDからの報告等を聞く為や、刻一刻と溜まって行く書類の事を思うと、長く席を空けられないのも事実。
ガーデンと言う建物の構造上、上層部に位置する指揮官室は、教室やグラウンドよりも太陽に近い位置にある。
お陰で下層よりも余計に暑くなり、冷房機器の回復を待たずに此処にいなければならない身としては、何かしらの対策は必要不可欠だった。
幸い、スコールはG.Fと親和性が高いお陰か、ちょっとした程度なら、召喚を行わなくても力を借りる事が出来る。
其処で、特に懐いてくれているシヴァに頼んで、微弱な冷気で熱から体をガードしていたのである。

────成程、どうりで冷たい筈だと、サイファーは納得した。
サイファーが触れた時、彼の体がひんやりと冷たく感じられたのは、シヴァの生み出した冷気だったのだ。
皮膚に張り付く熱を冷気のカーテンで遮断すれば、体感温度はぐっと下がるし、熱が体内に篭る事もない。
熱にも弱いが、人工的な風にも些か弱いきらいのあるスコールにしてみれば、一番体にあった涼の採り方かも知れない。


「機械が直ったら、もう止める。G.Fの問題も、まだちゃんと解決していないし…」
「そうしとけ。ま、それまでは仕様がねえか……」


些細なものとは言え、G.Fの力に頼り切るのも良くない事は、スコールも実体験から理解している。
全ては機械が直るまでと決めて、頭の中で響くノイズに感謝した。

脳内の存在を意識してか、スコールの視線が少しの間、宙を揺れる。
それを見るともなしに見ていたサイファーだったが、ふと、既に汗の様子をなくしたスコールの首に目が行った。
途端、俄かに浮かぶ悪戯心。


「にしても、お前ばっかズリィだろ。幾らG.Fに気に入られてるからってよ」
「別に良いだろ。悔しいならあんたもやればいい」
「おお。じゃあそうさせて貰うわ」
「ああ────っ!?」


改めて書類に向き直ろうとしたスコールだったが、再度襲ってきた大きなものに押し潰されそうになった。
何事かと現状を理解しようとする前に、暑いものが頬に押し付けられる。
更には頭部を囲むように抱えられて、熱の盛った固い胸板に顔を埋められる羽目となった。


「んぐっ、ううっ!?」
「おー、こりゃ涼しいわ。てめぇ、こんな良いモン一人占めしやがって」
「うっく…!は、離せサイファー!暑苦しい!」


サイファーは全身で以てスコールを抱き締めていた。
スコールは暴れ、サイファーの胸や腹を殴り付けるが、まるで効果はない。

密着したスコールの躯を覆う冷気が、保冷剤のようにサイファーに涼を齎している。
指揮官室に入って以来、初めて手に入れた冷気に、サイファーの機嫌は鰻登りだ。
反対に、サイファーの熱を全身で吸収させられるスコールは、溜まったものではない。
彼を覆うシヴァの冷気は、本当に微弱で、言わば薄いレースカーテン程度の厚みしかない為、密着した男の熱までは遮断できないらしい。
折角の貴重な涼を奪われる状態に、スコールの機嫌は直滑降の勢いで下がっていく。

デスクをがたがたと蹴って、スコールはサイファーを振り払おうとする。
しかし、サイファーはスコールの背中に腕を回して持ち上げると、代わりにチェアに座ってスコールを膝上に乗せた。
一瞬、何が起こったのか判らなかったのだろう、スコールがぽかんとした表情でサイファーを見上げる。
が、直ぐに状況を理解すると、真っ赤な顔でサイファーの髪を掴んで引っ張り始めた。


「いててててっ、痛ぇよテメェ!」
「下ろせ!離せ!其処を退け!」
「ぜってーヤだね!」


より激しく暴れはじめるスコールを、サイファーは体格差に物を言わせて封じ込んだ。
髪やら頬やらを引っ張られて、痛みには腹が立つが、密着した場所から伝わる冷気は手放せない。

サイファーは頭皮の痛みに片眉を顰めつつ、真っ赤な顔で睨む恋人を見た。
離せよ、と声を荒げるスコールに、やだね、と言ってやれば、益々スコールの顔が赤くなる。
怒り一色のその額に、サイファーは唇を押し付けた。
途端、スコールは暴れるのをぴたりと止めて、豆鉄砲を喰らったような顔でサイファーを見る。

────アルテマジャンクションの右アッパーがサイファーの顎を打ち上げるまで、あと三秒。




『夏で暑いのにひっついてるサイスコ』のリクを頂きました。

G.Fにそんな使い方があるのかは判りませんが、属性耐性とかあるし、その辺の影響と言う感じで。
あとアルテマでアッパーはやばい。顎砕ける。でもサイファーだからきっと大丈夫だ!
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