輪姦、若ハム、過去
——暴力が、苦痛が、怖いわけではなかった。下らない嫌がらせや脅迫など痛痒にも感じない。ただ、今グラハムが奴らのされるがまま従っている理由はひとつ。
——明日は、グラハムにとってはじめての、実機による実戦形式の演習が行われる。
シミュレーターによる長い操縦訓練過程を経て、前線に配備されているのと同一のリアルドに、
ようやく実際に乗ることができる。その日を、同期生の誰もと同じく、否、誰よりも強く、
グラハムは待ち焦がれていた。
上級生たちに囲まれ、数の力で抵抗を封じられ、逆らうなら指をへし折ってやると脅されたとき、
そんな程度のことでは屈しないと思った。
卑怯な連中に決して屈服などするものかと、最後の最後まで死に物狂いで逆らってやると、
グラハムの内側の強烈な誇りが叫んだ。そのとき、ふと。
——大きな怪我をしていると、明日の搭乗を外される、と気づいてしまった。
訓練兵の部隊に回されるリアルドの数は十分ではない。訓練成績の上位者しか、
明日の演習には参加できないのだ。骨折などしていれば、別の者が繰り上がるだろう。
痛みなど恐ろしくない。ただ、リアルドに乗りたかった。どんな代償を払ってでも。
そのためになら何だって耐えられると思った。
※
続き▽
| 名無しの男(達)::2:軍の先輩達 | 2008,02,01, Friday 12:21 AM